アーメリングのシューベルト歌曲集
ソプラノのエリー・アーメリング(Elly Ameling)は、かつて好きな作曲家を問われて、「一にシューベルト、ニにシューベルト、三にもシューベルト」と答えたという。これはおそらく彼女の初期のころの話だと思うが、最後に来日した際のインタビューでも、一番多く歌ったのはシューベルトだったと述べていたので、シューベルトへの思い入れがひときわ強かったことは確かであろう。
録音においてもシューベルト歌曲集として、あるいはオムニバス盤の中に含まれる形で、彼女は初期から後期まで多くの録音を残してくれている。
詳細はこれからの記事で徐々に書いていきたいと思うが、今回はシューベルトの作品が含まれる彼女の録音を順に記してみたい。
1)PHILIPS:1959年録音 (「子守歌」D498のみ)
ヘルマン・ユールホルン(P)
2)harmonia mundi:1965年6月 Cedernsaal des Fuggerschlosses, Kirchheim 録音(「岩の上の羊飼い」D965ほか全9曲)
イェルク・デームス(Hammerflügel);ハンス・ダインツァー(CL: D965)
3)EMI Angel:1970年1月10~13日 Electrola Studio Zehlendorf 録音(「糸を紡ぐグレートヒェン」D118ほか全13曲)
イェルク・デームス(P)
4)EMI Angel:1971年10月7~14日 Zehlendorf Studio, Germany録音(「岩の上の羊飼い」D965ほか全11曲)
アーウィン・ゲイジ(P);ジョージ・ピーターソン(CL: D965)
5)Deutsche Grammophon:1972年4月 Ufa Studio, Berlin 録音(三・四重唱曲集:「結婚式の焼肉」D930ほか)
J.ベイカー(A);P.シュライアー(T);D.F=ディースカウ(BR);
ジェラルド・ムーア(P)
6)PHILIPS:1972年6月20~21日 Concertgebouw, Amsterdam 録音(「あの国をご存知ですか」D321ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P)
7)EMI:1972年9月6~11日 Gemeindehaus Studio, Zehlendorf 録音(「幸福」D433のみ)
ドルトン・ボールドウィン(P)
8)PHILIPS:1973年8月15~19日 Concertgebouw, Amsterdam 録音(「緑野の歌」D917ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P)
9)PHILIPS:1973年8月21~26日 Concertgebouw, Amsterdam 録音(「夕映えの中で」D799ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P)
10)PHILIPS:1975年8月15~19日 Concertgebouw, Amsterdam 録音(「糸を紡ぐグレートヒェン」D118ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P);メイナルト・クラーク(T: D126);ハーグ音楽院学生合唱団(D126)
11)PHILIPS:1975年9月4~11日 De Doelen, Rotterdam 録音(シューベルト・オペラ・アリア集)
クラエス・ホーカン・アーンシェ(T);ロッテルダム・フィルハーモニック管弦楽団;エド・デ・ワールト(C)
12)PHILIPS:1976年9月10~14日 Kleine zaal, Concertgebouw, Amsterdam 録音(ドイツ・ロマン派歌曲集:「ハナダイコン」D752;「あなたは憩い」D776のみ)
ドルトン・ボールドウィン(P)
13)SONY CLASSICAL:1977年9月27日~10月2日 The Maltings, Snape, Suffolk 録音(「ミニョンと竪琴弾き」D877-1;「光と愛」D352のみ)
ピーター・ピアーズ(T);ドルトン・ボールドウィン(P)
14)CBS:1979年頃(推定)録音(「岩の上の羊飼い」D965ほか)
アーウィン・ゲイジ(P);ギー・ドプリュ(CL: D965);ジュリア・ステュードベイカー(HR: D943)
15)PHILIPS:1982年7月1~3日 Henry Wood Hall, London 録音(「音楽に寄せて」D547ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P)
16)Etcetera:1983年 Holland 録音(「愛の使い」D957-1ほか)
ドルトン・ボールドウィン(P)
17)PHILIPS:1983年12月 Leipzig 録音(劇音楽「ロザムンデ」D797~ロマンツェのみ)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団;クルト・マズア(C)
18)PHILIPS:1984年8月20~23日 Utrecht 録音(「ガニュメデス」D544ほか)
ルドルフ・ヤンセン(P)
19)Omega:1987年7月2日 Theatre-Concert Hall, Tanglewood ライヴ録音(「春に」D882ほか)
ルドルフ・ヤンセン(P)
20)PHILIPS:1988年2月22~25日 La Chaux de Fonds, Swiss 録音(「野ばら」D257;「子守歌」D498のみ)
ルドルフ・ヤンセン(P)
21)Hyperion:1989年8月15~18日 London 録音(「ミノーナ」D152ほか)
グレアム・ジョンソン(P)
初期のharmonia mundiの録音をまとめてCD化された際の解説書によれば、1965年のシューベルト歌曲集以前に、「笑ったり、泣いたり」D777を録音してリリースしているらしいが、今のところ確認できていない。
上記の6、8~10、12、15、18の録音は4枚組のCDにまとめて発売されている。声の勢いのある充実した盛期から、深みの増した円熟期までの変遷を楽しむことの出来る素晴らしいディスクである(現在でも入手できるようだ)。
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