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ハイドン/心地よい苦痛

Pleasing Pain, Hob. XXVIa no. 29
 心地よい苦痛

Far from this throbbing bosom haste,
Ye doubts, ye fears, that lay it waste;
Dear anxious days of pleasing pain,
Fly never to return again.
 この速く鼓動する胸から遠くへ離れるのだ、
 汝ら、この胸を荒らす疑いよ、恐れよ。
 親愛なる、心地よい苦痛の不安な日々よ、
 飛んでいき、再び戻ってくるな。

But ah, return ye smiling hours,
By careless fancy crown'd with flow'rs;
Come, fairy joys and wishes gay,
And dance in sportive rounds away.
 だが、ああ、戻っておくれ、汝ら微笑む時間よ、
 花輪を冠した気楽な空想によって。
 来たれ、魔力あふれる喜びと陽気な願いよ、
 そしてふざけながら輪になって踊り続けよ。

So shall the moments gaily glide
O'er various life's tumultuous tide,
Nor sad regrets disturb their course
To calm oblivion's peaceful source.
 こうして瞬間は楽しげに
 様々な人生の荒れた潮の上を滑り行く、
 悲しい後悔の念もその進路を妨げることはないのだ、
 静かな忘却の平和な源泉への進路を。

詩:Anne Hunter (née Home: 1742-1821)
曲:Franz Joseph Haydn (1732-1809)

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アン・ハンターの英語詩による「6つのオリジナル・カンツォネッタ 第1集」の第5曲。
全3節の変形有節形式(全59小節)。

テキストは苦悩に去ることを願い、喜びの到来を願うという内容のようだが(非常に難しく、訳はあまり自信がないが)、ハイドンの曲は第1、3節目の後半で一時的に憂いの表情を見せるものの、全体的にはいつもながらの穏やかさが勝っており、苦悩を懐かしく回顧しているかのようだ。

ところで、第1節第3行にあらわれ、この詩のタイトルにもなっている「心地よい苦痛」とはどういうことだろうか。
「心地よい」のは(かつての)恋人との愛の日々だろうか。
実際の愛は苦しみと隣り合わせだったとしても「気楽な空想」は幸せだった愛の喜びだけを呼び戻すことが出来るということだろうか。

ピアノの間奏と後奏は"dance"(踊る)という言葉に由来したかのような陽気な音楽が奏され、前半の穏やかさと対照的なあわただしさが印象的。

8分の6拍子、Allegretto、ト長調。
最高音2点ト音、最低音1点ニ音。

アーメリング(S)デームス(P):PHILIPS:1980年録音:余裕のある語り口で苦痛を回想しているかのようだ。

オージェー(S)オルベルツ(P):BERLIN Classics:1980年録音:よく歌い生き生きと弾むオルベルツのピアノと対照的に、オージェーはあくまでも静かな語り口を貫いている。

ミルン(S)ヴィニョールズ(P):Hyperion:2001年録音:テンポが早すぎて若干せわしない印象だ。

以下のHyperionレーベルのサイトを開き、Detailsの下にある音符のマークをクリックすると最初の数秒が試聴できます(ミルン&ヴィニョールズの演奏)。

http://www.hyperion-records.co.uk/tw.asp?w=W6831&t=GBAJY0217414&al=CDA67174

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コメント

Pleasing Painですか。頭韻で耳に心地よいですね。英詩なども読んでいくとはまりそうですね。昔英語を習い始めた頃、かわいい詩をいろいろ聞きました。

投稿: Auty | 2009年2月28日 (土曜日) 11時03分

Autyさん、こんにちは。
鋭いご指摘、有難うございます。
確かに頭韻を踏んでいますね。
あらためて見てみると、第1節と第3節の最初の2つの音節も頭韻を踏んでいて、意図的な言葉の選択なのだと感じました。
詩の奥深さをあらためて感じました。

投稿: フランツ | 2009年2月28日 (土曜日) 12時27分

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