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グリーグ「薔薇の時に」Op. 48-5

Zur Rosenzeit, Op. 48 No. 5
 薔薇の時に

Ihr verblühet,süße Rosen,
Meine Liebe trug euch nicht;
Blühet,ach! dem Hoffnungslosen,
Dem der Gram die Seele bricht.
 お前達は枯れようとしている、甘き薔薇よ、
 わが愛はお前達を抱(いだ)くことはなかった。
 咲くのだ、ああ!希望の消えた者に向けて、
 苦悩に心を裂かれた者に向けて。

Jener Tage denk' ich trauernd,
Als ich,Engel,an dir hing,
Auf das erste Knöspchen lauernd,
Früh zu meinem Garten ging;
 悲嘆にくれて私はあの日々を思う、
 私が、天使よ、あなたに夢中だった時、
 最初の蕾を待ちわびて
 朝早く庭に出たのだった。

Alle Blüten,alle Früchte
Noch zu deinen Füßen trug,
Und vor deinem Angesichte
Hoffnung in dem Herzen schlug.
 あらゆる花を、あらゆる実を、
 さらにあなたの足元に飾り、
 そしてあなたの顔の前で
 心の中の希望が脈打っていたものだった。

Ihr verblühet,süße Rosen,
Meine Liebe trug euch nicht;
Blühet,ach! dem Hoffnungslosen,
Dem der Gram die Seele bricht.
 お前達は枯れようとしている、甘き薔薇よ、
 わが愛はお前達を抱くことはなかった。
 咲くのだ、ああ!希望の消えた者に向けて、
 苦悩に心を裂かれた者に向けて。

詩:Johann Wolfgang von Goethe(1749.8.28-1832.3.22)
曲:Edvard Grieg (1843.6.15-1907.9.4), 1889年作曲

グリーグのドイツ語による「6つの歌曲」Op. 48の5曲目。
ゲーテの詩は、恋を失った者がかつて恋人と愛し合っていた頃の回想にひたりながら、今の状況を嘆くという内容。グリーグの曲は深い情感のこもった名作で、胸を締め付けられる。個人的にはOp. 48の中で最も強く惹かれる曲。

以前「詩と音楽」のサイトに投稿した時にいろいろコメントを書いていますので、よろしければ以下のリンクからご覧ください。今回こちらに再録するにあたって、訳詩に若干修正を加えました。

 「詩と音楽」へのリンク

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