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シュヴァルツコプフ日本公演曲目1974年

シュヴァルツコプフ4回目の来日公演は、4種のプログラムで8都市9公演が行われた。演奏家としての来日はこの時が最後である。彼女の公演はこれまでもそうだったが、2日連続で行われることは一度もない。声の管理に留意して最高の状態で披露するためのスケジューリングなのだろう。

4種類中、作曲家のあらわれる回数は以下の通り。
4回:シューベルト、R.シュトラウス、ヴォルフ
3回:シューマン
2回:ブラームス、マーラー
1回:リスト、プフィッツナー、キルピネン、グリーグ、バッハ、グルック、モーツァルト

これまでの3回の来日公演では、全プログラムに共通の作曲家は1人もいなかったが、今回はシューベルト、R.シュトラウス、ヴォルフの3人の作品がすべてのプログラムに含まれているのが興味深い。

また、これまでの来日プログラムでは異なるプログラムに共通の作品を含めることは無かったが、今回の最後(12月10日)に行われた“さよなら”演奏会の曲目は、プログラムA~Cに含まれる曲も多く含んでいる。ドイツリートの歴史を辿るような彼女の十八番ばかり集めた一夜と言えるだろう。おまけに彼女の代名詞のような元帥夫人の一場面まで歌っている(元帥夫人の衣装をつけて歌ったそうである)。

今回の選曲の中で、現在までに録音で聴くことの出来ないレパートリーは以下の通りである。
プログラムA:シューベルト「春の思いD686」;同「春のあこがれD957-3」;ブラームス「ザラマンダーOp. 107-2」
プログラムB:シューベルト「辻音楽師D911-24」;プフィッツナー「孤独な女Op. 9-2」;キルピネン/歌曲集「愛の歌」第2集(全5曲)
プログラムC:グリーグ「ばらのつぼみOp. 18-8」

キルピネンの歌曲集「愛の歌」の中の「小さな歌」だけはDECCAへの最後のレコード用に1979年1月3日にヴィーンで録音されているが、残念ながらお蔵入りとなった。シュヴァルツコプフは「冬の旅」の中の曲を「菩提樹」以外録音で残さなかったが(「菩提樹」もライヴ録音だが)、「辻音楽師」をどのように歌ったのか聴いてみたいものである。

(以下、曲名の日本語表記は原則としてプログラム冊子の記載通り。整理番号のないものには原タイトルを併記。)

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第4回来日:1974年11~12月

11月12日(火)19時 東京文化会館(プログラムA)
11月15日(金)18時30分 千葉県文化会館(プログラムC)
11月18日(月)18時30分 宮城県民会館(プログラムC)
11月21日(木)19時 立川市市民会館(プログラムB)
11月25日(月)19時 大阪フェスティバル・ホール(プログラムA)
12月2日(月)18時30分 中日劇場(名古屋)(プログラムC)
12月4日(水)19時 東京文化会館(プログラムC)
12月7日(土)19時 藤沢市民会館(プログラムB)
12月10日(火)19時 東京厚生年金会館(“さよなら”演奏会)

●プログラムA 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/春の思いD686;春のあこがれD957-3;菩提樹D911-5;緑野の歌D917
シューマン/歌曲集「リーダークライス」Op. 39より(2.間奏曲;3.森の対話;4.静けさ;9.悲しみ)
ブラームス/静かな夜(In stiller Nacht);私のまどろみはいよいよ浅くOp. 105-2;ザラマンダーOp. 107-2
~休憩~
R.シュトラウス/「三つのオフィーリアの歌」Op. 67-1~3(どうしたら私は本当の恋人を;お早よう,今日はヴァレンタインのお祭;むき出しのまま棺台にのせられ)
ヴォルフ/フィリーネ(Philine);捨てられた娘(Das verlassene Mägdlein);あの国をご存じでしょうか(Kennst du das Land);どんなに長い間(Wie lange schon);あたしの恋人はとてもおチビさん(Mein Liebster ist so klein);いえ、お若い方(Nein, junger Herr);ペンナにあたしの恋人がいる(Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen)

●プログラムB 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/シルヴィアにD891;独りずまいD800;糸を紡ぐグレートヒェンD118;辻音楽師D911-24
シューマン/献呈Op. 25-1;くるみの木Op. 25-3;トランプを占う女Op. 31-2
リスト/三人のジプシー(Die drei Zigeuner)S320
プフィッツナー/孤独な女Op. 9-2
マーラー/ラインの伝説(Rheinlegendchen)
~休憩~
キルピネン/歌曲集「愛の歌(Lieder der Liebe)」第2集(ふるさと;小さな歌;お前のばらを胸につけて;千の山々を越えて;甘美なしめし合わせ)
R.シュトラウス/わが子にOp. 37-3;母親の自慢話Op. 43-2;あした!Op. 27-4
ヴォルフ/明るいお月様が(Wie glänzt der helle Mond);朝露の中を踏みわけて(Wandl' ich in dem Morgentau);炭焼きの女房が酔っぱらって(Das Köhlerweib ist trunken)

●プログラムC 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/音楽に寄せてD547;「ロザムンデ」のロマンスD797-5;子守歌D498;ますD550
グリーグ/最後の春(Letzter Frühling)Op. 33-2;すいれんを手にして(Mit einer Wasserlilie)Op. 25-4;ばらのつぼみ(Die Rosenknospe)Op. 18-8;おん身を愛す(Ich liebe dich)Op. 5-3
マーラー/魚に説教するパドヴァの聖アントニウス(Des Antonius von Padua Fischpredigt);ほのかな香りを(Ich atmet' einen linden Duft);いたずらっ子をしつけるために(Um schlimme Kinder artig zu machen)
~休憩~
ヴォルフ/春に(Im Frühling);思いみよ,おお心よ(Denk' es, o Seele);妖精の歌(Elfenlied);眠っている幼児キリスト(Schlafendes Jesuskind);隠棲(Verborgenheit);ことづて(Auftrag)
R.シュトラウス/親しき幻Op. 48-1;父がいいましたOp. 36-3;あらしの日Op. 69-5

●“さよなら”演奏会(Farewell Concert) 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

バッハ/御身はわがかたわらにBWV508
グルック/小川は流れる(La rencontre imprévue: Einem Bach der fließt)
モーツァルト/すみれK. 476;いましめK. 433(416c)
シューベルト/シルヴィアにD891;菩提樹D911-5;糸を紡ぐグレートヒェンD118;幸福D433
R.シュトラウス/楽劇「ばらの騎士」Op. 59:第1幕より~元帥夫人のエピソード(Da geht er hin ~ Der Herr Graf weiss ohnehin.)
~休憩~
ヴォルフ/あの国をご存じでしょうか(Kennst du das Land);捨てられた娘(Das verlassene Mägdlein);フィリーネ(Philine)
シューマン/くるみの木Op. 25-3;トランプを占う女Op. 31-2
ブラームス/私のまどろみはいよいよ浅くOp. 105-2;甲斐なきセレナーデOp. 84-4
ヴォルフ/どんなに長い間(Wie lange schon);いえ、お若い方(Nein, junger Herr);ペンナにあたしの恋人がいる(Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen)

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彼女の演奏が日本で披露されたのはこの年で最後だったが、公開講座の講師として1984年に再来日している。

彼女とジェフリー・パーソンズは1979年3月19日にチューリヒ・オペラ・ハウスでリサイタルを開いたが、その3日後に彼女を常にプロデュースしてきた夫のウォルター・レッグが亡くなり、それと共に彼女の演奏家としての経歴にピリオドが打たれた。

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コメント

弊サイトにご訪問&コメントありがとうございます。
シュヴァルツコップは日本でキルピネンまで歌っていたのですね。
この歌曲集はヒュッシュなどの録音もあり、けっこうドイツでは
ポピュラーなようですが。

それとグリーグの「春」、これ私もEMIのソングブック第3集で
聴きましたが、ドイツ語の歌詞ってノルウェー語の原詩と全然
違うのに思い切り驚きました。なんだかドイツ語詞はちょっと
軽薄な感じすら漂わせていましたけれども、彼女が歌うと
なかなかいい感じです。

投稿: Fujii@歌曲会館 | 2007年2月27日 (火曜日) 00時06分

Fujiiさん、コメントを有難うございます。
キルピネンのこの歌曲集、実はまだ聴いたことがありません。ヒュンニネン&ゴトーニの録音は手元にあるのですが、「愛の歌」は含まれていませんので、他の録音をいつか聴いてみたいと思います。

シュヴァルツコプフはグリーグにかなり入れ込んでいたのではと思わせるほど録音でもコンサートでも多くとりあげているのは興味深いことです。F=ディースカウと違って、彼女は必ずしも原語尊重主義ではないようですね。「春」は美しい作品ですが、Fujiiさんが「詩と音楽」で言及されていた弦楽合奏による歌というのも聴いてみたいものです。

投稿: フランツ | 2007年2月27日 (火曜日) 01時28分

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