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シュヴァルツコプフ日本公演曲目1972年

シュヴァルツコプフ3回目の来日公演も前回同様1~2月で、6都市10公演が行われた。プログラムは5種類で、プログラムⅡ以外にヴォルフが含まれているのはいつものことである。だが、逆に考えれば、ヴォルフ歌いとして知られる彼女のリサイタルに、ヴォルフを含まないプログラムが必ず1種類あるというのは興味深い。主催者側の要望なのだろうか。

5種類中、作曲家のあらわれる回数は以下の通り。
4回:シューベルト、ヴォルフ
3回:ブラームス、マーラー
2回:シューマン、R.シュトラウス、グリーグ
1回:モーツァルト、リスト、レーヴェ、ラフマニノフ、ドヴォジャーク、チャイコフスキー、ムソルクスキー、民謡

ヴォルフと同じくシューベルトも4種類で歌っているが、前回来日時に「エレンの歌」1、2曲のみ歌って、3曲目の「アヴェ・マリア」が省かれたのに対して、今回は3曲ともまとめて披露している。シューマンは2回だけだが、プログラムⅡでは「リーダークライス」Op. 39全曲を披露している。グリーグを2回にわたり、計6曲歌っているのも興味深いが、ロシア歌曲も初来日時に続いて今回も披露している(プログラムⅤ)。ヴォルフにおいて言葉と音楽の結びつきを深く追求している彼女が、訳詩で他国の歌曲を歌うことに躊躇しないのも面白い。

今回の選曲の中で、現在までに録音で聴くことの出来ないレパートリーは以下の2曲のみである。
プログラムⅠ:ブラームス「夜鶯に寄せてOp. 46-4」
プログラムⅣ:ヴォルフ「郷愁」(「アイヒェンドルフ歌曲集」より)

(以下、曲名の日本語表記は原則としてプログラム冊子の記載通り。整理番号のないものには原タイトルを併記。)

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第3回来日:1972年1~2月

1月24日(月)18時30分 愛知県文化講堂(名古屋)(プログラムⅢ)
1月27日(木)19時 東京文化会館(プログラムⅠ)
1月30日(日)18時30分 東京文化会館(プログラムⅢ)
2月2日(水)19時 大阪フェスティバル・ホール(プログラムⅢ)
2月5日(土)18時30分 神奈川県立音楽堂(プログラムⅣ)
2月8日(火)18時30分 渋谷公会堂(プログラムⅣ)
2月11日(金)19時 京都会館(プログラムⅠ)
2月14日(月)19時 大阪フェスティバル・ホール(プログラムⅤ)
2月17日(木)19時 東京文化会館(都民劇場主催)(プログラムⅡ)
2月20日(日)19時 東京文化会館(プログラムⅤ)

●プログラムⅠ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/緑野の歌D917;「ロザムンデ」のロマンスD797-5;私のクラヴィーアにD342;独りずまいD800
ヴォルフ/語れとはいわないで(Heiss mich nicht reden);ただあこがれを知る人だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt);この姿のままで(So lasst mich scheinen);フィリーネ(Philine);あの国をご存じでしょうか(Kennst du das Land)
~休憩~
シューマン/ズライカの歌Op. 25-9;くるみの木Op. 25-3;二つのヴェネチアの歌Op. 25-17, 25-18(櫓の音をひそめよ;広場をわたって);トランプ占いをする娘Op. 31-2
ブラームス/夜鶯に寄せてOp. 46-4;あの下の谷間では(Da unten im Tale);セレナーデOp. 106-1
R.シュトラウス/いこえ、わが魂Op. 27-4;ばらのリボンOp. 36-1;あらしの日Op. 69-5

●プログラムⅡ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューマン/歌曲集「リーダークライス」Op. 39(全12曲)
~休憩~
ブラームス/永遠の愛Op. 43-1;私のまどろみはいよいよ浅くOp. 105-2;狩人Op. 95-4
グリーグ/はじめての出会い(Erstes Begegnen)Op. 21-1;すいれんを手にして(Mit einer Wasserlilie)Op. 25-4;この世のつね(Lauf der Welt)Op. 48-3
民謡(Volkslieder)/すずしい谷間で(In einem kühlen Grunde)(フロードリヒ・グリュック作曲);なだめられた娘(Die Beruhigte);おお、愛らしい天使よ(O du liabs Ängeli)(スイス民謡);恋びと(Gsätzli)(スイス民謡)

●プログラムⅢ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

モーツァルト/夕べの思いK. 523;警告K. 433(416c);わが感謝を受けよK. 383
シューベルト/エレンの歌ⅠD837;エレンの歌ⅡD838;エレンの歌ⅢD839
マーラー/ラインの伝説(Rheinlegendchen);ほのかな香りを(Ich atmet' einen linden Duft);いたずらっ子をしつけるために(Um schlimme Kinder artig zu machen)
~休憩~
ヴォルフ/春に(Im Frühling);捨てられた娘(Das verlassene Mägdlein);誰があんたを呼んだの(Wer rief dich denn?);私の捲髪のかげに(In dem Schatten meiner Locken);どんなに長い間(Wie lange schon);ジプシーの娘(Die Zigeunerin)
R.シュトラウス/夜Op. 10-3;父がいいましたOp. 36-3;あしたOp. 27-4

●プログラムⅣ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/シルヴィアにD891;ズライカⅠD720;ズライカⅡD717;べにひわの求愛D552;糸を紡ぐグレートヒェンD118
ブラームス/メロディーのようにOp. 105-1;愛のまことOp. 3-1;ねえママ、欲しいものがあるの(Och Moder, ich well en Ding han);甲斐なきセレナーデOp. 84-4
~休憩~
リスト/三人のジプシー(Die drei Zigeuner)S320
マーラー/うき世の暮らし(Das irdische Leben)
レーヴェ/ちっちゃな暮らしOp. 71
グリーグ/最後の春(Letzter Frühling)Op. 33-2;はじめての桜草を手にして(Mit einer Primula veris)Op. 26-4;おん身を愛す(Ich liebe dich)Op. 5-3
ヴォルフ/さようなら(Lebe wohl);緑に祝福あれ(Gesegnet sei das Grün);花のところへ行くのだったら(Wenn du zu den Blumen gehst);郷愁(Heimweh)(アイヒェンドルフの詩による)

●プログラムⅤ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/音楽に寄せてD547;子守歌D498;君はわがやすらいD776;ますD550;恋はいたるところにD239-6
ラフマニノフ/こどもたちに(To the Children)Op. 26-7
ドヴォジャーク/母が教えてくれた歌(Songs my mother taught me)Op. 55-4
ムソルクスキー/きのこ狩り(In den Pilzen)
チャイコフスキー/ただあこがれを知る人だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt)
マーラー/魚に説教するパドヴァの聖アントニウス(Des Antonius von Padua Fischpredigt)
~休憩~
ヴォルフ/夜の魔法(Nachtzauber);クリストブルーメにⅠ(Auf eine Christblume 1);妖精の歌(Elfenlied);恋に気を許しちゃだめ(Trau nicht der Liebe);隠棲(Verborgenheit)
ヴォルフ/「イタリア歌曲集」より~もはや私は乾いたパンを(Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr);あたしが女王様じゃないっていうのね(Du sagst mir, dass ich keine Fürstin sei);ちょっと黙ったらどう(Schweig' einmal still);なみなみならぬご身分は(Wohl kenn' ich euern Stand);いえ、お若い方(Nein, junger Herr);ペンナにあたしの恋人がいる(Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen)

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