プライ日本公演曲目1988年(第8回来日)
第8回来日:1988年11月
ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(BR)
ヘルムート・ドイッチェ(Helmut Deutsch)(P)
バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)(C)
11月13日(日)15:00 NHKホール:バイエルン国立歌劇場
11月18日(金)17:00 NHKホール:バイエルン国立歌劇場
11月22日(水)18:30 宇都宮市文化会館:リサイタル
11月24日(金)18:30 群馬音楽センター:リサイタル
11月26日(日)19:00 サントリーホール:リサイタル
11月28日(火)19:00 茨城県立県民文化センター:リサイタル
(?12月3日(土)15:00 神奈川県民ホール:バイエルン国立歌劇場)(12月3日はプライとネッカーのどちらがベックメッサーとして出演したか不明)
●バイエルン国立歌劇場公演
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(Die Meistersinger von Nürnberg)(プライはベックメッサー役)
ハンス・ザックス:ベルント・ヴァイクル(Bernd Weikl)/テオ・アダム(Theo Adam)
ポーグナー:クルト・モル(Kurt Moll)/ヤン=ヘンドリック・ローターリング(Jan-Hendrik Rootering)
ワルター:ルネ・コロ(René Kollo)/ヨーゼフ・ホプファーヴィーザー(Josef Hopferwieser)
ダーヴィット:ペーター・シュライヤー(Peter Schreier)
エヴァ:ルチア・ポップ(Lucia Popp)
マグダレーナ:コルネリア・ヴルコップフ(Cornelia Wulkopf)
ベックメッサー:ヘルマン・プライ(Hermann Prey)/ハンス=ギュンター・ネッカー(Hans Günter Nöcker)
コートナー:アルフレート・クーン(Alfred Kuhn)
フォーゲルゲザング:ケネス・ガリソン(Kenneth Garrison)
ナハティガル:マルコ・シンデルマン(Marco Schindelmann)
ツォルン:ウルリヒ・レス(Ulrich Reß)
アイスリンガー:ヘルマン・サペル(Hermann Sapell)
モーザー:クラース・アーカン・アーンシェ(Claes H. Ahnsjö)
オルテル:ウォルフガング・ラオホ(Wolfgang Rauch)
シュヴァルツ:クリスチャン・ベッシュ(Christian Boesch)
フォルツ:ハンス・ヴィルブリンク(Hans Wilbrink)
夜警:ヤン=ヘンドリック・ローターリング(Jan-Hendrik Rootering)/クルト・モル(Kurt Moll)/ヘルマン・サペル(Hermann Sapell)
バイエルン国立歌劇場合唱団(Der Chor der Bayerischen Staatsoper)
バイエルン国立管弦楽団(Das Bayerische Staatsorchester)
指揮:ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)
演出:アウグスト・エヴァディング(August Everding)
装置・衣装:ユルゲン・ローゼ(Jürgen Rose)
合唱指揮:ウド・メアポール(Udo Mehrpohl)
●リサイタル 共演:ヘルムート・ドイッチェ(P)
シューベルト/歌曲集「冬の旅」(Winterreise)D911
(おやすみ/風見の旗/凍った涙/かじかみ/菩提樹/あふれる涙/川の上で/回想/鬼火/休息/春の夢/孤独/郵便馬車/白くなった頭/からす/最後の希望/村にて/嵐の朝/まぼろし/道しるべ/宿/勇気/まぼろしの太陽/辻音楽師)
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ヘルマン・プライ8回目の来日は、前回から4年後の1988年。
今回はバイエルン国立歌劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」公演でベックメッサーを歌うための来日で、同時に「冬の旅」のリサイタルを4箇所で歌った。
前回来日時のオペラ・アリア・プログラムでもハンス・ザックスの“にわとこ”のモノローグは歌っていたが、ベックメッサー役、しかも全曲を披露したのはこの時が最初で最後であった。
バイエルン国立歌劇場は「マイスタージンガー」を11月13日、18日、23日(以上NHKホール)、12月3日(神奈川県民ホール)の4回公演しているが、ベックメッサー役はプライとハンス=ギュンター・ネッカーのダブルキャストになっている。
そのうち、13日と18日はプライ、23日はネッカーが歌ったことが、たかさんのブログ他で分かったが、12月3日はどちらが歌ったのか分からなかった。
プライは「冬の旅」を連続して歌った後なので、ネッカーが歌った可能性の方が高いかもしれない。
「冬の旅」のピアニストは前回に続き、ヘルムート・ドイチュとの2度目の共演である。
「冬の旅」は1980年のフィガロ出演時を除いて、連続披露の記録を続けている。
私は26日のサントリーホールでの「冬の旅」を安価なP席で聴いたのだが、当時つけていた自分のメモを読むと、この時のプライの「豊麗な声」に感激している。
プライの声は録音で聴くと、その温かみのある声の印象が強いが、体の奥から湧き出てくるような豊かな声のボリュームは実演に接してはじめて感じたものだった。
この時はP席(ステージの後ろ)だったため、プライの声が反対側に響いていくのを惜しく思いつつも、かなり近くから彼の歌う姿を見ることが出来た貴重な体験だった。
この時も音程が上がりきらない箇所はあったが、80年代にDENONレーベルに録音したビアンコーニとの録音と基本的には近い解釈だったようだ。
「かじかみ」「回想」のような早目の曲をあえてゆっくり歌うのもこの当時のプライの特徴だが、全体的に自然でおおらかな歌唱だったとメモに書いている。
当時の私はこの演奏から絶望よりも希望を感じ取ったようだ。
ちなみにバイエルン国立歌劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」以外の公演は、「アラベラ」「コシ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョヴァンニ」で、「ミサ・ソレムニス」「第九交響曲」「ワーグナーのガラ・コンサート」も披露されているが、プライはそれらには出演していないようだ。
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コメント
フランツさん、貴重なデータ、本当によく調べて、まとめていらっしゃいますね。
もう、敬服します。
実際に、演奏も聴かれて、その時のことも、しっかり覚えていらっしゃるのですね。
そういう聴き手に恵まれるということも、演奏家にとっては、幸せなことだと思います。
1988年は、私はロンドンに住んでいて、日本の音楽事情には無縁でした。
ワグナーの「ローエングリン」を、ロイヤルオペラ劇場に見に行ったら、主演の筈のプラシノ・ドミンゴが、日本に演奏旅行に出かけてしまって、ほかの人が代役に立っていたことを知り、歯がみをして悔しがったことを、思い出します。
当時、日本はバブルの頂点。
海外から、金にあかせて、一流の演奏家をどんどん呼べたのでしょうね。
投稿: Clara | 2008年5月31日 (土曜日) 01時28分
Claraさん、こんばんは。
お褒めいただき恐縮です。
私の場合、こういうことだけは苦にならないようで、楽しみながら調べています。聴いた感想については、この当時はメモをとっていたので、それを頼りにおぼろげな記憶をよみがえらせています。
Claraさんはこのころはロンドンにおられたのですね。ドミンゴの件は本当に残念でしたね。でもロンドンをキャンセルして催したドミンゴの日本公演ではきっと目もくらむような料金設定がされていたのでしょう。もっと安ければ一度ぐらい聴いておきたかったのですが。
投稿: フランツ | 2008年5月31日 (土曜日) 02時02分
もう少し早くファンになっていたら、マイスタージンガーをリアルタイムで見られたのに、と惜しくてなりません。
>体の奥から湧き出てくるような豊かな声のボリューム・・
後年、私も体験いたしました。
PPであっても、大きなホールを満たしてしまう。
彼の声に包まれるのは本当に至福の時間でした。
没後15年の今年、こうしてフランツさんの書かれた記事をたどりながら、プライさんをしのべて幸せです。
投稿: 真子 | 2013年3月27日 (水曜日) 16時48分
真子さん、こんばんは。
プライが日本で「マイスタージンガー」に出演した時に聴かれた方はきっと喜ばれたのではないかと思います。私はこの頃リートばかりでオペラに目を向けていなかったので惜しいことをしました。
それにしても彼の豊かな声に包まれた経験がもてたことは今となっては貴重な思い出になりましたね。
投稿: フランツ | 2013年3月28日 (木曜日) 22時34分