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グリーグ「いずれは、私の思いよ」Op. 48-2

Dereinst, Gedanken mein, Op. 48 No. 2
 いずれは、私の思いよ

Dereinst, Gedanken mein,
Wirst ruhig sein.
Läßt Liebesglut
Dich still nicht werden,
In kühler Erden,
Da schläfst du gut,
Dort ohne Lieb' und ohne Pein
Wirst ruhig sein.
 いずれは、私の思いよ、
 おまえも穏やかになれるのだろう。
 恋の灼熱が
 おまえを静めないのなら、
 冷たい地中で
 ぐっすり眠るのだ。
 恋も苦しみもないあそこでは、
 穏やかになれるだろう。

Was du im Leben
Nicht hast gefunden,
Wenn es entschwunden,
Wird's dir gegeben,
Dann ohne Wunden
Und ohne Pein
Wirst ruhig sein.
 おまえが生前に
 見つけられなかったものは、
 それが消え去るときに
 おまえに与えられるのだ。
 その後、傷もなく
 苦しみもなく
 穏やかになれるだろう。

原詩:Cristóbal de Castillejo (c1490-1550)
訳詩:Emanuel von Geibel (1815.10.17-1884.4.6)
曲:Edvard Grieg (1843.6.15-1907.9.4)

グリーグのドイツ語による「6つの歌曲」Op. 48の2曲目。
ヴォルフの「スペイン歌曲集」の1曲としても知られるこの詩には、シューマン(Op. 74-3)やイェンゼン(Op. 4-7)も作曲している。

グリーグの音楽は、全2節の有節形式だが、各節の行数が異なるため、第2節では最初の2行が繰り返される。

歌いはじめを先取りした響きで、悠然とした和音が上昇する前奏の後、静かに歌が始まるが、恋の灼熱のくだりでアルペッジョの響きと共に、恋の苦悶の表現に変わる。しかし後半は詩に則して安らぎを取り戻していく。

鋭利な切れのあるヴォルフの曲が現世の苦しみを浮き立たせているのに対して、静謐な美しさを湛えたグリーグの音楽はあの世で回想しているような浮世離れした雰囲気に満ちている。ドイツ語による作品でありながら、凍てつくような厳しさと時に内側からこみ上げる情熱は紛れも無く北欧歌曲の刻印を示しているようだ。

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コメント

グリーグとヴォルフという、あまりにも異色な聴き比べなんて、これ以外ないでしょうね(笑)。

投稿: 田中文人 | 2010年9月 7日 (火曜日) 06時10分

田中さん、こんにちは!
グリーグとヴォルフ、確かに異色ですね。
グリーグのドイツ語歌曲は、ドイツ人がつくったような曲が多いですが、詩の言葉に引きずられるのでしょうか。
ヴォルフがグリーグのこの曲を知っていたのかどうか気になるところです。

投稿: フランツ | 2010年9月 8日 (水曜日) 17時04分

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