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渡辺護氏逝去

音楽評論家の渡辺護(わたなべまもる)氏が7月30日、イギリスのオックスフォードで亡くなったそうだ。享年91歳。

渡辺氏といえば「ドイツ歌曲の歴史」(音楽之友社)という名著もあるが、私にとってはブラームス歌曲の訳者としての印象が最も強い。その訳語は平易で、分かりやすい。鑑賞する詩としての翻訳というよりも、原詩で選ばれた語の忠実な再現を目指しておられたのではないか。そして、それはドイツ語に馴染みの薄い人にとっても、原詩の意味するところをストレートに理解する大きな助けになったと思う。
私が時々このブログで公開する未熟な訳も、目指すところは渡辺氏同様、原詩の忠実な再現である。

最近も「音楽の友」誌で音楽家のエピソードを軽妙な語り口で連載されていた。
長年にわたる音楽への探究に感謝し、ご冥福をお祈りいたします。

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コメント

渡辺氏といえば「ドイツ歌曲の歴史」(音楽之友社)
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その本、ゲーテ・インスティトゥートの図書館で借りました。内容をよく覚えてないのですが(汗)、とても役立った通史でした。

合掌。

投稿: Auty | 2007年9月23日 (日曜日) 14時27分

ゲーテ・インスティトゥートの図書室にはいろいろ蔵書がありそうですね(学生の頃、2、3度行ったことがあります)。
渡辺氏もドイツ歌曲の通史がこれまで全くなかったことがこの本を書くきっかけになったと前書きで書かれています。ミンネゼンガーの時代からヘンツェ、ライマンといった現代作曲家までの流れをコンパクトにまとめた良書だと思います。
渡辺氏の経歴を見ていたら、「枕草子」の独訳や、「日本の過去と現在」という独語著書もあるそうで、ドイツと日本の文化の架け橋としての功績もあったのではないでしょうか。

投稿: フランツ | 2007年9月23日 (日曜日) 15時45分

フランツさん
ゲーテの図書館は古いものはよくあります。新しいのはだめですが。生徒しているので無料で借りられるのです。

私の最初のドイツ語の本は、ウィーンで買ったWalter von der VogelweideとOswald von WolkensteinのRowohlt伝記です。それからロロロはよく読みました。

枕草子の独訳持ってます! Helmut Bodeという人のみたいです。日本人がいちばん好きな「春は曙は載ってないです」。ドイツ語にすると意味なくなっちゃうのかも。1年やっていたドイツブログで知り合ったドイツ人女性にプレゼントしたら喜んでくれました!!

今日はマティアス・ゲルネの「白鳥の歌」行ってきました。連作歌曲やプログラムを「ドラマする」のがうまい人だと思いました♪

投稿: Auty | 2007年9月24日 (月曜日) 22時58分

Walter von der VogelweideとOswald von Wolkensteinの伝記というのは面白そうですね。

「春は曙」は一番代表的な箇所なので、訳してほしいところですね。

ゲルネの「白鳥の歌」、私も1階最後列で聴きましたが、ますます磨かれた見事な演奏で、素晴らしかったと思います。師匠のF=ディースカウとは若干違った意味で「ドラマ」を感じさせますね。

投稿: フランツ | 2007年9月25日 (火曜日) 03時02分

フランツさんこんばんは。
信頼度が高く格調の高い渡辺氏の訳詩は、スタンダードと言えるものだったと思います。たまたま読んでいたマーラーの「リュッケルトの詩による歌曲」でも現行のものは91年に改訂されていることが記されており、より良い訳を作ることを心がけておられるのだなと思いました。既に相当なご高齢、どうしておられるのかと思いを馳せていた折の逝去の報、心よりご冥福をお祈りいたします。

投稿: 甲斐 | 2007年9月30日 (日曜日) 20時54分

甲斐さん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
マーラーの詩も改訂されていたのですか。DGのブラームス全集の場合もレコードからCD化された際に「補訂」したそうです。おっしゃるとおり、既訳に満足せず、少しでもよい訳を心掛けておられたのでしょうね。その姿勢は対訳を試みる者にとって学ぶところは大きいですね。

話変わりますが、明日のリサイタル、ぜひ楽しんできてください。そしてシェックの詩、よろしければまた「詩と音楽」で成果をご披露ください。私は明日から京都旅行に行ってきますが、白井さんのリサイタルはシューベルト&ヴォルフの日に行きたいなと思っています(チケットがとれたらまたご連絡します)。

投稿: フランツ | 2007年9月30日 (日曜日) 21時26分

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