« シューマン「はすの花」(詩:ハイネ) | トップページ | シューマン「あなたは花のように」(詩:ハイネ) »

シューマン「ひとりぼっちの涙は何を望んでいるのだろう」(詩:ハイネ)

シューマンの歌曲集「ミルテ」Op.25の第21曲目。涙の姉妹(「涙」のドイツ語(Träne)が女性名詞なので「姉妹」と言っているのだろう)がみな流れ去ってしまったのに、最後にひとり残った涙が詩人の視界をいまだに曇らせているという失恋を引きずった者の歌。

-------------------------------

Was will die einsame Träne?, Op. 25-21
 ひとりぼっちの涙は何を望んでいるのだろう

Was will die einsame Träne?
Sie trübt mir ja den Blick.
Sie blieb aus alten Zeiten
In meinem Auge zurück.
 ひとりぼっちの涙は何を望んでいるのだろう。
 それはぼくの視界を曇らせる。
 昔から
 ぼくの目の中に残ったままなのだ。

Sie hatte viel leuchtende Schwestern,
Die alle zerflossen sind,
Mit meinen Qualen und Freuden
Zerflossen in Nacht und Wind.
 その涙には多くの光輝く姉妹がいたが、
 みな流れ去ってしまった。
 ぼくの苦しみや喜びとともに
 夜と風のうちに、流れ去っていった。

Wie Nebel sind auch zerflossen
Die blauen Sternelein,
Die mir jene Freuden und Qualen
Gelächelt ins Herz hinein.
 霧のように
 あの青い星たちまでもが消え去ってしまった。
 星たちは喜びも苦しみも
 ぼくの心に微笑みかけてくれたものだった。

Ach, meine Liebe selber
Zerfloß wie eitel Hauch!
Du alte, einsame Träne,
Zerfließe jetzunder auch!
 ああ、ぼくの恋自身も
 はかない吐息のように消え去った!
 なあ、昔からいるひとりぼっちの涙よ、
 おまえも今こそ流れ去ってしまうがいい!

| |

« シューマン「はすの花」(詩:ハイネ) | トップページ | シューマン「あなたは花のように」(詩:ハイネ) »

音楽」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

シューマン Robert Schumann」カテゴリの記事

ハイネ Heinrich Heine」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: シューマン「ひとりぼっちの涙は何を望んでいるのだろう」(詩:ハイネ):

« シューマン「はすの花」(詩:ハイネ) | トップページ | シューマン「あなたは花のように」(詩:ハイネ) »