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グリーグ「世のならい」Op. 48-3

Lauf der Welt, Op. 48 No. 3
 世のならい

An jedem Abend geh' ich aus
Hinauf den Wiesensteg.
Sie schaut aus ihrem Gartenhaus,
Es stehet hart am Weg.
Wir haben uns noch nie bestellt,
Es ist nur so der Lauf der Welt.
 毎晩ぼくは歩いていくのだ、
 草原の小道の上へと。
 彼女は庭付きの家から見ていて、
 その家は道に接して立っている。
 ぼくらはまだお互いに言付けてもらったことがない、
 それが世のならいというものだ。

Ich weiß nicht, wie es so geschah,
Seit lange küss' ich sie,
Ich bitte nicht, sie sagt nicht: ja!
Doch sagt sie: nein! auch nie.
Wenn Lippe gern auf Lippe ruht,
Wir hindern's nicht, uns dünkt es gut.
 ぼくには何が起きたのか分からない、
 彼女に口づけをしてからというものずっと。
 ぼくは頼んでいないし、彼女は「いいわ!」と言っていない、
 でも彼女は「駄目!」とも言わなかった、
 唇が唇の上で喜んでやすらぐとき
 ぼくらはそれを妨げたりしない、素敵だと思うから。

Das Lüftchen mit der Rose spielt,
Es fragt nicht: hast mich lieb?
Das Röschen sich am Taue kühlt,
Es sagt nicht lange: gib!
Ich liebe sie, sie liebet mich,
Doch keines sagt: ich liebe dich!
 そよ風はバラと戯れるが、
 「ぼくのこと、好き?」と尋ねたりしない。
 かわいいバラは露で涼むが、
 長いこと「ちょうだいな!」と言うことはない。
 ぼくは彼女を愛しているし、彼女はぼくを愛している、
 でも「愛してる!」なんて二人とも言わないのだ。

詩:Johann Ludwig Uhland (1787.4.26-1862.11.13), "Stilles Verständnis"(無言の了解)
曲:Edvard Grieg (1843.6.15-1907.9.4), 1889年作曲

グリーグのドイツ語による「6つの歌曲」Op. 48の3曲目。
ウーラントの詩の原題は、Emily Ezust氏のサイトでは"Stilles Verständnis"(無言の了解)となっていたが、インターネット上で"Lauf der Welt"のタイトルでこの詩を掲載しているものもあったので、ウーラント自身によるタイトルの変更なのか、グリーグによる変更なのか確認できなかった。

詩は、言葉に出さずに理解しあう愛の様を描いているが、グリーグはこの詩にコミカルな要素を読み取ったようで、リズミカルに上下するメロディーで軽快に進める。A-B-Aの明確な構造で音楽が進むが、Aの各節最後の1行は繰り返され、軽快な中にもしっとりとした想いをこめているのが印象的である。

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コメント

Op.48はいい曲が多くて面白いですね。次はフォーゲルワイデのナイチンゲールの歌のはず。
こいつも楽しみにしております。
さて、私はこのLauf der Welt、グリーグのメロディ通りのコミカルな味わいを尊重してこんな感じで訳してみました。バブルの頃に流行った爆風スランプの「リゾ・ラバ」のイメージです。若さゆえのデタラメさといいますか...

まあこんな解釈もできるということでご覧頂ければ幸いです。近々この曲と6曲目の「夢」は「詩と音楽」でも取り上げようかと思っています。


世の中なんてそんなもの
   ウーラント

 毎晩ボクは外に出る
 野原の小道を通ってく
 あの娘は小屋から外を見てる
 小屋は道のすぐそばだ
 ボクらはまだ互いに知り合ってない
 世の中なんてそういうもんジャン

 どうしてそうなっちゃったのか分かんないけど
 ボクはあの娘に長いキッスをしてた
 ボクは求めなかったし、あの娘は「いいわ!」とは言わなかった
 ダメだとも言わなかったけれどもね
 唇がうれしそうに、もうひとつの唇の上に重なったときに
 どちらもやめようとはしなかったんだ それが素敵だと思えたから

 そよ風がバラにいたずらしても
 花は聞かない 「愛してくれるわよね?」とは
 小さいバラが露に濡れても
 バラは 濡らしてよ とは言わない
 ボクはあの娘を愛してるし あの娘はボクを愛してるけれど
 でもどちらも言わないんだ「愛しているよ!」 とは


「詩と音楽」でも今年はシベリウス、グリーグといったところを少し力を入れて取り上げようと現在付け焼刃でノルウェー語、スウェーデン語(シベリウスの歌曲はほとんどこの言葉)を学習中です。
単語はドイツ語と非常に良く似ているのでけっこう面白いですよ。
グリーグには素晴らしい歌曲が多いので、特に力を入れたいです。春にピッタリの曲が多いので(歌曲集「山の娘」など)春までになんとかしたいと思っておりますが...

投稿: Fujii@歌曲会館 | 2007年1月22日 (月曜日) 23時01分

Fujiiさん、コメント、有難うございます。
それにしても、脱帽です…。うま過ぎます!!
なるほどこういう詩だったのかとFujiiさんの詩を拝見してようやく分かった気持ちです。
グリーグのコミカルな解釈はウーラントの詩を正しく読んだものだったのですね。
爆風スランプの「リゾ・ラバ」、"ゼンブ、ウーソさ"の曲のことですね。まぁ、この手の詩の訳はお堅い詩よりもずっと私にとっては訳すのが難しいので、Fujiiさんの絶妙な訳で勉強させていただきます。
というわけで残りの詩も頑張りたいと思います(「薔薇の時に」は「詩と音楽」に以前投稿したものにリンクさせていただきたいと思っていますが、問題がある場合はお知らせください)。
それではFujiiさんのグリーグ(「山の娘」など)とシベリウスも楽しみにしております。「Zur Rosenzeit」もよかったらFujiiさんの訳も拝見できれば幸いです。
私も北欧の言葉をいろいろやってみたい気持ちはあるのですが、いつになることか。

投稿: フランツ | 2007年1月23日 (火曜日) 00時38分

はじめまして。
Web興味深く拝見をさせて頂きました。
もし、ご存知でしたら、
グリーグの楽譜「Gruß, Op. 48 no. 1 (1884)挨拶」の輸入版楽譜の所在について、どこで購入ができるかなど、教えて頂けると幸いです。
以上、ご確認下さる様、よろしくお願いいたします。

投稿: スペア | 2007年10月17日 (水曜日) 22時21分

スペア様
はじめまして。ご訪問とコメントをありがとうございます。

グリーグの輸入楽譜については、文京区にある「アカデミア・ミュージック」で入手できるようです。サイトでは検索も出来、GriegとLiederで掛け合わせるといくつかヒットします。
以下のURLで探してみてください(ただし、曲の詳細が記されていないので、直接問い合わせてみてください)。
https://www.academia-music.com/

また、"Gruss"だけを購入できる外国のサイトもありました。
FreeHandMusicというサイトでURLは以下の通りです(楽譜のサンプルだけでなく、MIDIで曲の一部も聴けます)。
http://www.freehandmusic.com/ProductDetail.aspx?PRODID=251263

投稿: フランツ | 2007年10月19日 (金曜日) 00時45分

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