ブラームス「甲斐なきセレナーデ」を聴き比べる
最近の動画サイトには有難いことに沢山の貴重な演奏の映像がアップされています。
歌曲についてもこれまで音でしか知らなかった人が実際に歌っている映像を発見して感激することもしばしばです。
そんな中、ブラームスのコミカルな歌曲「甲斐なきセレナーデ」を往年の大御所たちがそろって歌っているので聴いてみることにしましょう。
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス&ジェラルド・ムーア(1957年頃)
http://jp.youtube.com/watch?v=0BaJDB6X9sE
クリスタ・ルートヴィヒ&ジェラルド・ムーア(1961年)
http://jp.youtube.com/watch?v=MsIHSmpTFQg
エリーザベト・シュヴァルツコプフ&ジェラルド・ムーア(1970年)
http://jp.youtube.com/watch?v=lnJZ7WOIjng
ちなみに歌詞の内容は以下のとおりです。
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Vergebliches Ständchen, Op. 84-4
甲斐なきセレナーデ
Er:
Guten Abend, mein Schatz,
Guten Abend, mein Kind!
Ich komm' aus Lieb' zu dir,
Ach, mach' mir auf die Tür,
Mach' mir auf die Tür!
彼:
こんばんは、大切な君、
こんばんは、いとしい子!
恋しさのあまり君のところに来てしまった、
ねえ、ドアを開けてくれよ、
ドアを開けておくれ!
Sie:
Mein' Tür ist verschlossen,
Ich laß dich nicht ein;
Mutter, die rät' mir klug,
Wär'st du herein mit Fug,
Wär's mit mir vorbei!
彼女:
うちのドアは鍵がかかっているの、
あなたを入れさせないわ。
お母さんがね、賢明にもあたしに忠告してくれたのよ、
あなたを当然のように中に入れたりしたら
あたしはもうおしまいなんですって!
Er:
So kalt ist die Nacht,
So eisig der Wind,
Daß mir das Herz erfriert,
Mein' Lieb' erlöschen wird;
Öffne mir, mein Kind!
彼:
夜はとっても寒くて、
風が凍りつくようだよ、
だからぼくの心は凍ってしまい、
愛も消えてしまうだろうよ、
開けてくれないか、ぼくのいい子ちゃん!
Sie:
Löschet dein' Lieb';
Lass' sie löschen nur!
Löschet sie immerzu,
Geh' heim zu Bett, zur Ruh'!
Gute Nacht, mein Knab'!
彼女:
あんたの愛が消えるというのなら
消しておしまいなさい!
愛がずっと消えたままというのなら
さっさとお家のベッドに戻って休むがいいわ!
おやすみなさい、私の坊やちゃん!
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いずれもBBCの映像からとったもので、それぞれの歌手の特徴がよくあらわれていて面白いです。
皆さんは誰の演奏が一番気に入ったでしょうか。
ちなみに私の選んだMVPは・・・
「ジェラルド・ムーア」です。
決してテクニックの上手さや切れ味の鋭さで聞かせるピアニストではないことは承知しているのですが、彼の演奏を聴くとつくづく感心してしまうのです。
例えば、シュヴァルツコプフが最後にゆっくりためながら締めの言葉を語ろうが、ルートヴィヒが独特なゆったりしたテンポで悠然と歌おうが、ロス・アンヘレスが早めのテンポで可愛らしく歌おうが、どんなにテンポをゆらしてもとことん付いていくこの能力は、2、3回リハーサルを積んだからといって誰でも出来るものではないと思うのです。
歌手がどのように歌うかをおそらく直感的に把握して、これほど速度も強弱もぴったりと一致させながら内容の豊かな音楽を演奏できるというのは、ほかのどんなにテクニックの優秀なピアニストたちにも劣らない鋭い耳と独自のセンスを備えていると言えるのではないでしょうか。
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コメント
ルードヴィヒとシュヴァルツコフのを聞きました。後者はとくに良いですね!
Mein Tür ist verschlossen ich lass dich nicht ein!
なつかしいなつかしい。大昔に「ラジオドイツ語講座」で聞いたのでした。レコードやCDがなくても、こうやってネットで気軽に聞ける(見られる)のは楽しいです!
とても楽しい曲のご紹介をありがとうございます!
投稿: Auty | 2008年12月21日 (日曜日) 17時08分
再びコメントを有難うございます。
こういう往年の演奏家の映像が見れるとはつくづくよい時代になったなと思います。
Autyさんはシュヴァルツコプフが良かったそうですね。私はその日の気分次第で好きな演奏が変わりそうです。つまり3つとも好きです。
私も学生時代に「ラジオドイツ語講座」を聞いていたことを懐かしく思い出しました。"Er ist's"などをラジオで解説していた記憶があります。
投稿: フランツ | 2008年12月21日 (日曜日) 19時43分