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メンデルスゾーンの春の歌

4月に入り、生活のリズムががらりと変わったため、平日にブログを更新することが厳しくなってしまった。そんなわけで今後はしばらく週末の更新ということになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

古今東西の詩人たちが春を歌い、それらの詩に多くの作曲家が曲を付けている。
ドイツ語の作品だけに限ってもシューベルトにはシュルツェの詩による美しい「春に」D882があり、ブラームスにはファラースレーベンの「愛と春」Op. 3-2&3の2曲がある。そしてシューマンには「詩人の恋」Op. 48の第1曲で春の到来と共に恋心が芽生えたと歌った名歌がある。

「春の歌」というとメンデルスゾーン(Mendelssohn)の「無言歌」に含まれるピアノ曲が思い出されるが、彼の歌曲はどうかというと、これがまた数多い。タイトルに「春」という言葉がつく独唱歌曲だけを拾い上げても以下のようになる。

1)春の歌(Frühlingslied)Op. 8-6 "Jetzt kommt der Frühling"(詩:Friedricke Robert (1795-1832))
2)春に(Im Frühling)Op. 9-4 "Ihr frühlingstrunknen Blumen"(詩:不詳)
3)春の思い(Frühlingsglaube)Op. 9-8 "Die linden Lüfte sind erwacht"(詩:Johann Ludwig Uhland (1787-1862))
4)春の歌(Frühlingslied)Op. 19a-1 "In dem Walde süße Töne"(詩:Ulrich von Lichtenstein (1200?-1275?))
5)春の歌(Frühlingslied)Op. 34-3 "Es brechen im schallenden Reigen"(詩:Karl Klingemann (1798-1862))
6)春の歌(Frühlingslied)Op. 47-3 "Durch den Wald, den dunkeln, geht"(詩:Nikolaus Lenau (1802-1850))
7)春の歌(Frühlingslied)Op. 71-2 "Der Frühling naht mit Brausen"(詩:Karl Klingemann (1798-1862))
8)古いドイツの春の歌(Altdeutsches Frühlingslied)Op. 86-6 "Der trübe Winter ist vorbei"(詩:Friedrich Spee von Langenfeld (1591-1635))

これ以外にも春を歌った内容のものを探せばさらに増えるだろう。「春の歌(Frühlingslied)」というタイトルのものが5曲もあるので、CDの表記を見てどの曲なのかを判別するのはなかなか難しい。3はシューベルトによる同じ詩への付曲がより有名だろう(D686)。8はメンデルスゾーンの作曲した最後の歌曲である(F=ディースカウの活動晩年のヘルとの録音で聴ける)。

上述の8つの作品の中で最も歌われる機会が多いのは6のレーナウの詩による曲と思われる。私の把握しているだけでも、アーメリング&ヤンセン(CBSのLP)、ボニー&パーソンズ(TELDEC)、シュライアーのオルベルツ、エンゲルとの新旧録音(BERLIN CLASSICS)、F=ディースカウ&サヴァリシュ(EMI CLASSICS)がある。ピアノのきらびやかな分散和音に乗って、あふれるような春の思いが快活に歌われる(Allegro assai vivace:8分の9拍子:変ロ長調)。

6のOp. 47-3の「春の歌」ほどは知られていないが、それでもいくつかの録音で聴くことの出来る5の「春の歌」Op. 34-3の詩(クリンゲマン)をご紹介しようと思う。こちらも急速なテンポで快活に歌われ、6が流麗でピアノ右手の響きが目立っていたのに比べ、5はよりリズミカルで、ピアノ左手の響きが前面に出ている(Allegro vivace:4分の4拍子:ト長調)。ボニー盤、F=ディースカウ盤、シュライアー&オルベルツ盤のほかにマーガレット・プライス&グレアム・ジョンソンの録音(Hyperion)でも聴くことが出来る。

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Frühlingslied, Op. 34-3
 春の歌

Es brechen im schallenden Reigen
Die Frühlingsstimmen los,
Sie können's nicht länger verschweigen,
Die Wonne ist gar zu groß!
Wohin, sie ahnen es selber kaum,
Es rührt sie ein alter, ein süßer Traum!
 響く輪舞の中で、
 突然春の声があがる。
 それらはもはや黙っていられないのだ、
 喜びがあまりにも大きすぎて!
 どこに向かうのか自分ではほとんど予感することもなく、
 古い、甘美な夢がそれらを突き動かす!

Die Knospen schwellen und glühen
Und drängen sich an das Licht,
Und warten in sehnendem Blühen,
Daß liebende Hand sie bricht.
Wohin, sie ahnen es selber kaum,
Es rührt sie ein alter, ein süßer Traum!
 蕾たちはふくらみ萌え
 光に向かって押し出て、
 開花を憧れながら待つのだ、
 いとしい手が摘んでくれるのを。
 どこに向かうのか自分ではほとんど予感することもなく、
 古い、甘美な夢がそれらを突き動かす!

Und Frühlingsgeister, sie steigen
Hinab in der Menschen Brust,
Und regen da drinnen den Reigen
Der ew'gen Jugendlust.
Wohin, wir ahnen es selber kaum,
Es rührt uns ein alter, ein süßer Traum!
 そして春の精たちは、
 人の胸に下りて行き、
 その中で踊るのだ、
 永遠なる若き喜びの輪舞を。
 どこに向かうのか自分ではほとんど予感することもなく、
 古い、甘美な夢が我らを突き動かす!

詩:Karl Klingemann (1798-1862)
曲:Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy (1809.2.3, Hamburg - 1847.11.4, Leipzig)

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