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「子供の遊び」K598(モーツァルト作曲)

モーツァルト・イヤーも残りわずか。彼が最後に書いた3つの歌曲のうち2曲の詩をすでにご紹介してきたが、最後に何とも天真爛漫で楽しい作品を。「子供の遊び」は「春への憧れ」と同じOverbeckの詩による有節歌曲で、8分の3拍子、イ長調。「元気に(Munter)」と指示されている。「春への憧れ」同様に、ピアノの右手は歌声部をそのままなぞる。子供がしゃべっているように訳すのは無理がある箇所もあり、かなり難しかったが、オーファーベクの詩自体も大人の視点が若干見えてしまっている気がしなくもない。全9節の長い詩だが、実際にはいくつかの節を選んで演奏される。なお、歌詞は版によって若干異なる(特に第8節)が、以下は新全集の楽譜に掲載されている歌詞に従った。

Das Kinderspiel, K. 598
 子供の遊び

[第1節]
Wir Kinder, wir schmecken
Der Freuden recht viel!
Wir schäkern und necken
(Versteht sich, im Spiel!)
Wir lärmen und singen
Und rennen uns um
Und hüpfen und springen
Im Grase herum!
 ぼくら子供って、
 楽しいことが本当に好きなんだ!
 ふざけたり、からかったりね
 (もちろん、遊びでだよ!)
 騒いだり、歌ったり、
 駆け回ったり、
 飛んだり跳ねたりするんだ、
 草むらでね!

[第2節]
Warum nicht? -  Zum Murren
Ist's Zeit noch genug!
Wer wollte wohl knurren,
Der wär' ja nicht klug.
Wie lustig steh'n dorten
Die Saat und das Gras!
Beschreiben mit Worten
Kann keiner wohl das.
 遊んでもいいでしょ。文句を言う時間なら
 まだ十分にあるじゃない!
 不平を言おうとするヤツなんか
 賢くないよ。
 なんてうれしそうに、あの
 苗や草が生えていることだろう!
 言葉じゃ
 誰も言いあらわせないほどだ。

[第3節]
Ha, Brüderchen, rennet
Ha, wälzt euch im Gras!
Noch ist's uns vergönnet,
Noch kleidet uns das.
Ach! werden wir älter,
So schickt sich's nicht mehr;
Dann treten wir kälter
Und steifer einher.
 さあ、弟たち、駆けっこだ、
 さあ、草の中で転がろう!
 まだぼくらはそうやっていいんだ、
 まだぼくらにふさわしいんだ。
 ああ!もっと年上になると
 もうそういうことが似合わなくなってしまう。
 そのころにはぼくらはもっと冷静に
 ぎこちなく歩いているんだろうな。
   
[第4節]
Ei, seht doch, ihr Brüder,
Den Schmetterling da!
Wer wirft ihn uns nieder?
Doch schonet ihn ja!
Dort flattert noch einer,
Der ist wohl sein Freund;
O schlag' ihn ja keiner,
Weil jener sonst weint!
 ほら、見てよ、弟たち、
 あそこに蝶々が!
 ぼくらのうち誰が捕まえる?
 でもやっぱり捕まえないでおこう!
 あそこにもう一匹ひらひら飛んでいるよ、
 あれはきっとさっきの蝶の友達だよ。
 おお、この蝶を誰も捕まえないでね、
 そうでないとさっきの蝶が泣いてしまうから!

[第5節]
Wird dort nicht gesungen? -
Wie herrlich das klingt!
Vortrefflich, ihr Jungen!
Die Nachtigall singt.
Dort sitzt sie! Seht oben
Im Apfelbaum dort;
Wir wollen sie loben,
So fährt sie wohl fort.
 あそこで何かが歌ってないかい?
 なんて素敵な響きなんだ!
 素晴らしいよね、きみたち少年!
 ナイティンゲールが歌っているんだよ。
 あそこにいる!上を見て、
 あのリンゴの木にいるよ。
 ぼくらがこのナイティンゲールをほめてあげよう、
 そうすればたぶん歌を続けてくれるさ。

[第6節]
Komm, Liebchen, hernieder
Und lass' dich beseh'n!
Wer lehrt dich die Lieder?
Du machst es recht schön!
O laß dich nicht stören,
Du Vögelchen du!
Wir alle, wir hören
Sehr gerne dir zu.
 下りて来て、かわいいきみ、
 そしてきみをよく見せてよ!
 誰がきみにその歌を教えたの?
 本当に美しい声だよ!
 おお、ぼくらにはおかまいなく、
 小鳥さん!
 ぼくらはみんな
 とってもきみの歌が聞きたいんだ。

[第7節]
Wo ist sie geblieben?
Wir seh'n sie nicht mehr!
Da flattert sie drüben!
Komm wieder, komm her!
Vergeblich! die Freude
Ist diesmal vorbei!
Ihr tat wer zuleide,
Sei, was es auch sei. 
 どこにいるんだい?
 もう見えなくなってしまったけど!
 あそこ、向こうで羽ばたいているよ!
 またおいでよ、こっちへ来て!
 無駄だったか!楽しみが
 今度は行ってしまったなぁ!
 誰かがいじめたんだね、
 何をしたのかはともかく。

[第8節]
Laßt Kränzchen uns winden,
Viel Blumen sind hier!
Wer Veilchen wird finden,
Empfänget dafür
Von Mutter zur Gabe
Ein Mäulchen, wohl zwei:
Juchheißa! Ich habe,
Ich hab' eins, Juchhei!
 花輪を編もうよ、
 ここにいっぱいお花があるよ!
 スミレを見つけた人は
 代わりに受け取るんだ、
 お母さんからプレゼントとして
 1回のキッスを、もしかして2回かも。
 ヤッター!見つけたぞ、
 ぼくが1輪見つけたんだ、ヤッター!

[第9節]
Ach, geht sie schon unter,
Die Sonne, so früh?
Wir sind ja noch munter;
Ach, Sonne, verzieh!
Nun morgen, ihr Brüder!
Schlaft wohl! gute Nacht!
Ja, morgen wird wieder
Gespielt und gelacht!
 ああ、もう沈んじゃうの、
 太陽、こんなに早く?
 ぼくらはまだ元気なのに。
 ああ、太陽、まだいてよ!
 また明日、きみたち兄弟!
 よく眠ってね!おやすみ!
 そう、明日になったらまた
 遊んだり笑ったりしようね!

詩:Christian Adolf Overbeck (1755-1821)

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●録音と演奏されている節(録音年順)

1)Irmgard Seefried(S) Gerald Moore(P):1、2、9節(TESTAMENT:SBT 1026:1950年11月16-18日録音)
2)Rita Streich(S) Erik Werba(P):1、2、9節(Deutsche Grammophon:474 738-2:1956年5月27-29日&10月13日録音)
3)Ingeborg Hallstein(S) Erik Werba(P):1、2、9節(ORFEO:C 709 062 I:1968年8月19日ザルツブルク・ライヴ録音)
4)Hermann Prey(BR) Jörg Demus(Hammerklavier):1、2、3、9節(PHILIPS:442 687-2:1970年代前半頃録音)
5)Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P):1、2、9節(PHILIPS:416 893-2:1977年8月14-16, 18, 20-23日録音)
6)Arleen Augér(S) Erik Werba(Hammerklavier):1、6、9節(ORFEO:C 509 011 B:1978年5月11日ザルツブルク・ライヴ録音)
7)Edith Mathis(S) Karl Engel(P):1、2、3、5、9節(Novalis:CRCB-1501:1986年8月録音)
8)Barbara Bonney(S) Geoffrey Parsons(P):1、2、3、8、9節(TELDEC:2292-46334-2:1990年8月録音)
9)Josef Protschka(T) Helmut Deutsch(P):1、2、3、9節(CAPRICCIO:10/446/447:1991年録音)

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