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「クラシック・アーカイブ」を見る

昨夜、NHK教育テレビで過去の外来演奏家の貴重な映像を集めた「ETV50クラシック・アーカイブ~和洋名演名舞台~-第2部・世紀の名演奏-」(22:45-0:30)が放送された。
休み明けの仕事疲れか睡魔に勝てずビデオ録画しておき、さきほど見たところである。
進行役はお馴染みの池辺晋一郎さんと、ギタリストの村治佳織さん。

白黒映像のカラヤン指揮ヴィーン・フィルの「未完成」(1959年)から、クライバー指揮バイエルン国立管のベートーヴェン第7番全曲(1986年)までいずれも超有名人ばかりの貴重な記録である。
3大テノールの映像などを聴くとやはり彼らの声の魅力は並外れていたのだろうなと思うが、「アドリアーナ・ルクヴルール」でカレーラスが歌うのを見守るカバリエが声に出さずに一緒に口を動かしていたのが面白かった。
グラナードスの「スペイン舞曲」を弾くセゴビアの指は太く、かえって弾きにくかったのではないかと思ったり、20年ほど前のアルゲリッチのラヴェルのコンチェルトを見て、まだスタイルも良く美しい一方、その二の腕の太さに驚いたりと、映像ならではの面白さがあり、釘付けになって一気に見終わってしまった。

1980年代にブームになったロシア出身のブーニン、キーシン、レーピンもまだ若く懐かしかった。
1983年に初来日して「ひびの入った骨董」などと言われてしまったホロヴィッツの映像も出てきたが、ベートーヴェンのソナタ第28番を弾く彼は「ひび」が入っておらずホロヴィッツの魅力が健在だったように思う。
ミケランジェリの技巧の凄さも印象的だったし、デル・モナコとゴッビが共演した映像も貴重な記録だろう。

だが私としては、やはり「美しい水車屋の娘」の「どこへ」を歌うシュライアーの映像が最もうれしかった。
1980年に来日した時の録画で、コンラート・ラゴスニクのギターとの共演である。
シュライアーはラゴスニクと並んで椅子に腰掛け、物語を読み聞かせるように静かに噛んでふくめるような味わいをもって歌う。
ギターの典雅な響きはごく内輪の集まりでのアットホームな雰囲気を醸し出し、シュライアーは主人公になりきるのではなく第三者の立場で語っていたように感じられた。

クライバーの映像を見るのははじめてだが、このカリスマ指揮者が練習の時には楽団員に徹底的にしこみ、本番では自由に楽しんで指揮しているという池辺さんの話も含め興味深かった。
池辺さんのオヤジギャグに苦笑せざるをえない村治さんが若干気の毒だったが・・・(慣れると結構はまりますが)。

放送内容は以下のリンク先をどうぞ(最初にhttp://を付けてください)。

cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-01-09&ch=31&eid=33155

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コメント

コンラート・ラゴスニクのギターとの共演である。
**
昔ラジオで聞きました。シュライヤーの声とギターが合っていて、牧歌的で大変好きでした。

投稿: Auty | 2009年1月11日 (日曜日) 14時18分

Autyさん、こんばんは。放送録音を聴かれたことがあるそうでうらやましいです。
シュライアーは「水車屋」のほかにもラゴスニクとの共演を積極的に行っていますね。シュライアーの細めの声がギターの繊細さとぴったり一致していて素晴らしいと思いました。

投稿: フランツ | 2009年1月11日 (日曜日) 19時54分

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