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今年も大変お世話になりました。

今年もこのブログを訪れてくださった方々、コメントをくださった方々には感謝しております。
大変励みになりました。有難うございます。
新たな出会いがあったり、北欧歌曲に近づけたりと充実した音楽生活を過ごせたと思います。
2007年のアニバーサリー作曲家の中ではコルンゴルトを取り上げることが出来なかったのが心残りですが、来年にでも投稿したいと思います。
相変わらずマイペースに好きなことを書き散らしているだけでしたが、来年もよろしければご訪問ください。
今日からしばらくPCの前から離れますので3、4日ほどコメントのご返事などは出来ませんが、あらかじめご了承ください。
それでは皆様、良いお年をお迎えください!

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シューマン「クリスマスの歌」(詩:アンデルセン)

Weihnachtslied, Op. 79-16
 クリスマスの歌

Als das Christkind war zur Welt gebracht,
Das uns von der Hölle gerettet,
Da lag's auf der Krippe bei finstrer Nacht,
Auf Stroh und Heu gebettet;
Doch über der Hütte glänzte der Stern,
Und der Ochse küßte den Fuß des Herrn.
Halleluja, Kind Jesus!
 幼児キリストが
 地獄の世から私たちを救うべくお生まれになったとき
 闇夜のかいばおけに横になり
 わらと干草の上で眠っておられた。
 だが小屋の上では星が輝き
 雄牛が主の足にくちづけした。
 ハレルヤ 幼児イエス!

Ermanne dich, Seele, die krank und matt,
Vergiß die nagenden Schmerzen.
Ein Kind ward geboren in Davids Stadt
Zum Trost für alle Herzen.
O laßt uns wallen zum Kindlein hin,
Und Kinder werden in Geist und Sinn.
Halleluja, Kind Jesus!
 奮いたて 病んで疲れきった魂よ
 さいなむ苦しみを忘れよ。
 幼児がダビデの町でお生まれになったのだ
 みなの心をなぐさめるために。
 おお 幼児のもとに参じて
 心や意識のなかでキリストの子となろう。
 ハレルヤ 幼児イエス!

原詩:アンデルセン(Hans Christian Andersen: 1805.4.2, Odense, Denmark - 1875.8.4, Rolighed, Denmark)
曲:シューマン(Robert Alexander Schumann: 1810.6.8, Zwickau - 1856.7.29, Endenich)

サンプル楽譜とMIDI
http://www.freehandmusic.com/ProductDetail.aspx?ProdID=318140

Salomon Jadassohnのピアノ編曲版

コンピュータを使った音源

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アーメリングの歌う「四つの最後の歌」

オランダのネットラジオRadio4の番組"BIS"が12月に特集しているエリー・アーメリングの第3回放送が17日(日本時間18日早朝)にあったが、そこで彼女の歌うR.シュトラウスの「四つの最後の歌」をはじめて聴くことが出来た。

radio4.nl/page/programma/3/2007-12-17
(冒頭にhttp://www.を付けてください)
ページ中ほどの"Beluister de laatste uitzending"をクリックすればストリーミング放送が聴けます(おそらく次回放送日の前まで)。
ダウンロードの場合は前回の記事の追記をご覧ください。

放送された内容は以下の通り。

1.R.シュトラウス/「四つの最後の歌」(春;九月;眠りにつくとき;夕映えの中で):アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団;ヴォルフガング・サヴァリッシュ(C)(1983.11.23,コンセルトヘボウ)
2.マーラー/リュッケルトの詩による歌曲集より~やさしい香りを吸いこみ;私はこの世に忘れられ:オランダ放送室内管弦楽団;エト・スパンヤールト(C)(1991.6.1,ユトレフト)
3.a)シューマン/「ミルテ」~ズライカの歌Op. 25-9
  b)ヴォルフ/ユーフラテス川を渡っていたとき
  c)シューベルト/ズライカⅡ
  :以上ルドルフ・ヤンセン(P)(1988.2.7,コンセルトヘボウ)
4.シューベルト/「エレンの歌」Ⅰ~Ⅲ, D837~839(憩え、兵士よ;狩人よ、狩をやめて;アヴェ・マリア):ドルトン・ボールドウィン(P)(1978.4.14,コンセルトヘボウ)
5.フォレ/歌曲集「イヴの歌」(全曲)(楽園;最初の言葉;燃えるばら;神の輝きのように;夜明け;流れる水;目覚めているか、太陽の香り;白いばらの香りの中で;たそがれ;おお死よ、星くずよ):ドルトン・ボールドウィン(P)(1974.11.25)
6.ラヴェル/歌曲集「シェエラザード」(全曲)(アジア;魅惑の笛;つれない人):アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団;ハンス・フォンク(C)(1981.1.8,コンセルトヘボウ)
7.シューマン/歌曲集「女の愛と生涯」Op. 42(全曲)(彼に会ってからというもの;彼は誰よりも素敵な人;私には分からない;私の指にはめた指輪よ;手伝って、妹たち;やさしい友よ、あなたはいぶかしげに私を見つめています;我が心に、我が胸に;いまあなたははじめて私を苦しめました):ルドルフ・ヤンセン(P)(1983.2.7,ユトレフト)
8.a)シューマン/悲しい響きで歌わないでOp. 98a-7;話せと言わないでくださいOp. 98a-5
  b)シューベルト/ただ憧れを知る者だけがD. 877-4;私をこのままの姿でいさせてくださいD. 877-3
  c)ヴォルフ/ミニョン"あの国をご存知ですか"
  :以上ルドルフ・ヤンセン(P)(1988.2.7,コンセルトヘボウ)

アーメリングは引退公演のために来日した1996年に雑誌のインタビューで、最も録音したかったのはR.シュトラウスの「四つの最後の歌」だったが、かなわなかったので、サヴァリッシュ&コンセルトヘボウ管と共演した放送用の録音がいつかCD化されることを望んでいると言っていた。
それから10年以上経っても一向にCD化される気配がなく半ば諦めかけていたところ、今回の放送で聴くことが出来て感無量である。

「四つの最後の歌」を構成している「春」「九月」「眠りにつくとき」「夕映えの中で」の4曲はシュトラウス(1864-1949)最晩年の1948年に作曲された作品で、「夕映えの中で」がアイヒェンドルフ、他の3曲がヘルマン・ヘッセの詩による。
これら4曲をまとめたのは作曲家の意図ではないものの、特に「春に」を除く3曲はいずれも死の雰囲気が濃厚なため、まとめて演奏することに全く違和感がない。
むしろ抜粋での演奏だと物足りなく感じられるであろう。

さて、アーメリングの歌だが、1983年11月の録音ということは彼女50歳の時の歌唱である。
声がまだ衰えをみせる前の円熟期で、特に低声の充実が顕著にあらわれた頃なので、まさに時期を待って満を持して披露したのであろう。
シュトラウス特有の息の長い孤を描いた旋律線はアーメリングのイメージとは一見なかなか結びつかないが、実際に聴いてみると、彼女はシュトラウスにも対応可能なテクニックは完璧に備えていることがあらためて分かる。
倦怠感や爛熟した響きは、常に清潔、健全なイメージで見られていた彼女とは相反する世界のように思えるが、「春」の冒頭"In dämmrigen Grüften / träumte ich lang"の歌いだしを聴けば「これがアーメリング?」と耳を疑うような低声の充実した響きが確認できるであろう。
しかし彼女の最大の強みはおそらく弱声の絶妙なコントロールではないだろうか。
生死の中をふわふわ漂っているようなこれらの歌曲の響きの中で、シュトラウスが長い音価を付けた言葉を彼女はしばしばかなり抑えた音量で通す。
そこには大声を張り上げた時には得られない耳と心が吸い寄せられるような感覚があり、アーメリングの弱声の表現力を再認識させられるのだ。
特に「夕映えの中で」の最後の言葉"Tod"(死)を聴いていただきたい。
この1語に彼女のエッセンスが詰まっているように思う。

シュヴァルツコプフやヤノヴィッツで聴き馴染んだ光沢のある演奏とはまた異なった室内楽的な親密さを伴ったアーメリングの歌唱はこの歌曲集の代表的な演奏とは言えないかもしれないが、あまたの名演の中で確かに充分な存在意義を主張し得るものだと思う。

手綱を引き締めたサヴァリッシュのスマートなリードで、コンセルトヘボウ管の色彩感豊かな美しい響きがアーメリングに同調しているのが素晴らしい。

この日はほかにも録音のないマーラーのリュッケルト歌曲2曲も貴重であるほか、シューマン、フォレ、ラヴェルの代表的な歌曲集も堪能できる(フォレの「イヴの歌」だけはライヴ音源ではないかもしれない)。
また、シューベルトの「エレンの歌」3曲をまとめて歌ったのは彼女が走りかもしれない。
もちろん第3曲の「アヴェ・マリア」の美しさは言うまでも無い。

3と8のルドルフ・ヤンセンとの1988年ライヴの曲目は、1989年に津田ホールでも披露された「ゲーテに寄せて」と題されたプログラムとおそらく同一内容からとられたものと推測される。
特に8の3人の作曲家によるフィリーネやミニョンの歌は彼女ならではのプログラミングと言えるだろう。
「ただ憧れを知る者だけが」での深い思いのこもった表現は彼女の絶えざる訓練の賜物ではなかろうか。

ボールドウィンのスマートな中で多くを語る表現力や、ヤンセンの立体的な色彩感も聴きどころだろう。

来週はRadio4 "BIS!"のアーメリング特集第4回(来年も続くようである)。ピエルネの「ベツレヘムの子供たち」やマーラーの交響曲第4番などが放送される予定である。

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Im Abendrot
 夕映えの中で

Wir sind durch Not und Freude
Gegangen Hand in Hand;
Vom Wandern ruhen wir
Nun überm stillen Land.
 私たちは苦楽の中を
 手に手をとりあって歩んできた。
 旅はもう終わりにして
 静かなところで休もうではないか。

Rings sich die Täler neigen,
Es dunkelt schon die Luft,
Zwei Lerchen nur noch steigen
Nachträumend in den Duft.
 あたりでは、谷が傾き、
 すでに大気は暗くなっている。
 二羽のひばりはまだ
 香りたつ中、夢見心地で上っていく。

Tritt her und laß sie schwirren,
Bald ist es Schlafenszeit,
Daß wir uns nicht verirren
In dieser Einsamkeit.
 こちらへおいで、ひばりには飛ばせておけばいい、
 じきに眠る時間だ、
 私たちが道に迷わないように、
 この孤独の中で。

O weiter, stiller Friede!
So tief im Abendrot,
Wie sind wir wandermüde -
Ist dies etwa der Tod?
 おお広大で静かな平穏!
 夕映えの中でこんなに深く。
 私たちは旅することに疲れきった、
 もしやこれが死というものなのか?

詩:Josef Karl Benedikt von Eichendorff (1788.3.10, Schloß Lubowitz bei Ratibor - 1857.11.26, Neiße)
曲:Richard Strauss (1864.6.11, München - 1949.9.8, Garmisch-Partenkirchen)

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エリー・アーメリング・オランダ・ライヴ

最近さすらい人さんの日記で、オランダのネットラジオRadio4が12月にアーメリングの過去のライヴ演奏を毎週放送することを知り狂喜したところである。

radio4.nl/page/programma/3/2007-12-10
(冒頭にhttp://www.を付けてください)

放送は毎週現地時間の月曜日20:02~22:45の"BIS"という番組である。
日本時間では火曜日の早朝4:02~6:45なので、早起きすれば聞くことが出来るが、無理をしなくても放送内容はmp3で保管されているので、後でゆっくりダウンロードして聞くことも出来るのが有難い。
2時間43分の番組(ただし最初の4分ほどはCMと思われる)が4回分なので、アーメリングのかなり珍しいレパートリーも大量に披露され、貴重なこと、このうえない。

第1回目は12月3日(日本時間の4日)で、この回はヴォルフの「イタリア歌曲集」を1975年、1981年の2種類のライヴ録音で、さらにモーツァルトの「レクイエム」を1972年のハイティンク指揮のライヴ録音で放送される予定だったのだが、実際には「レクイエム」はコルボ指揮のERATOへの1975年録音、さらに「イタリア歌曲集」もどうやら1969年のPHILIPSの録音(スゼー&ボールドウィン)が使用されているようで、何故か予告と異なる音源だったのが残念だった。
手続き上の問題でも生じたのだろうか。

第2回目(12月10日)は予告通りのライヴ録音が使われ、バラエティに富んだプログラミングだった。
内容は以下の通り。

1.シューベルト/岩の上の羊飼いD965:シェフ・ダウヴェス(CL)アーウィン・ゲイジ(P)(1981.4.14,コンセルトヘボウ)
2.シューベルト/サルヴェ・レギーナ イ長調D676:オランダ放送室内管弦楽団;エルネスト・ブール(C)(1979.2.23)
3.ハッセ/Prata colles(全曲):ヴィレム・ノスケ(VLN)ピート・ネイラント(VLN)ヴィレム・デ・ズーテ(VLA)ルース・ホーセンス(VLC)ハンス・スハウマン(HPSC)(1957.10.18)
4.a)ハイドン/ひとりの乙女、ひとりの召使い, Hob.Gr.XXIIId no.1
  b)ヘンデル/「ジュリアス・シーザー」~わが運命を嘆こう
  :以上ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団;ジェイムズ・コンロン(C)(1982.12.19,デ・ドゥーレン、ロッテルダム)
5.a)ヴィヴァルディ/「勝利のユディータ」~Ombrae Carae
  b)ベートーヴェン/シェーナとアリア「いいえ、心配しないで」WoO. 92a
  :以上オランダ室内管弦楽団;ロナルト・ツォルマン(C)(1977.10.15, コンセルトヘボウ)
6.a)ヴィヴァルディ/「勝利のユディータ」~松明と蛇を身につけ
  b)ヘンデル(ジョルダーニ)/「ロデリンダ」~カロ・ミオ・ベン
  c)パイジエッロ/うつろな心(ネル・コル・ピウ)
  d)グルック/おお、いとしい恋人よ
  :以上オランダ室内管弦楽団;アントーニ・ロス・マルバ(C)(1981.5.2,コンセルトヘボウ)
7.ドビュッシー/「放蕩息子」~リアのアリア:オランダ放送室内管弦楽団;エト・スパンヤールト(C)(1991.6.1,ユトレフト)
8.ドビュッシー/「ステファヌ・マラルメの詩」(全曲)(ため息;むなしい願い;扇):オランダ放送室内管弦楽団;エト・スパンヤールト(C)(1991.6.1,ユトレフト)
9.ドビュッシー/「抒情的散文」(全曲)(夢に;砂浜に;花に;夕べに):ドルトン・ボールドウィン(P)(1976.10.26)
10.ショソン/7つの歌Op.2(全曲)(ナニー;魅惑;蝶々;最後の一葉;イタリアのセレナード;エベ;ハチドリ):ルドルフ・ヤンセン(P)(1982.12.1)
11.ラヴェル/「5つのギリシャ民謡集」(全曲)(花嫁の目覚め;向こうの教会へ;私と比べられる伊達男はだれ;乳香を摘む女たちの歌;何と楽しい!):ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団;デイヴィッド・ジンマン(C)

「岩の上の羊飼い」はアーメリング48歳の歌唱ということで、このコロラトゥーラを無理なく歌える最後の時期の録音だろう。
この種の曲はやはり声の若さが懐かしくなるが、含蓄に富んだ語りはこの頃だからこそ出せる味わいだろう。
アーメリングはシューベルトの歌曲はおそらく150曲以上のレパートリーを持っていると思うが、宗教曲の録音は無かったと思うので「サルヴェ・レギーナ」を歌っていたというのは意外な感じだった。
だが、曲の雰囲気はまさに彼女の声質にぴったりの美しく温かい作品である。
続くオーケストラとの数々の名アリア集はそのうちのいくつかはクルト・マズアとの録音でお馴染みだが、例えばパイジエッロで聴かせる自由な装飾の素晴らしさは特筆すべきだろう。
ドビュッシーは彼女の十八番だが、「放蕩息子」まで歌っていたとは初めて知った。
「マラルメ歌曲集」も録音と異なりオケとの共演なので不思議な色合いが立ち上っている感じがする。
今回のプログラムで特に貴重なのが、エルネスト・ショソンの作品2の7つの歌曲を全曲歌っていることである。
この中で「蝶々」と「ハチドリ」は録音があり、「ナニー」もステージで歌っていたのは知っていたが、全曲をまとめてというのはおそらく故国オランダのラジオ局だからこそのレパートリーなのではないか。
彼女の清冽な声と情感表現がこれらの慎ましやかな音楽にどれほど合っているかぜひ確認していただきたい。
最後の「5つのギリシャ民謡集」もピアノ版の録音はあるもののオケとの共演は初めて聴いた。
さらに曲に生命力が加わっているという感じだろうか。アーメリングも美しく、時に豪快に歌っている。

次週はとうとうR.シュトラウスの「4つの最後の歌」やマーラーの「私はこの世に忘れられ」などが放送されるので楽しみである。

なお、1週目と2週目のmp3は、次のURLを開いてください(冒頭にhttp://を付けてください)。
audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/

ページ下の方の
20071203-20.mp3
20071210-20.mp3
を右クリックして「対象をファイルに保存」でとりこめます。
なお165Mの容量があるのでサイズに気をつけてください。

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(12月19日追記)

mp3のリンクが貼ってあったページがなくなってしまったようなので、以下のリンクを右クリックして「対象をファイルに保存」で直接ファイルをダウンロードするか、Windows Media PlayerのURLに貼り付けて聴くという方法もあります。
ただし、ダウンロードは以前よりもかなり時間がかかります。

第1回目(モツレクとヴォルフ「イタリア歌曲集」)
http://audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/20071203-20.mp3

第2回目(シューベルト、古典アリア、ドビュッシー、ショソンなど)
http://audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/20071210-20.mp3

第3回目(「4つの最後の歌」「シェエラザード」「イヴの歌」、シューベルトなど)
http://audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/20071217-20.mp3

第4回目(ピエルネ、アンドリーセン、F.マルタン、マーラー)
http://audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/20071224-20.mp3

第5回目(バッハ、モーツァルト、マルタン、ベルク、マーラー、シューマン)
http://audio.omroep.nl/radio4/tros/maandagavondconcert/20080107-20.mp3

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(2008年1月4日追記)

第3回目(現地時間12月17日20時2分~)の詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

http://franzpeter.cocolog-nifty.com/taubenpost/2007/12/post_52bb.html

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第4回目(現地時間12月24日20時2分~)の詳しい内容は以下の通り。

1.ピエルネ/神秘劇「ベツレヘムの子供達」(アーメリングはジャネット役):レオン・コンベ(語り)ソフィア・ファン・サンテ(MS:マリア)ネリー・フルーンフェルト(S:星)ハンナ・ヴェイネ(S:ニコラス)ほか独唱者;クラーリング少女合唱団;ハーグ・ヘームスケルク学校少女合唱団;オランダ王宮管弦楽団員;オランダ王立軍楽隊;ロクス・ファン・イペレン(C)(1957.12.24)
2.H.アンドリーセン/Fiat Domine;Magna res est Amor:コンセルトヘボウ管弦楽団;ベルナルト・ハイティンク(C)(1967.9.27, コンセルトヘボウ、アムステルダム)
3.マルタン/マリア三部作(アヴェ・マリア;マニフィカート;スターバト・マーテル):イシュトヴァン・パルカーニ(VLN)オランダ放送室内管弦楽団;エルネスト・ブール(C)(1978.12.1)
4.マーラー/交響曲第4番ト長調(全曲)(アーメリングの歌唱は第4楽章のみ):コンセルトヘボウ管弦楽団;ベルナルト・ハイティンク(C)(1967.9.27, コンセルトヘボウ、アムステルダム)

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(2008年1月13日追記)

第5回目(アーメリング特集最終回:現地時間1月7日20時2分~)の詳しい内容は以下の通り。

1.バッハ/カンタータ「われはわが幸に満ち足れり」BWV84:オランダ放送小合唱団;ノーザン・シンフォニア・オヴ・イングランド;ローナルト・ツォルマン(C)(1977.1.30、コンセルトヘボウ)
2.モーツァルト/歌劇「女はみなこうしたもの(コシ・ファン・トゥッテ)」より(アーメリングはフィオルディリージ役)~さわやかに風よ吹け;岩のように:ソフィア・ファン・サンテ(MS:ドラベッラ)ヤン・デルクセン(BR:ドン・アルフォンソ)オランダ放送室内管弦楽団;マウリツ・ファン・デン・ベルフ(C)(1965.4.20)
3.モーツァルト/踊れ、喜べ、幸いなる魂よ(エクスルターテ・ユビラーテ)KV165:ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団;デイヴィッド・ジンマン(C)(1977.12.18、ドゥーレン、ロッテルダム)
4.バッハ/結婚カンタータ「消え去れ、悲しみの影」BWV202:ノーザン・シンフォニア・オヴ・イングランド;ローナルト・ツォルマン(C)(1977.1.30)
5.モーツァルト/あなたは熱烈な恋人のような真心があるKV217:アムステルダム・フィルハーモニー管弦楽団;アントン・ケルシェス(C)(1976.10.9、コンセルトヘボウ)
         どうしてあなたが忘れられましょう~恐れるな、愛する人よKV505:ルドルフ・ヤンセン(P)オランダ放送室内管弦楽団;ジャン・フルネ(C)
         私は行く、しかしどこへKV583:オランダ放送室内管弦楽団;ジャン・フルネ(C)(1988.1.9)
         あわれ、ここはいずこ~ああ語るはわれならずKV369:オランダ放送室内管弦楽団;エト・スパンヤールト(C)(1991.6.1、ユトレフト、フレーデンブルフ)
6.マルタン/「ミンネ(愛)の歌」(全曲)(ああ心のときめき;娘と鷹がいっしょに;リンデの下で):ルドルフ・ヤンセン(P)(1981.11.22)
7.ベルク/「7つの初期の歌」(全曲)(夜;葦の歌;ナイティンゲール;栄冠の夢;部屋の中で;愛の頌歌;夏の日々):ルドルフ・ヤンセン(P)(1980.5.2)
8.マーラー/「子供の魔法の角笛」より~ラインの伝説;高遠なる理性の讃美;誰がこの歌をつくったのか:ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団;ズデニェク・マーカル(C)(1972.7.8、ドゥーレン、ロッテルダム)
9.シューマン/献呈Op. 25-1;くるみの木Op. 25-3;はすの花Op. 25-7;ズライカの歌Op. 25-9;ふくろうOp. 79-10;砂男(眠りの精)Op. 79-12;てんとう虫Op. 79-13;春だOp. 79-23;まつゆき草Op. 79-26:イェルク・デームス(Hammerflügel)(レコード録音:1967年)

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北欧歌曲三昧

昨日御茶ノ水のdisk unionに出かけてきた。
目的は中古CD漁りともう1つ、店内のミニ・ライヴだった。
スウェーデンのソプラノ、カリーナ・ヘンリクソン(Carina Henriksson)とピアニスト、和田記代(わだきよ)による北欧歌曲のライヴが無料で開かれたのである。
あのCDであふれかえっている店内の一体どこで演奏されるのか、そもそもピアノを置くスペースがあるのか興味津々だったが、奥のレジの前のボックスCDが置いてあるあたりを臨時ステージにして、なんと小型の電子ピアノで演奏された(最初のうちはピアノの足がぐらぐら動いて弾きにくそうだった)。
ピアニストの和田氏が曲目解説を交えながら北欧歌曲を演奏していく。

ステーンハンマル/森の中で
グリーグ/茶色の二つの瞳;白鳥
ペッテション=ベリエル/暗い森をひとり歩くと;君の名を書いた
リンデ/リンゴの木と梨の木;あなたが私にキスした野原
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」~私のお父さん

歌手のヘンリクソンは小柄で細身にもかかわらず、その声量はかなり豊かで、なかなかの美声に細かなヴィブラートが加わる。
若く美しい容姿は舞台映えするであろうが、このようなアットホームな雰囲気の中で気軽に聴くのも悪くないと思った。
電子ピアノを弾かされた和田氏は弾きにくそうで気の毒だったが、最善を尽くして演奏していたように思う。
詩の内容が分からなくても短い各曲にそれぞれのドラマが込められているのが感じられる。
これから少しずつ北欧歌曲の探索をはじめてみようかという気持ちにさせられた日だった。

この日に購入した中古CDは結局すべて北欧歌曲ばかり4枚。
・クーラ&マデトヤ/歌曲集(K. Tiihonen;S. Salminen)(MARCO POLO: 8.225177)
・シベリウス/歌曲集第2集(M.グロープ;L.デルヴィンイェル)(BIS: CD-657)
・シベリウス/歌曲集第3集(A.S.v.オッター;B.フォシュベリ)(BIS: CD-757)
・シベリウス;クーラ;マデトヤ;パルムグレン;リンヤマ/フィンランド合唱曲集(The Candomino Choir)(FINLANDIA: FACD 918 S)

クーラの歌曲は民謡の影響があるそうで、簡素な中に哀しげな旋律が美しい。
シベリウスを歌っているモニカ・グロープは初めて聴いたが、ふくよかで包容力のある美声で表現力も堂に入っていて、個人的にはオッターより好きなタイプかもしれない。
フィンランド合唱曲集には、しばしば弊ブログを訪問してくださるClaraさんの思い出の曲"Sortunut ääni"が含まれている。
1分半の短い曲だが特徴あるリズムとほのかに暗い曲調は印象に残る。

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メリカント:歌曲集(ヒュンニネン&ゴトーニ)

メリカント(Oskar Merikanto):歌曲集
Hynninen_gothoni_merikantoワーナーミュージックジャパン: FINLANDIA: WPCS-10648
録音:1975年6月(1~15)、1984年5月(16~32)
ヨルマ・ヒュンニネン(Jorma Hynninen)(BR)
ラルフ・ゴトーニ(Ralf Gothóni)(P)

1. なぜに私は歌う(Miksi laulan)Op. 20-2
2. 思い出す時(Muistellessa)Op. 11-2
3. 嵐の鳥(Myrskylintu)Op. 30-4
4. 野鳩(Metsäkyyhkyset)Op. 47-1
5. 柔らかく響け、我が悲しみの調べ(Soi vienosti murheeni soitto)Op. 36-6
6. アンニナ(Annina) 
7. ラドガ(Laatokka)Op. 83-1
8. 人生に(Elämälle)Op. 93-4
9. 不可思議な神(Käsittämätön Jumala)Op. 109-2
10. 祈り(アヴェ・マリア)(Rukous)(Ave Maria)Op. 40-2
11. おいで 私と共に(Tule kanssani)Op. 75-3
12. 火が消え入るように(Kuin hiipuva hiilos tummentuu)Op. 47-2
13. 見よ、枝が揺れている(Kas, oksa värähtää)Op. 32-2
14. ねん ねん 坊や(Pai, Pai, paitaressu)Op. 2-1
15. 海にて(Merellä)Op. 47-4
16. 南の国の春の鳥(Kevätlinnuille etelässä)Op. 11-1
17. 金のかけら(Kullan murunen)Op. 20-1
18. 我が想いはあこがれの翼に乗って(Kiitävi aatos kaipuun siivin)
19. 土曜の夕べ(Lauantai-ilta)Op. 75-2
20. 天の門の歌うたい(Laulaja taivaan portilla)Op. 74-2
21. バラッド(Balladi)Op. 69-4
22. 若さを讃える(Nuoruuden ylistys)Op. 69-3
23. 私は歌う 小さき我が子に(Laulelen pojalleni pikkuiselle)Op. 107-1
24. 私は生きている!(Ma elän)Op. 71-1
25. すすり泣く笛(Itkevä huilu)Op. 52-4
26. うな垂れて(Huolissaan huokaileva) 
27. リンゴの花(Omenankukat)Op. 53-1
28. ああ どこに母親の小鳥は飛んでいった?(Oi, minne emon lintunen lensi)Op. 53-2
29. 夜想曲(Nocturne) 
30. 宵の口(Illansuussa)Op. 69-2
31. おやすみ(Hyvää yötä)Op. 75-1
32. 夕べの鐘(Iltakellot)Op. 106-1

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オスカル・メリカント(Oskar Merikanto: 1868.8.5, Helsinki - 1924.2.17, Oitti)の歌曲は先日のヒュンニネン(1941年Leppävirta生まれ)のコンサートで初めて聴いたのだが、その時は同じく初めて聴いたクーラの歌曲の方が私の好みに近いと思っていた。
ところが、その後このCDを購入して聴いてみたら、すっかりメリカントの素晴らしさに開眼してしまった。
ヒュンニネンのコンサートで歌われた6曲はすべてこのCDに含まれているので、まずはそのコンサートの曲順で6曲だけを取り出して聴いてみた。
あらためて聴いてみると、先日のコンサートでメリカントよりもクーラに惹かれた理由が自ずと分かってきた。
つまり、私が北欧歌曲にイメージする透き通ったような冷たい空気感、奥底からわいてくるような重く激しい情感、特有のもの哀しい旋律というものがクーラには色濃く現れていたのに対して、メリカントの歌曲にはあまり感じられなかったのである。
コンサートのプレトークで舘野泉さんが語っていたが、メリカントの歌はフィンランド人にとっては民謡のように広く親しまれているらしい。
つまり、芸術性云々というよりも、普通に生活している人たちにも分かりやすいメロディが使われており、気軽に口ずさめる曲ということではないだろうか。
私がこのCDを聴いて感じたのは、これらは北欧歌曲からイメージする地域色は殆どなく(フィンランド語が使われている点を除けば)、普遍性をもったサロン音楽と言ってもいいのではないかということである。
北欧という先入観を取り除いて純粋に聴いていくと、これらの歌曲は素直な歌の旋律と、繊細で充実したピアノパートが耳に残り、すんなりとその良さを感じることが出来るのだ。
CD解説によると「ねん ねん 坊や」という子守歌が歌われることが多いらしいが、先日のヒュンニネンが最後に歌った2曲「海にて」「嵐の鳥」はその訴求力において、特に強いものを感じた。
ヒュンニネンがこれらをメリカント歌曲の最後に置いたのも分かるドラマティックな作品である。

なお、このCDは前半15曲と後半17曲の録音に9年の開きがある。
録音環境の向上による響きの違いは当然としても、ヒュンニネンの声も随分変化している。
前半はなんといってもそのつやつやした若い声と真っ直ぐな表現が魅力であり、後半は経験を積んだことで身に付いた味わいや表現のまろやかさといった熟成された表現が堪能できる。

ラルフ・ゴトーニ(1946年Rauma生まれ)はもともとずば抜けてテクニックの優れたピアニストだと思うが、やはり9年後の演奏にどことなくゆとりが感じられるのは気のせいではないだろう。

150曲もの歌曲を作曲したというメリカントの魅力の一端を紹介してくれるのに最適な2人の素晴らしい演奏であった。

※CDブックレットの谷口ひろゆき氏の充実した解説と訳詩を参考にさせていただきました。

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