パーセル/男は女のためにつくられ
Man is for the woman made, Z. 605 no. 3
男は女のためにつくられ
Man is for the woman made,
And the woman made for man;
As the spur is for the jade,
As the scabbard for the blade,
As for digging is the spade,
As for liquor is the can,
So man is for the woman made,
And the woman made for man.
男は女のためにつくられ、
女は男のためにつくられる。
拍車が駄馬のためにあるように、
さやが刀身のためにあるように、
掘るために鋤があるように、
酒のために缶があるように、
男は女のためにつくられ、
女は男のためにつくられる。
As the scepter to be sway'd,
As for night's the serenade,
As for pudding is the pan,
And to cool us is the fan,
So man is for the woman made,
And the woman made for man.
王様が振り回す笏(しゃく)のように、
夜のためにセレナードがあるように、
プディングのために皿があるように、
私たちを涼しくするために扇があるように、
男は女のためにつくられ、
女は男のためにつくられる。
Be she widow, wife or maid,
Be she wanton, be she stayed,
Be she well or ill array'd,
Whore, bawd or harridan,
Yet man is for the woman made,
And the woman made for man.
未亡人だろうが、人妻だろうが、生娘だろうが、
ふしだらだろうが、貞節だろうが、
着こなしが良かろうが悪かろうが、
娼婦だろうが、売春宿の女将だろうが、鬼婆だろうが、
男は女のためにつくられ、
女は男のためにつくられる。
詩:Peter Anthony Motteux (1660-1718)
曲:Henry Purcell (1659?-1695)
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イギリスの大作曲家ヘンリー・パーセルの生誕(約)350年を祝って、彼の歌をとりあげました。
Thomas Scottの芝居"The Mock Marriage"の付随音楽として作曲されたこの作品、芝居の中身が気になるところです(詩はMotteuxという人が作ったようです)。
男は女のために、女は男のためにあるのだということを様々な比喩を並べて表現しています。
パーセルの曲も軽快でとても楽しめます。
Judith Nelsonの古楽演奏(とても美しく清涼感にあふれた歌唱)
http://www.youtube.com/watch?v=vexYxL_yb2s
Gloria Davy(S) & Giorgio Favaretto(P)によるブリテン編曲の現代風演奏
(ブリテン編曲の華麗なピアノパートを往年の名手ファヴァレットが素敵に演奏し、デイヴィの歌も魅力的)
http://www.youtube.com/watch?v=uJPD3MJ0U1A
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コメント
フランツさん、こんにちは。
愉しい歌を有り難うございます。
私は、古楽の方が好みですが、あとの演奏も、ピアノと軽快な歌い方がいいと思いました。易しいメロディで、楽譜が表示されるので、すぐに覚えられそうですね。
それにしても、面白い歌詞ですね。
女のいろいろな表現、もし男なら、どんな風に言い換えられるのでしょうね。
投稿: Clara | 2009年3月29日 (日曜日) 13時03分
Claraさん、こんにちは。
ご感想を有難うございました。
楽しんでいただけてうれしいです。
古楽の方はオリジナルの響きを楽しめますね。
とても澄み切った声がチャーミングだと思いました。
最後の節を男性に置き換えたらと想像してみるのも面白いですね。
「男やもめだろうが、妻帯者だろうが、少年だろうが、女癖が悪かろうが、奥手だろうが、…」という感じでしょうか。
投稿: フランツ | 2009年3月29日 (日曜日) 13時57分