R.シュトラウス「九月」(詩:ヘッセ)
ひどく猛暑だった夏がここ数日で嘘のように涼しくなり、早く過ぎてほしかった筈の夏が名残惜しいような不思議な気分を感じています。
そんな時期にぴったりのヘルマン・ヘッセの詩にR.シュトラウスが美しい音楽を付けています。
オケ版ではシュヴァルツコプフ、ヤノヴィツ、オージェーなどの名演がありますが、ボニーの録音ではMax Wolffによるピアノ編曲版を聴くことが出来ます(DECCA:マーティノーのピアノ)。
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September (aus "Vier letzte Lieder")
九月
Der Garten trauert,
kühl sinkt in die Blumen der Regen.
Der Sommer schauert
still seinem Ende entgegen.
庭は悲しみにくれ、
冷たく花の中に雨が沈み落ちる。
夏は身震いする、
静かに最期の時に向かって。
Golden tropft Blatt um Blatt
nieder vom hohen Akazienbaum.
Sommer lächelt erstaunt und matt
in den sterbenden Gartentraum.
黄金色に一枚一枚、葉が滴り落ちる、
高いアカシアの木から。
夏は驚いて、力なく、
死に行く庭の夢に微笑みかける。
Lange noch bei den Rosen
bleibt er stehen, sehnt sich nach Ruh.
Langsam tut er die (großen)
müdgewordnen Augen zu.
さらに長いこと、バラのそばに
夏はとどまり、休みたいと願う。
ゆっくりと夏は、
眠くなった目を閉じるのだ。
詩:Hermann Hesse (1877.7.2, Calw - 1962.8.9, Montagnola, Switzerland)
曲:Richard Strauss (1864.6.11, München - 1949.9.8, Garmisch-Partenkirchen, Germany)
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コメント
フランツさん、こんばんは。
やはり秋になるとこの詩ですね。わたしも自分の日記に載せてしまいました。
時節柄どうぞご自愛を。
投稿: 甲斐 | 2007年9月 4日 (火曜日) 23時04分
甲斐さん、こんばんは。
ご返事が遅くなりすみません。
甲斐さんの日記、拝見しました。
私のよりもずっと趣のある素敵な訳詩と共に、添えられた文にポエジーが宿っていたように感じました。甲斐さんは詩人ですね。
投稿: フランツ | 2007年9月 5日 (水曜日) 21時23分