おいで、いとしい五月
Sehnsucht nach dem Frühlinge, K. 596 (Mozart)
春へのあこがれ(モーツァルト)(1791年1月14日、ヴィーン作曲)(独唱とピアノ)
Mailied, Op. 79-9 (Schumann)
五月の歌(シューマン)(1849年作曲)(2声とピアノ)(1,2,9,10節のみ。詩の変更が多い)
Komm, lieber Mai, und mache
Die Bäume wieder grün,
Und laß mir an dem Bache
Die kleinen Veilchen blüh'n!
おいで、いとしい五月、
木々をまた緑でいっぱいにしてよ、
それから小川のほとりに
ちっちゃなスミレの花を咲かせてよ!
Wie möcht' ich doch so gerne
Ein Veilchen wieder seh'n!
Ach, lieber Mai, wie gerne
Einmal spazieren geh'n!
ぼくはほんとうに
スミレがまた見たくてたまらないんだ!
ああ、いとしい五月、
お散歩したくてしょうがないよ!
Zwar Wintertage haben
Wohl auch der Freuden viel;
Man kann im Schnee eins traben
Und treibt manch' Abendspiel;
たしかに冬のあいだは
楽しいことがいっぱいあるさ、
雪の中、ひとりで駆けずり回ったり、
夕方だっていっぱい遊んだりする。
Baut Häuserchen von Karten,
Spielt Blindekuh und Pfand;
Auch gibt's wohl Schlittenfahrten
Aufs liebe freie Land.
カードでお家をつくったり、
目隠しして鬼ごっこしたり、罰ゲームをしたり。
ソリに乗って
広々とした田舎に出かけたりもするよね。
Doch wenn die Vöglein singen,
Und wir dann froh und flink
Auf grünen Rasen springen,
Das ist ein ander Ding!
でもね、小鳥が歌い出してから、
ぼくたちが大喜びですばしっこく
緑の芝生を飛び跳ねるのは
また別物なんだ!
Jetzt muß mein Steckenpferdchen
Dort in dem Winkel steh'n,
Denn draußen in dem Gärtchen
Kann man vor Kot nicht geh'n.
今、ぼくの木馬は
あの隅っこに置かれたまんま、
なぜかって外のお庭は
泥だらけで動かせないでしょ。
Am meisten aber dauert
Mich Lottchens Herzeleid.
Das arme Mädchen lauert
Recht auf die Blumenzeit!
でも一番かわいそうなのはね、
ロットヒェンが悲しんでいることなんだ。
あのかわいそうな女の子は
お花が咲くときを本当に待っているんだよ。
Umsonst hol' ich ihr Spielchen
Zum Zeitvertreib herbei:
Sie sitzt in ihrem Stühlchen
Wie's Hühnchen auf dem Ei.
ぼくがあの子の
気晴らしに遊ぶものをもってきても無駄なだけ。
あの子は椅子にすわったまんまなんだ、
卵を抱えたニワトリみたいにね。
Ach, wenn's doch erst gelinder
Und grüner draußen wär'!
Komm, lieber Mai, wir Kinder,
Wir bitten dich gar sehr!
ああ、お外がもっと穏やかになって
緑が生えてくれさえすればなあ!
おいで、いとしい五月、ぼくたちこどもは
きみに本当にお願いします!
O komm und bring' vor allen
Uns viele Veilchen mit!
Bring' auch viel Nachtigallen
Und schöne Kuckucks mit!
おお、おいで、とくに
スミレをいっぱい連れてきてくれよ!
それからナイティンゲールもいっぱい、
きれいなカッコウも連れてきてね!
詩:Christian Adolf Overbeck (1755.8.21-1821.3.9)
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