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シュヴァルツコプフ日本公演曲目1968年

エリーザベト・シュヴァルツコプフ(Elisabeth Schwarzkopf: 1915.12.9 - 2006.8.3)の来日は1968年に初めて実現したが、それ以前に何度も計画されながらキャンセルされ、裁判沙汰になりかけたそうである。彼女はこの後、1970年、1972年、1974年と合計4回演奏のために来日することになる。共演者は4回ともジェフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons: 1929.6.15 - 1995.1.26)である。
(以下、曲名の日本語表記は原則としてプログラム冊子の記載通り。整理番号のないものには原タイトルを併記。)

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第1回来日:1968年4~5月

4月5日(金)19時 東京文化会館(プログラムⅠ)
4月8日(月)19時 東京文化会館(プログラムⅡ)
4月11日(木)19時 札幌市民会館(プログラムⅠ)
4月14日(日)19時 神奈川県立音楽堂(プログラムⅤ)
4月17日(水)19時 東京文化会館(プログラムⅢ)
4月20日(土)19時 大阪厚生年金会館(プログラムⅠ)
4月23日(火)19時 大阪厚生年金会館(プログラムⅡ)
4月26日(金)19時 福岡市民会館(プログラムⅠ)
4月29日(月)19時 東京文化会館(都民劇場主催)(プログラムⅣ)
5月2日(木)19時 東京文化会館(プログラムⅣ)

●プログラムⅠ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

モーツァルト/ゆうべの思いK. 523;私のねがいK. 539;すみれK. 476;警告K. 433(416c)
シューベルト/音楽によせてD547;緑野の歌D917;水の上にて歌えるD774;ますD550
シューマン/ズライカの歌Op. 25-9;二つのヴェネチアの歌Op. 25-17~18;トランプ占いの女Op. 31-2
ヴォルフ/あの国をご存知でしょうか(Kennst du das Land);アナクレオンの墓(Anakreons Grab);妖精の歌(Elfenlied);恋に気を許すな(Trau nicht der Liebe);私の髪のかげで(In dem Schatten meiner Locken)
ヴォルフ/主よ、この大地に生い立つものは(Herr, was trägt der Boden hier);眠れぬ者の太陽(Sonne der Schlummerlosen);夏の子守歌(Wiegenlied im Sommer);頭よ、泣くのはおよし(Köpfchen, Köpfchen);ジプシーの娘(Die Zigeunerin)

●プログラムⅡ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

バッハ/主よ、御身が間近におられるならBWV508
グルック/流れる小川に(La rencontre imprévue: Einem Bach der fließt)
ヘンデル/オペラ「アタランタ(Atalanta)」~さわやかな森(Care selve)
モーツァルト/オペラ「フィガロの結婚」K. 492~恋とはどんなものかしら(Voi, che sapete)
シューベルト/独りずまいD800;私のクラヴィーアにD342;シルヴィアにD891;恋はいたるところにD239
ブラームス/静かな夜に(In stiller Nacht);甲斐なきセレナーデOp. 84-4;深い谷間に(Da unten im Tale)
ムソルクスキー/小さな星よ、今いづこに(Little star, where art thou?);きのこ狩り(Gathering Mushrooms)
チャイコフスキー/ただあこがれを知るひとだけが(Nur wer die Sehnsucht kennt)Op. 6-6;ピンピネルラ(るりはこべ)(Pimpinella)Op. 38-6
ストラヴィンスキー/パストラール(Pastorale)
R.シュトラウス/いこえ、わが魂よOp. 27-4;母親の自慢話Op. 43-2;わが子にOp. 37-3;父がいいましたOp. 36-3
スイス民謡/山の上のマリア(Maria auf dem Berge);おお、愛らしい天使よ(O du liebs Ängeli);恋人(Gsätzli)

●プログラムⅢ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/ロマンス「満月は輝き」D797-5;笑いと涙D777;鳥D691;野ばらD257;千変万化の恋人D558;子守歌D498
R.シュトラウス/森のしあわせOp. 49-1;胸の思いOp. 21-1;こもり歌Op. 49-3;嵐の日Op. 69-5;あしたOp. 27-4;献身Op. 10-1
ヴォルフ/春に(Im Frühling);あなたが花のところに歩んでゆく時には(Wenn du zu den Blumen gehst);意地悪な舌は口をそろえて(Mögen alle bösen Zungen);わたしの彼氏はほんとにチビ助で(Mein Liebster ist so klein);捨てられた女中(Das verlassene Mägdlein);世をのがれて(Verborgenheit)
ヴォルフ/どうしてあたしは楽しそうにしたり(Wie soll ich fröhlich sein);もしあなたの家がガラスのようなら(O wär' dein Haus durchsichtig wie ein Glas);恋人があたしを食事に招いた(Mein Liebster hat zu Tische mich geladen);ふたりは長い間黙っていた(Wir haben beide lange Zeit geschwiegen);私を花で覆って下さい(Bedeckt mich mit Blumen);おまえの小さな足を痛めたのは(Wer tat deinem Füßlein weh?)

●プログラムⅣ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューベルト/ズライカⅠD720;ズライカⅡD717;きみはわがやすらいD776;漁師の歌D881;しあわせD433
シューマン/月夜Op. 39-5;てんとう虫Op. 79-13;だれがあなたを悩ませたのOp. 35-11;古いリュートOp. 35-12;ことづてOp. 77-5;くるみの木Op. 25-3;きみにささぐOp. 25-1
R.シュトラウス/「オフェリアの三つの歌」Op. 67-1~3;愛そうと思う者は、悩まなければならないOp. 49-7;ああ、何という悲しみ、悩みOp. 49-8
ヴォルフ/わたしをひもでしばろうと(Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen);だれがあなたを呼んだの(Wer rief dich denn?);もう仲直りしましょうよ(Nun laß uns Frieden schließen);緑に祝福あれ(Gesegnet sei das Grün);ずっと前から望んでいた(Wie lange schon war immer mein Verlangen);いいえ、お若いかた(Nein, junger Herr);ペンナにわたしの恋人がいる(Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen)

●プログラムⅤ 共演:ジェフリー・パーソンズ(P)

シューマン/異郷にてOp. 39-1;間奏曲Op. 39-2;やすらぎOp. 39-4;森の対話Op. 39-3;春の夜Op. 39-12
マーラー/魚に説教するパドゥアの聖アントニウス(Des Antonius von Padua Fischpredigt);菩提樹の香りをかいだ(Ich atmet' einen linden Duft);高い理性の賞讃(Lob des hohen Verstandes)
ヴォルフ/朝露の中を(Wandl' ich in dem Morgentau);現象(Phänomen);ねずみ捕りのおまじない(Mausfallen-Sprüchlein);こうのとりの使い(Storchenbotschaft)
ヴォルフ/クリスマスの花によせてⅠ(Auf eine Christblume 1);ユーフラテス川を舟で渡った時(Als ich auf dem Euphrat schiffte);あなたがた、若い人たち(Nein, junger Herr);さようなら(Lebewohl);ねえ、あなたですの、ご立派なお方(Sagt, seid ihr es, feiner Herr)
ブラームス/「ドイツ民謡」~恋人よ、はだしで来ちゃだめだよ(Feinsliebchen, du sollst mir nicht barfuß gehn);柳がくれに、家一軒(Dort in den Weiden);お嬢さん、ご一緒に(Jungfräulein, soll ich mit euch gehn);ねえ、ママ、欲しいものがあるの(Och Moder, ich well en Ding han)

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1968年の最初の公演は東京文化会館で、プログラムⅠである。従って日本の聴衆がはじめて彼女の声に接したのはモーツァルトの珠玉の作品「ゆうべの思い」ということになる。この年は5種類のプログラムが組まれたが、プログラムⅡ以外にすべてヴォルフの作品が含まれているのが彼女らしいと言えるだろう。東京ではプログラムⅤ以外すべて聴くことが出来、横浜まで足を伸ばせばプログラムⅤも聴くことが可能になっている。
プログラムⅡ以外は限られた数の作曲家の作品を数曲ずつ味わうことが出来る内容だが、プログラムⅡだけ若干毛色が異なる。バッハで始まり、その後に古典オペラ・アリアの名作(シュヴァルツコプフの十八番)が数曲続く。それからロシア歌曲(英訳や独訳だが)を間にはさみながらドイツ歌曲の名作が続き、最後はスイス民謡3曲で締めるというバラエティに富んだプログラミングである。ヴォルフもこのプログラムだけ含まれておらず、少しくだけた雰囲気でまとめられているように感じる。

上記の曲目の中で現在までに彼女の録音で聴くことの出来ないのは、ムソルクスキーの「小さな星よ、今いづこに」(Ⅱ)、R.シュトラウスの「胸の思い」Op. 21-1(Ⅲ)、シューマンの「てんとう虫」Op. 79-13、「だれがあなたを悩ませたの」Op. 35-11、「古いリュート」Op. 35-12(以上Ⅳ)である。このうち、「胸の思い(All' mein Gedanken)」は1968年10月にパーソンズとスタジオ録音したもののお蔵入りとなっているので、いつの日か復活する可能性はあるだろう。実際、プログラムⅢに含まれるシューベルト「笑いと涙(Lachen und Weinen)」は最近まで録音がリリースされていなかったが、未発表だった録音を集めた録音(TESTAMENT: SBT 1206)で復活しているのである。

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「詩人の恋」ディスコグラフィー

シューマン作曲「詩人の恋(Dichterliebe)」Op. 48の録音のうち、分かる範囲でのデータを列記してみたいと思う(所有していないものも含む)。
Wunderlich_giesen_dichterliebe_dg 人により好みは様々だと思うが、私個人はフリッツ・ヴンダーリヒ(T)&フーベルト・ギーゼン(P)の1965年スタジオ録音が最も気に入っている。どこまでも甘くストレートな美声を貫くヴンダーリヒの表現はハイネの毒をあらわすには若干詰めが甘いのかもしれないが、詩人の感傷的な気持ちの揺れが最も自然に表現されていて非常に魅力的な演奏だった。それになんといってもヴンダーリヒの美声には聴きほれてしまう。ギーゼンのピアノは甘美なヴンダーリヒと対照的に常に先に先に進もうとして時に前のめりになりすぎるきらいはあるが(第4、6曲など)、ヴンダーリヒが感傷的になり過ぎないような巧みな手綱さばきを見せている。第8曲の後奏などもっと踏み込んだ激しさが欲しい箇所もあるが、それはギーゼンの性分ではないのだろう。それよりも最終曲後奏におけるギーゼンの歌心の豊かさは聴きものである。音色のささやかな変化や決して過剰にならないルバートによって詩人の沈めた思いはほのかで豊かなニュアンスを伴って回想される。
Baer_parsons_dichterliebe それから、オーラフ・ベーア(BR)&ジェフリー・パーソンズ(P)の録音もとても良かった。ベーアのデビュー盤であり、彫りの深さはまだ求められないが、なんといってもみずみずしい声の艶がある。悩める詩人は出来れば若々しい声で聴きたいもの、そういう意味でベーアの魅力的な声と、過剰さのない表現はとても好感が持てた(こちらもハイネの毒の表現という点では若干弱いが)。パーソンズの豊かな余韻を感じさせる演奏は長年の経験がもたらしたであろう見事なまでの名人芸である。
Bauer_hielscher_dichterliebe 最近の演奏の中では、トーマス・E・バウアー(BR)&ウタ・ヒールシャー(P)夫妻の繊細で涼やかな演奏が詩人のイメージにぴったり合っていた。バウアーは技術的にも安定しているように感じるし、その声の質はこの上なく魅力的である。ヒールシャーの遅めのテンポで慈しむように紡ぐ音も味わい深い。
心理描写の表出という点では、やはりF=ディースカウの巧みさが光っている。繰り返し録音しているが、声の魅力と表現の充実という点でイェルク・デームスとの1965年録音盤が魅力的である。

Barbara Bonney(S) Antonio Pappano(P) 2001年9月10~13日 St George's Bristol録音 [DECCA: 470 289-2]

Nina Dorliac(S) Sviatoslav Richter(P) 1943年 Moscow録音 (露語) [CASCAVELLE: VEL 3041]

Lotte Lehmann(S) Bruno Walter(P) 1941年8月13日録音 [CBS RECORDS: MPK 44840]

Brigitte Fassbaender(MS) Aribert Reimann(P) 1983年3月8~11日 Evangelisches Gemeindehaus, Zehlendorf録音 [EMI CLASSICS: 7243 5 58012 2 7]

Nathalie Stutzmann(A) Catherine Collard(P) 1992年録音

Hans Peter Blochwitz(T) Rudolf Jansen(P) 1989年8月30日~9月2日 Historischer Reitstadl, Neumarkt録音 [EMI: CDC 7 54042 2]

Ian Bostridge(T) Julius Drake(P) 1997年7月 Air Studios, London録音 [EMI CLASSICS: 7243 5 56575 2 7]

Ernst Haefliger(T) Erik Werba(P) 1962年10月 Lankwitz Studio, Berlin録音 (LP)
 
Ernst Haefliger(T) 小林道夫(P) 1972年録音 (LP)
   
Josef Protschka(T) Helmut Deutsch(P) 1987年5月 Bad Urach録音 [CAPRICCIO: 10 215]

Aksel Schiøtz(T) Gerald Moore(P) 1946年1月10日 London録音 [danacord: DACOCD 453]

Peter Schreier(T) Norman Shetler(P) 1972年1月 Studio Lukaskirche, Dresden録音 [BERLIN Classics: 0090682BC]

Peter Schreier(T) Wolfgang Sawallisch(P) 1984年2月6日 München録音 (live) [PHILIPS]

Peter Schreier(T) Christoph Eschenbach(P) 1988年録音 [Teldec]

Peter Schreier(T) András Schiff(P) 2002年7月9~10日 Lukaskirche, Dresden録音 [ORFEO: C 658 051 B]

Fritz Wunderlich(T) Hubert Giesen(P) 1965年5月19日 Schwetzinger Schloss録音 (live) [hänssler CLASSIC: CD 93.701]

Fritz Wunderlich(T) Hubert Giesen(P) 1965年8月19日 Mozarteum, Salzburg録音 (live) [ORFEO: C 432 961 B]

Fritz Wunderlich(T) Hubert Giesen(P) 1965年10~11月 Hochschule für Musik, München録音 [Deutsche Grammophon: 449 747-2]

Fritz Wunderlich(T) Hubert Giesen(P) 1966年9月4日 (live) Usher Hall, Edinburgh録音 [MYTO RECORDS: 1 MCD 890.11]

Olaf Bär(BR) Geoffrey Parsons(P) 1985年7月12~14日 No. 1 Studio, Abbey Road, London録音 [EMI: CDC 7 47397 2]

Thomas E. Bauer(BR) Uta Hielscher(P) 2004年10月4~6日 Reitstadl, Neumarkt/Oberpfalz, Germany録音 [NAXOS: 8.557075]

Pierre Bernac(BR) Gerald Moore(P) 1950年5月 No. 3 Studio, Abbey Road, London録音 [TESTAMENT: SBT 3161]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Gerald Moore(P) 1956年8月13日 Mozarteum, Salzburg録音 (live) [ORFEO: C 294 921 B]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Jörg Demus(P) 1957年2月7~8日 Hugo-Wolf-Saal, Konzerthaus, Wien録音 [Deutsche Grammophon: 459 012-2]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Jörg Demus(P) 1965年5月2~6日 Ufa-Ton-Studio, Berlin録音 [Deutsche Grammophon: 463 505-2]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) 小林道夫(P) 1974年10月17日 東京文化会館録音 (live) [TDK: TDK-OC022(国内盤)]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Christoph Eschenbach(P) 1976年4月 Lankwitz Studio, Siemens-Villa, Berlin録音 [Deutsche Grammophon: POCG-9001/9009(国内盤)]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Vladimir Horowitz(P) 1976年5月18日 Carnegie Hall, New York録音 (live) [SONY CLASSICAL: SICC 170/171(国内盤)]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Alfred Brendel(P) 1985年7月17~24日 Berlin録音 [PHILIPS: 416 352-2]

Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Hartmut Höll(P) 1991年5月3日 Opernhaus von Nürnberg録音 (live) [ERATO: 4509-98492-2]

Christian Gerhaher(BR) Gerold Huber(P) 2004年6月15~16日&7月26~27日 Bavaria Musik Studios, München録音 [RCA RED SEAL: 82876 58995 2]

Matthias Goerne(BR) Vladimir Ashkenazy(P) 1997年4月 Stadthalle, Winterthur録音 [DECCA: 458 265-2]

Håkan Hagegård(BR) Thomas Schuback(P) 1982年1月11~15日 RCA Studio, New York録音 [RCA: AR1-4523] (LP)

Thomas Hampson(BR) Geoffrey Parsons(P) 1993年8月20~21日 Usher Hall, Edinburgh録音 (live) [EMI CLASSICS: 7243 5 55147 2 1]

Thomas Hampson(BR) Wolfgang Sawallisch(P) 1994年10月 Giandomenico Studio, Collingswood, New Jersey録音 (Original version) [EMI CLASSICS: 7243 5 55598 2 1]

Wolfgang Holzmair(BR) Imogen Cooper(P) 1994年録音 [PHILIPS]

Gerhard Hüsch(BR) Hanns Udo Müller(P) 1936年1月録音 London [EMI]
 
Tom Krause(BR) Irwin Gage(P) 1990年12月2~5日 Järvenpää Hall, Finland録音 [FINLANDIA RECORDS: 4509-95862-2]

Christopher Maltman(BR) Graham Johnson(P) 2000年4月15, 16日録音 [Hyperion: CDJ33105]

Charles Panzéra(BR) Alfred Cortot(P) 1935年 Pathé Marconi, Paris録音 [DUTTON: CDBP 9726]

Hermann Prey(BR) Karl Engel(P) 1962年5月 Gemeindehaus, Zehlendorf録音 [EMI CLASSICS: 7243 5 68436 2 2]

Hermann Prey(BR) Leonard Hokanson(P) 1971年11月&1972年12月&1973年1月 München録音 [PHILIPS 442 699-2]

Hermann Prey(BR) Leonard Hokanson(P) 1985年5月24~29日 Herrenhaus, Hasselburg, West-Germany録音 [DENON]

Andreas Schmidt(BR) Rudolf Jansen(P) 1997年9月 Saal 3 des SFB録音 [hänssler CLASSIC: 98.159]

Bo Skovhus(BR) Helmut Deutsch(P) 1996年1月15~18日 Siemens Villa, Berlin録音 [SONY CLASSICAL: SK 62372]

Gérard Souzay(BR) Jacqueline Bonneau(P) 1953年12月 West Hampstead Studios, London録音 [DECCA: 440 065-2]

Gérard Souzay(BR) Dalton Baldwin(P) 1960年6月 La Chaux-de-Fonds, Switzerland録音 [PHILIPS: 442 741-2]

Eberhard Wächter(BR) Alfred Brendel(P) 1961年9月 Vienna録音
 
Hans Hotter(BSBR) Hans Altmann(P) 1954年 Bavarian Radio Studios, München録音 [Preiser: PRCD 93145]

Hans Hotter(BSBR) Leo Schwartz(P) 1962年10月20日 (live) Columbus Theatre, Buenos Aires録音 [ATRIUM: ATR 004 CD]

Theo Adam(BS) Jörg Demus(P) 1978年9月 Lukaskirche, Dresden録音 [BERLIN Classics: 0092162BC]

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「詩人の恋」第16曲:昔の嫌な歌

Die alten, bösen Lieder,
Die Träume bös' und arg,
Die laßt uns jetzt begraben;
Holt einen großen Sarg.
 昔の嫌な歌、
 嫌なひどい夢、
 そいつらを今こそ葬ってしまおう、
 でっかい棺をもってきておくれ。

Hinein leg' ich gar manches,
Doch sag' ich noch nicht, was;
Der Sarg muß sein noch größer,
Wie's Heidelberger Faß.
 その中にたくさん詰め込むのだ、
 だが何を入れるのかはまだ言うまい。
 棺はもっとでかくなくては、
 ハイデルベルクの樽よりもでかく。

Und holt eine Totenbahre
Und Bretter fest und dick;
Auch muß sie sein noch länger,
Als wie zu Mainz die Brück'.
 それから棺台と、
 頑丈な厚みのある板を持ってきてくれ。
 棺台ももっと長くなくちゃならない、
 マインツの橋よりも長く。

Und holt mir auch zwölf Riesen,
Die müssen noch stärker sein
Als wie der starke Christoph
Im Dom zu Köln am Rhein.
 それと十二人の巨人も連れてきてくれ、
 そいつらはもっと強くなければ駄目だ、
 ライン川のほとりのケルン大聖堂にいる
 力持ちのクリストフォロスよりもね。

Die sollen den Sarg forttragen
Und senken ins Meer hinab;
Denn solchem großen Sarge
Gebührt ein großes Grab.
 そいつらに棺を運ばせて
 海に沈めさせるのだ。
 なぜならこんなに大きな棺には
 大きい墓を用意するのが当然だから。

Wißt ihr, warum der Sarg wohl
So groß und schwer mag sein?
Ich senkt' auch meine Liebe
Und meinen Schmerz hinein.
 分かるかい、どうしてこの棺が
 こんなに大きくて重たいのかを?
 ぼくの恋も
 苦しみも中に沈めてしまったからさ。

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これでハイネとシューマンによる歌曲集「詩人の恋」の訳が完結した。シューマンは「詩人の恋」Op. 48や「リーダークライス」Op. 24のほかにも多くのハイネの詩に作曲している。この機会にほかのハイネ歌曲の対訳にも挑戦してみたい。

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「詩人の恋」第15曲:昔のおはなしから

Aus alten Märchen winkt es
Hervor mit weißer Hand,
Da singt es und da klingt es
Von einem Zauberland.
 昔のおはなしから
 白い手が手招きする。
 歌や音が響いてくる、
 ある魔法の国から。

Wo bunte Blumen blühen,
Im goldnen Abendlicht,
Und lieblich duftend glühen
Mit bräutlichem Gesicht;
 そこには色とりどりの花が咲いている、
 黄金色の夕日の中で。
 そして愛らしくかぐわしく照り輝いている、
 花嫁のような顔をして。

Und grüne Bäume singen
Uralte Melodein,
Die Lüfte heimlich klingen,
Und Vögel schmettern drein;
 そして緑の木々は歌う、
 太古の旋律を。
 風はひそやかに鳴り響き、
 鳥はその中でさえずっている。

Und Nebelbilder steigen
Wohl aus der Erd' hervor,
Und tanzen luft'gen Reigen
Im wunderlichen Chor;
 そして霧の姿たちが
 地上から立ちのぼり、
 軽やかな輪舞を踊る、
 妙なる合唱の中で。

Und blaue Funken brennen
An jedem Blatt und Reis,
Und rote Lichter rennen
Im irren, wirren Kreis;
 そして青い火の粉が光っている、
 葉や稲のあたりで。
 そして赤い光は駆け巡る、
 うろうろともつれた環を描きながら。

Und laute Quellen brechen
Aus wildem Marmorstein,
Und seltsam in den Bächen
Strahlt fort der Widerschein.
 そして音を立てた泉が
 天然の大理石から湧き出て、
 奇妙にも小川に
 反射して輝きながら消えていく。

Ach, könnt' ich dorthin kommen
Und dort mein Herz erfreun
Und aller Qual entnommen
Und frei und selig sein!
 ああ、そこに行けたらいいのに、
 そして、そこでぼくの心を喜びで満たし、
 あらゆる苦しみから解放されて、
 自由にしあわせでいられたらなぁ!

Ach! jenes Land der Wonne,
Das seh' ich oft im Traum;
Doch kommt die Morgensonne,
Zerfließt's wie eitel Schaum.
 ああ!そんな喜びの国を
 ぼくはよく夢に見る。
 だが、朝日がのぼると
 はかない泡のように消え去ってしまうのだ。

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「詩人の恋」第14曲:毎晩夢の中できみに会い

Allnächtlich im Traume seh' ich dich
Und sehe dich freundlich grüßen,
Und laut aufweinend stürz' ich mich
Zu deinen süßen Füßen.
 毎晩夢の中できみに会い、
 親しげにきみに挨拶する夢を見る。
 それからぼくは大声で泣き出して、
 きみのかわいい足元に崩れ落ちるのだ。

Du siehest mich an wehmütiglich,
Und schüttelst das blonde Köpfchen;
Aus deinen Augen schleichen sich 
Die Perlentränentröpfchen.
 きみはぼくを悲しげに見つめ、
 ブロンドの頭を振る。
 すると、きみの瞳から
 真珠の涙のしずくが静かに落ちるのだ。

Du sagst mir heimlich ein leises Wort,
Und gibst mir den Strauß von Cypressen.
Ich wache auf, und der Strauß ist fort,
Und's Wort hab' ich vergessen.
 きみはぼくにひっそりと小声である言葉を発し、
 ぼくに糸杉の枝の束をくれる。
 目が覚めると、束は消え、
 あの言葉も忘れてしまった。

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「詩人の恋」第13曲:ぼくは夢の中で泣いた

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumte, du lägest im Grab.
Ich wachte auf, und die Träne
Floß noch von der Wange herab.
 ぼくは夢の中で泣いた、
 きみが墓に横たわっている夢を見たのだ。
 目が覚めると、涙が
 まだ頬を伝っていた。

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumt', du verließest mich.
Ich wachte auf, und ich weinte
Noch lange bitterlich.
 ぼくは夢の中で泣いた、
 きみがぼくから去る夢を見たのだ。
 目が覚めてから、
 さらに長いこと号泣した。

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumte, du wärst mir noch gut.
Ich wachte auf, und noch immer
Strömt meine Tränenflut.
 ぼくは夢の中で泣いた、
 きみがぼくにまだ好意をもっている夢を見たのだ。
 目が覚めると、ずっと
 ぼくの涙の洪水は流れっぱなし。

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「詩人の恋」第12曲:輝く夏の朝に

Am leuchtenden Sommermorgen
Geh' ich im Garten herum.
Es flüstern und sprechen die Blumen,
Ich aber wandle stumm.
 輝く夏の朝に
 ぼくは庭を歩き回る。
 花々はささやき、しゃべっている、
 だがぼくは押し黙って歩くのだ。

Es flüstern und sprechen die Blumen,
Und schaun mitleidig mich an;
"Sei unsrer Schwester nicht böse,
Du trauriger, blasser Mann!"
 花々がささやき、しゃべっている、
 そして憐れんでぼくを見つめる。
 「私たちのお姉様を怒らないでね、
 悲しげな蒼ざめた方!」

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「詩人の恋」第11曲:ある若者が娘に恋をしたが

Ein Jüngling liebt ein Mädchen,
Die hat einen andern erwählt;
Der andre liebt eine andre,
Und hat sich mit dieser vermählt.
 ある若者が娘に恋をしたが、
 その娘は別の男を選んだ。
 だがその男は別の娘を愛し、
 結婚してしまった。

Das Mädchen nimmt aus Ärger
Den ersten besten Mann,
Der ihr in den Weg gelaufen;
Der Jüngling ist übel dran.
 件の娘は腹を立て、
 手近な男を選んだ、
 そいつはばったり出くわしただけの男だ。
 あの若者の惨めなこと。

Es ist eine alte Geschichte,
Doch bleibt sie immer neu;
Und wem sie just passieret,
Dem bricht das Herz entzwei.
 これは昔のおはなしではあるが、
 常に新しくもある。
 こんなことがまさに起こったりしたら、
 心が粉々に割れてしまうだろうさ。

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「詩人の恋」第10曲:ぼくはその歌の響きを

Hör' ich das Liedchen klingen,
Das einst die Liebste sang,
So will mir die Brust zerspringen
Von wildem Schmerzensdrang.
 ぼくはその歌の響きを、
 かつて恋人が歌ってくれた歌の響きを聞くと、
 胸が砕けそうになるのだ、
 荒々しい苦痛に突き動かされて。

Es treibt mich ein dunkles Sehnen
Hinauf zur Waldeshöh',
Dort löst sich auf in Tränen
Mein übergroßes Weh.
 暗いあこがれがぼくを
 森の高台へと駆り立てる。
 そこで涙を流して解消するのだ、
 ぼくのあまりにも大きな痛みを。

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「詩人の恋」第9曲:これはフルートにヴァイオリン

Das ist ein Flöten und Geigen,
Trompeten schmettern darein;
Da tanzt wohl den Hochzeitsreigen
Die Herzallerliebste mein.
 これはフルートにヴァイオリン、
 トランペットもその中で高らかに響いている。
 その婚礼の輪舞で踊っているのは
 ぼくのいとしい女(ひと)。

Das ist ein Klingen und Dröhnen,
Ein Pauken und ein Schalmei'n;
Dazwischen schluchzen und stöhnen
Die lieblichen Engelein.
 鳴り響き、とどろくのは
 ティンパニーにシャルマイの音。
 その中でむせび泣き、うめき声をあげているのは、
 愛らしい天使たち。

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「詩人の恋」第8曲:そして花々が、小さな花々が

Und wüßten's die Blumen, die kleinen,
Wie tief verwundet mein Herz,
Sie würden mit mir weinen,
Zu heilen meinen Schmerz.
 そして花々が、小さな花々が、
 ぼくの心がどれほど深く傷ついているかを知るならば、
 ぼくと共に泣いてくれるだろう、
 ぼくの苦しみを癒そうとして。

Und wüßten's die Nachtigallen,
Wie ich so traurig und krank,
Sie ließen fröhlich erschallen
Erquickenden Gesang.
 そしてナイティンゲールが、
 ぼくがこれほど悲しみ、病んでいることを知るならば、
 陽気に鳴いてくれるだろう、
 元気になる歌を。

Und wüßten sie mein Wehe,
Die goldenen Sternelein,
Sie kämen aus ihrer Höhe,
Und sprächen Trost mir ein.
 そしてぼくの悲しみを
 金色の小さな星々が知るならば、
 高いところから降りてきて、
 ぼくを慰めてくれるだろう。

Sie alle können's nicht wissen,
Nur eine kennt meinen Schmerz:
Sie hat ja selbst zerrissen,
Zerrissen mir das Herz.
 それらはみな知るはずもない、
 ただ一人の女性だけがぼくの苦しみを知っているのだ。
 彼女自身が引き裂いたのだから、
 ぼくの心を引き裂いたのだから。

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「詩人の恋」第7曲:ぼくは恨まない

Ich grolle nicht, und wenn das Herz auch bricht,
Ewig verlor'nes Lieb! Ich grolle nicht.
Wie du auch strahlst in Diamantenpracht,
Es fällt kein Strahl in deines Herzens Nacht.
 ぼくは恨まない、心が張り裂けようとも、
 永遠に失ってしまったいとしい女(ひと)よ!恨みはしない。
 ダイアモンドの輝きに包まれてどれほどきみが輝いていても、
 きみの心の夜に光は射さない。

Das weiß ich längst. Ich sah dich ja im Traume,
Und sah die Nacht in deines Herzens Raume,
Und sah die Schlang', die dir am Herzen frißt,
Ich sah, mein Lieb, wie sehr du elend bist.
 そんなことはとっくに分かっていたさ、夢でおまえを見たんだ、
 おまえの心の空間に夜を見たし、
 それからおまえの心をむしばむ蛇を見た。
 俺は見たんだよ、いとしい女、おまえがどれほどみじめなのかを。

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ショスタコーヴィチ「風刺」

「サーシャ・チョールヌイの詩による五つの風刺」Op. 109
1)批評家へ
2)春の目覚め
3)子孫
4)思いちがい
5)クロイツェル・ソナタ

ショスタコーヴィチ(1906~1975)の生誕百周年の今年、いろいろと記念の録音も出ているようだが、ショスタコーヴィチの歌曲は私にとってこれまで全く未知の領域だったので、この機会に少し聴いてみようとDECCAの声楽曲集とEMIのヴィシネフスカヤ歌曲集の録音を入手した。
DECCAは対訳もあり4枚組なのでじっくり聴こうと思いつつなかなか進まず、ヴィシネフスカヤの録音をなんとなく流していたら「風刺」という歌曲集がとても面白く、何度か対訳を見ないまま音楽だけでリピートしてみた。「風刺」の前にヴァイオリンやチェロも加わった「ブロークの詩による七つの歌曲」Op. 127というのがあり、これも聴きこめば面白そうだが、第一印象で面白かったのは断然「風刺」だった。朗唱風に音を切り詰めた歌があるかと思うと、リズムの立っている畳み掛けるような曲があり、ピアノパートが縦横無尽に高低を行き来する曲もあれば、軽快な舞曲風の音楽がスパイスにように効果的に使われている曲もあり、ラフマニノフの「春の流水」ピアノパートのパッセージやらベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」の冒頭箇所が引用されていたりと詩の内容を知らなくても聴き手の心をつかむ音楽だったように感じた。特に第3曲「子孫」の音楽は体制批判的な詩の内容を軽快に聴かせてしまおうというつもりなのか、早口の歌とリズミカルかつ駆け巡るピアノパートの効果が著しかった。最後に後奏で突然低く降りて不意打ちのように終わる箇所など洒落ていて強く印象付けられた。

ヴィシネフスカヤ&ロストロポーヴィチ夫妻が1961年にこの歌曲集を初演していて、「革命後にやってきた反動期の俗物ども」への露骨な嘲笑を歌った詩の内容をカムフラージュするために「過去の絵」という副題を作曲家に提案したのもヴィシネフスカヤだそうだ(参考:工藤傭介著「ショスタコーヴィチ全作品解読」:東洋書店:2006年)。

曲については5つの個性的な作品が集まっているという感じだ。全曲に共通しているのが、各曲のタイトルが歌詞として最初に歌われていることだ。こういう例はちょっと他には思い出せない。歌手が詩の主人公になりきるというよりは、詩の朗読者として第三者の立場を守ることで、客観的な冷めた視点を維持しようとしたのだろうか。

辛口のユーモア、現状への露骨な批判、男女間・あるいは芸術家と一般人の間、さらにいわゆる知識層と庶民の間の「思いちがい」などをショスタコーヴィチはウィットに富んだ音楽で表現したというところだろうか。

そして詩と音楽の毒とユーモアをヴィシネフスカヤ夫妻は驚くほどの熱演で訴えかけていた。ピアニストとしての腕の確かさを披露しているロストロポーヴィチに天はニ物も三物も与えているようだ。

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「詩人の恋」第6曲:ライン川、聖なる川の

Im Rhein, im heiligen Strome,
Da spiegelt sich in den Well'n,
Mit seinem großen Dome,
Das große, heilige Köln.
 ライン川、聖なる川の、
 その波に姿を映すのは、
 巨大な大聖堂のそびえる
 広大な、聖なるケルン。

Im Dom, da steht ein Bildnis,
Auf goldenem Leder gemalt;
In meines Lebens Wildnis
Hat's freundlich hineingestrahlt.
 大聖堂の中には、一枚の肖像画があり、
 金の皮革に描かれている。
 ぼくの人生の荒野に、
 それはやさしく光を射し入れてくれた。

Es schweben Blumen und Englein
Um unsre Liebe Frau;
Die Augen, die Lippen, die Wänglein,
Die gleichen der Liebsten genau.
 花や天使たちが浮かんでいる、
 聖母マリアのまわりで。
 その瞳、その唇、その頬、
 まさに恋人そっくりだ。

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「詩人の恋」第5曲:ぼくの魂を潜らせたい

Ich will meine Seele tauchen
In den Kelch der Lilie hinein;
Die Lilie soll klingend hauchen
Ein Lied von der Liebsten mein.
 ぼくの魂を潜らせたい、
 百合の萼(うてな)の中に。
 その百合にそっと歌わせるのだ、
 ぼくの恋する女(ひと)の歌を。

Das Lied soll schauern und beben
Wie der Kuß von ihrem Mund,
Den sie mir einst gegeben
In wunderbar süßer Stund'.
 その歌はぞくっと震えるものにしよう、
 彼女の口からのキスのように、
 その口は彼女がぼくにかつてくれたもの、
 すてきな甘いひとときに。

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「詩人の恋」第4曲:ぼくがきみの瞳を見つめると

Wenn ich in deine Augen seh',
So schwindet all mein Leid und Weh;
Doch wenn ich küsse deinen Mund,
So werd' ich ganz und gar gesund.
 ぼくがきみの瞳を見つめると、
 ぼくの悲しみや痛みはみんな消えてしまう。
 でもぼくがきみの口にキスすると、
 ぼくはすっかり元気になってしまう。

Wenn ich mich lehn' an deine Brust,
Kommt's über mich wie Himmelslust;
Doch wenn du sprichst: "ich liebe dich!"
So muß ich weinen bitterlich.
 ぼくはきみの胸に寄りかかっていると、
 天上の至福を味わっているような気分になる。
 でもきみが「好きです!」と言おうものなら、
 ぼくは激しく泣かずにいられないのだ。

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「詩人の恋」第3曲:薔薇、百合、鳩、太陽

Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne,
Die liebt' ich einst alle in Liebeswonne.
Ich lieb' sie nicht mehr, ich liebe alleine
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine;
 薔薇、百合、鳩、太陽、
 かつてはみんなぼくが喜び大好きだったものだ。
 もはやそれらは好きでない、ぼくが好きなのはただ、
 小さくて、華奢で、清らかで、たったひとりの女(ひと)。

Sie selber, aller Liebe Wonne,
Ist Rose und Lilie und Taube und Sonne.
Ich liebe alleine
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine.
 彼女自身が、愛の喜びのすべて、
 薔薇、百合、鳩、太陽なのだ。
 ぼくが好きなのはただ、
 小さくて、華奢で、清らかで、たったひとりの女(ひと)だけ。

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「詩人の恋」第2曲:ぼくの涙から

Aus meinen Tränen sprießen
Viel blühende Blumen hervor,
Und meine Seufzer werden
Ein Nachtigallenchor.
 ぼくの涙から、
 たくさんの咲き誇った花が生まれでる、
 そしてぼくのため息は
 ナイティンゲールの合唱となるのだ。

Und wenn du mich lieb hast, Kindchen,
Schenk' ich dir die Blumen all',
Und vor deinem Fenster soll klingen
Das Lied der Nachtigall.
 そしてきみがぼくを愛してくれるなら、かわいい子よ、
 きみにこの花をみなあげるよ。
 そしてきみの窓から聞かせてあげよう、
 あのナイティンゲールの歌を。

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「詩人の恋」第1曲:素晴らしく美しい月、五月に

ハイネ(Heinrich Heine: 1797-1856)とシューマン(Robert Schumann: 1810-1856)の没後150年を記念して、両者の結びついた代表作「詩人の恋(Dichterliebe)」Op. 48の歌詞を順次訳していきたいと思います。

Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Knospen sprangen,
Da ist in meinem Herzen
Die Liebe aufgegangen.
 素晴らしく美しい月、五月に
 あらゆるつぼみが一気に開いたとき、
 ぼくの心にも
 愛がほころんだ。

Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Vögel sangen,
Da hab' ich ihr gestanden
Mein Sehnen und Verlangen.
 素晴らしく美しい月、五月に
 あらゆる鳥が歌ったとき、
 ぼくは彼女に打ち明けた、
 あこがれる思いと望みとを。

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モーツァルト最初の歌曲

モーツァルトの最初の歌曲とされているのが、「喜びに寄せて(An die Freude)」という作品である。ケッヒェル初版の番号はK. 53だが、第6版ではK. 47eに変更されている。新全集の記載によると、1768年秋、つまり12歳の時にヴィーンで作曲されたと推測されている。ちなみに同じ頃にはミサ曲ハ短調「孤児院ミサ」K. 139(47a)などが作曲されている。

歌声部とピアノ低声部の2段楽譜で表記されているが、書かれていないピアノの右手は当時即興的に和声を付けていたらしい(和音を指定する数字は付いていないので、演奏者が自由に解釈できる)。ちなみに同じ手法で書かれた作品にはほかに「荘厳なヨハネ支部への賛歌」K. 148がある。
モーツァルトにとって歌曲は創作の中心ではなかったが、最初の歌曲であってもすでに一つの芸術作品になっているのは彼の早熟さを示しているのだろう。
4分の2拍子、ヘ長調で、曲の冒頭にMäßig(中庸の速度で)と指定されている。詩の各行が規則正しく4小節分に当てられているが、各節4行目のみさらに4小節繰り返される。

詩はウーツにより全7節からなる。モーツァルトは有節形式で作曲したが、実際の演奏は第1節プラスほかの1つの節という形で歌われることが多い。今回、全7節の訳に挑戦したが、比喩や神様の名前など、かなり難解で内容がうまくとれなかった。

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An die Freude, K. 53(47e)
 喜びに寄せて

Johann Peter Uz (1720-1796)
 詩:ヨーハン・ペーター・ウーツ
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
 曲:ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルト

[第1節]
Freude, Königin der Weisen,
Die, mit Blumen um ihr Haupt,
Dich auf güld'ner Leier preisen,
Ruhig, wenn die Torheit schnaubt:
Höre mich von deinem Throne,
Kind der Weisheit, deren Hand
Immer selbst in deine Krone
Ihre schönsten Rosen band!
 喜び、それは賢さの女王、
 頭のまわりを花で飾り、
 金のライアーであなたを称え、
 愚かさが鼻息を荒げても、落ち着いている。
 あなたの玉座から私の話をお聞きください、
 賢さの子、その手は
 常に自分であなたの冠を
 もっとも美しいバラで編んでいた!

[第2節]
Rosen, die mit frischen Blättern,
Trotz des Nords, unsterblich blüh'n,
Trotz des Südwinds, unter Wettern,
Wenn die Wolken Flammen sprüh'n:
Die dein lockicht Haar durchschlingen,
Nicht nur an Cytherens Brust,
Wenn die Grazien dir singen,
Oder bei Lyäens Lust.
 バラは青々した葉を付け、
 北方だろうが、枯れずに咲く、
 南風に吹かれようが、雷雨にさらされようが、
 雲が炎を放つときでも。
 バラはあなたの巻き毛の髪にもからみつくのだ、
 それは美の女神キュテレイア(アフロディーテ)の胸を飾るだけでない、
 美の女神グラティアがあなたに歌ったり、
 酒神リュシオス(ディオニュソス)のところで楽しむときに。

[第3節]
Sie bekränzen dich in Zeiten,
Die kein Sonnenblick erhellt,
Sahen dich das Glück bestreiten,
Den Tyrannen uns'rer Welt,
Der um seine Riesenglieder
Donnerndes Gewölke zog
Und mit schrecklichem Gefieder
Zwischen Erd' und Himmel flog.
 バラはあなたを花輪で飾る、
 太陽の輝きが照らさない時に。
 幸福はあなたが反論しているのを見た、
 われらの世界の暴君に向かって。
 彼は巨大な四肢のまわりに
 雷鳴轟く雲の群れを浮かばせ、
 そしておそろしい羽で
 大地と空の間を飛び回った。

[第4節]
Dich und deine Rosen sahen
Auch die Gegenden der Nacht
Sich des Todes Throne nahen,
Wo der kalte Schrecken wacht.
Deinen Pfad, wo du gegangen,
Zeichnete das sanfte Licht
Cynthiens mit vollen Wangen,
Die durch schwarze Schatten bricht.
 あなたとあなたのバラを見たのだ、
 夜になった地域でもまた、
 死の玉座がそれらに近づくのを。
 そこでは冷たい戦慄が目覚めている。
 あなたが歩んだ小道を
 穏やかな光が線を描いた、
 ふくよかな頬のキュテレイアの光が。
 彼女は黒い影の中から現れるのだ。

[第5節]
Dir war dieser Herr des Lebens,
War der Tod nicht fürchterlich,
Und er schwenkete vergebens
Seinen Wurfspieß wider dich:
Weil im traurigen Gefilde
Hoffnung dir zur Seite ging
Und mit diamant'nem Schilde
Über deinem Haupte hing.
 あなたにはこの生の支配者である
 死は恐ろしくなかった。
 そして死は無駄に振り回した、
 投げ槍をあなたに向けて。
 なぜなら、わびしい平野で
 希望があなたの脇に行き、
 そしてダイアモンドの盾をもって
 あなたの頭上に掛かっていたから。

[第6節]
Hab' ich meine kühnen Saiten
Dein lautschallend' Lob gelehrt,
Das vielleicht in späten Zeiten
Ungeborne Nachwelt hört;
Hab' ich den beblümten Pfaden,
Wo du wandelst, nachgespürt
Und von stürmischen Gestaden
Einige zu dir geführt:
 私は自らの大胆な心に、
 あなたに向けて大きく響き渡る賛美を教えた、
 ひょっとすると晩年に
 まだ生まれていない後世が聞くかもしれない賛美を。
 私は花咲き乱れた小道を、
 あなたが歩いた小道をたどり、
 そして嵐吹き荒れる岸辺から
 何人もあなたのもとへ連れて行った。

[第7節]
Göttin, o so sei, ich flehe,
Deinem Dichter immer hold,
Daß er schimmernd' Glück verschmähe,
Reich in sich, auch ohne Gold;
Daß sein Leben zwar verborgen,
Aber ohne Sklaverei,
Ohne Flecken, ohne Sorgen
Weisen Freunden teuer sei!
 女神よ、おお、かくあれと、私は願う。
 あなたの詩人に常に好意をもっていておくれと、
 彼がかすかな幸福をすげなく拒絶して、
 金(きん)はなくとも、心豊かでいられるように。
 彼の人生は人に知られてはいないが、
 奴隷でなく、
 汚点もなく、心配事もない、
 賢い友にとってかけがえのない存在であれ!

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演奏者によって、どの節を歌っているか、あるいは通奏低音をピアニスト自身の解釈で演奏しているか、それとも特定の楽譜の例を使用しているかなど、比較してみるのも興味深い(手元にある新全集の楽譜に掲載されているピアノ右手をそのまま使用しているのは以下の演奏ではパーソンズだけだった)。

1) Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P) [PHILIPS: 1977年8月録音] : 第1、7節。ピアノ右手は新全集とは別の版(旧全集?)。歌は第7節の時、全体に装飾を加えている。2分32秒。
2) Barbara Bonney(S) Geoffrey Parsons(P) [TELDEC: 1990年8月録音] : 第1、7節。ピアノ右手は完全に新全集のまま(手を加えていない)。歌6小節目の装飾音の音価は7節は新全集の指示の通りだが、1節は短前打音で歌っている。この中でもっともゆっくりのテンポによる演奏。3分38秒。
3) Edith Mathis(S) Karl Engel(P) [Novalis: 1986年8月録音] : 第1節のみ。ピアノ右手は新全集とは別の版(旧全集?)。ボールドウィンの版(1)とおそらく同じ。1分19秒。
4) Josef Protschka(T) Helmut Deutsch(P) [CAPRICCIO: 1991年録音] : 第1、7節。ピアノ右手は新全集に則っているが、若干装飾したり変更している。歌6小節目の装飾音の音価も新全集の指示の通り。2分29秒。
5) Konrad Jarnot(BR) Alexander Schmalcz(P) [OEHMS CLASSICS: 2005年12月録音] :  第1、7節。ピアノ右手は新全集とは別の版(旧全集?)。ボールドウィンの版より右手の音が多いように感じた(シュマルツによる自由な解釈を加えていると思われる)。2分24秒。
6) Hermann Prey(BR) Bernhard Klee(P) [DG: 1975年11月録音] : 第1、4節。ピアノ右手は基本は新全集のようだが、かなり自由に手を加えている。歌6小節目の装飾音の音価は全集の指示と異なり、十六分音符で歌っている。2分34秒。

●詩人ヨーハン・ペーター・ウーツ(Johann Peter Uz: 1720年10月3日、Ansbach生-1796年5月12日、Ansbach没)について
アンスバハ(現在のドイツ南部、バイエルン州)生まれの官僚、詩人。1739-1743年にハレで法律を学んだ後、アンスバハとニュルンベルクの役所に勤務し、枢密法律顧問官になる。ハレの同級生、グライム(Johann Wilhelm Ludwig Gleim)やゲッツ(Johann Nikolaus Götz)と共に、酒、女性、歌を賛美するアナクレオン派の詩人として知られるようになる。
モーツァルトは「喜びに寄せて」のみ彼の詩に作曲しているが、シューベルトは彼の8編の詩(「春の神」D. 448など)に作曲している。

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100件目の記事

昨年11月3日にスタートしたこのブログも、1年近く経った今回、早いもので100件目の記事にこぎつけた。大体3~4日に1回のペースで続けてきたことになるのだろう。マニアックな記事ばかりではあるが、検索してたどりついた方にあまり失望されない程度には読む人のことを意識した書き方をしなければと思いつつ、かなり好き勝手に書き進めてきた。最近は週1回ぐらいの更新に落ち着きつつあるが、今後も長く続けられるように肩の力を抜いて継続していけたらと思う。今年も残り3ヶ月。メモリアル・イヤーのモーツァルト、シューマン、ショスタコーヴィチ、そしてハイネについて今年中に何らかの記事が書けたらいいのだが、あまり目標を立てない方がいいのかもしれない。最後になりましたが、訪れてくださる皆様が継続の支えになっております。心から感謝いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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カール・エンゲル・ディスコグラフィー抜粋

先日亡くなったカール・エンゲルの録音を振り返ってみたいと思う。

その前に彼の経歴について。カール・エンゲル(Karl Engel)は、1923年6月1日にスイスのバーゼル近郊にあるビルスフェルデン(Birsfelden)に生まれる。ギュムナージウム修了後、バーゼルのコンセルヴァトーリウムでパウル・バウムガルトナー(Paul Baumgartner)に1942~1945年までピアノを学び、さらにパリのEcole Normale de Musiqueでアルフレッド・コルトー(Alfred Cortot)に師事する。1951年にボルツァーノのブゾーニ国際ピアノ・コンクール(Concours International de Piano Ferruccio Busoni)で1、2位なしの3位となる(同じくヴァルター・クリーンも3位)。1952年にはブリュッセルのエリザベート王妃国際音楽コンクール(Concours musical international Reine Elisabeth de Belgique)で2位となる(1位はレオン・フライシャー)。ハノーファー音楽演劇高等学校(Hochschule für Musik und Theater in Hannover)で1986年まで教え、1980年以降は国内外でマスタークラスを開いてきた。独奏者としてはモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ドビュッシーなどの作品のほかに、同時代のスイスの作曲家ペーター・ミーク(Peter Mieg)、アルベルト・メッシンガー(Albert Moeschinger)などもレパートリーとしていた。パブロ・カザルスやポール・トルトゥリエ、シャーンドル・ヴェーグ、イェフディ・メニューヒン、クラウス・シュトルク、オレル・ニコレのような楽器奏者や、マリーア・シュターダー、エーリカ・ケート、マティス、ファスベンダー、エルンスト・ヘフリガー、シュライアー、F=ディースカウ、プライのような声楽家とも頻繁に共演を重ねる。そして2006年9月2日(または3日)にスイス、Chernexの自宅で83年の生涯を閉じた。

カール・エンゲル独奏

Engel_schumann_carnaval ●L'OEUVRE DE PIANO 1 / Schumann
AUVIDIS-VALOIS: V 4451
Karl Engel(P)
録音:1972年9月(Op.1, 2, 9)&12月(Op.4), Beethovensaal, Hannover
シューマン/アベック変奏曲Op.1;蝶々Op.2;謝肉祭Op.9;間奏曲Op.4

いわゆるスタンダードなシューマンの名盤というものではないと思うが、エンゲルの丁寧な表現は、巷にあふれている演奏者の個性を前面に打ち出した多くの演奏の中でかえって新鮮に響くのではないか。カール・エンゲルはシューマンのピアノ作品の全集を録音しており、第2巻以降もかつてCD化されていたが、現在は入手困難のようである。

●シューベルト/舞曲集(Schubert / Tänze für Klavier)
pan CLASSICS: 510 060
Karl Engel(P)
録音:1993年2月, Konservatorium Zürich, Grosser Saal
シューベルト作曲
12の高貴なワルツ集D969
36のオリジナル舞曲集D365
11のエコセーズ集D781
4つのトリオ付きの2つのメヌエット集D91
9つのエコセーズ集D145
メヌエットD334
16のドイツ舞曲集と2つのエコセーズ集D783
メヌエットD600

●楽興の時D780
ORBIS: 23522 (LP)
Karl Engel(P)
録音:不明
シューベルト/楽興の時D780

●ブラームス
EMI: E 80495 (LP)
Karl Engel(P)
録音:不明
ブラームス/ヘンデルの主題による変奏曲とフーガOp.24;シューマンの主題による変奏曲Op.9;ラプソディー ト短調Op.79-2

●ライヴ
SÜDWESTFUNK: SWF 143 (LP)
Karl Engel(P)
録音:不明
D.スカルラッティ、モーツァルト、シューベルト、ラヴェルの作品(詳細不明)

ほかにモーツァルトのピアノ独奏曲、ピアノ協奏曲(レオポルト・ハーガー指揮)の全集を録音している(現在でも入手可能のようだ)。

アンサンブルでのカール・エンゲル

Brahms_vokal_ensembles●ブラームス/重唱曲集
ポリドール:DG: POCG-9245/9249
Edith Mathis(S) Brigitte Fassbaender(MS) Peter Schreier(T) Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
Wolfgang Sawallisch(P: Op. 52 & 65)
録音:1974~1982年、Studio Lankwitz, Berlin(「49のドイツ民謡集」以外)、Lukas Kirche, Dresden(「49のドイツ民謡集」)
ブラームス/「三つの二重唱曲」Op.20(愛の道(第1部);愛の道(第2部);海)[Mathis; Fassbaender](1982年6月5~6日);
「四つの二重唱曲」Op.28(尼僧と騎士;戸口の前で;波はざわめく;狩人とその恋人)[Fassbaender; F-Dieskau](1982年9月15~17&27日);
「三つの四重唱曲」Op.31(踊りと恋と;からかい合い;愛するひとのもとへ)[全員](1982年9月15~17&27日);
「愛の歌」Op.52(全18曲)[全員; Sawallisch](1981年9月15&18日);
「四つの二重唱曲」Op.61(姉妹;修道女;自然の現象;愛の使い)[Mathis; Fassbaender](1982年6月5~6日);
「三つの四重唱曲」Op.64(故郷に;夕べ;問い)[全員](1981年9月15&18日);
「新・愛の歌」Op.65(全15曲)[全員; Sawallisch](1981年9月15&18日);
「五つの二重唱曲」Op.66(ひびきⅠ;ひびきⅡ;岸辺で;狩りの歌;気をつけるのだ)[Mathis; Fassbaender](1982年6月5~6日);
「四つのバラードとロマンス」Op.75(エトヴァルト;よい忠告;ともに旅に出よう;ヴァルプルギスの夜)[Mathis(2-4); Fassbaender(1,2,4); Schreier(1, 3)](1982年9月15~17&27日(1,3),1982年6月5~6日(2,4));
「四つの四重唱曲」Op.92(ああ美しい夜;晩秋;夕べの歌;なぜ?)[全員](1981年9月15&18日);
「ジプシーの歌」Op.103から:三つの四重唱曲(ほら、風が枝を悲しげに吹きぬけて行く;どこへ行っても、だれもわたしには知らんぷり;月がその顔を覆う)[全員](1982年9月15~17&27日);
「六つの四重唱曲」Op.112(憧れ;夜;天は明るく澄みわたっている;ばらの赤いつぼみが;いらくさが道端に生えている;かわいいつばめ、小さなつばめ)[全員](1982年9月15~17&27日);
「14の子供のための民謡集」(いばら姫;夜鶯;男;眠りの精;めんどり;野ばら;なまけ者の理想郷;膝の上のお馬乗り;森のかりうど;子守歌;娘とはしばみ;クリスマス;てんとう虫;守護天使)[Mathis](録音年不詳);
「49のドイツ民謡集」から(独唱曲全42曲)[Mathis; Schreier](1974年9月&1975年2月)

ブラームスの重唱曲をまとめて一人で演奏している。エンゲルの代表作の1つであろう。「愛の歌」「新・愛の歌」の連弾パートナーはサヴァリシュ。

●ヴォルフ/歌曲集
ポリドール(LP):DG: 2707 096
Edith Mathis(S) Peter Schreier(T) Karl Engel(P)
録音:1976年6月19~24日、Dresden
ヴォルフ/「イタリア歌曲集」(全46曲)

残念ながらまだCD化されていないが、エンゲルの躍動感の横溢したキレのある最高の演奏が堪能できる。

エーディト・マティス(S)

Mathis_engel_mo●モーツァルト/歌曲集
日本クラウン:Novalis: CRCB-1501
Edith Mathis(S) Karl Engel(P)
録音:1986年8月ドイツ、バンベルク、ツェントラルザール
モーツァルト/喜びに寄せてK.53;なんと私は不幸なことかK.147;鳥たちよ、おまえたちは毎年K.307;淋しい暗い森の中をK.308;満足K.349;私は私の道をK.390;私の慰めであって下さいK.391;魔法使いK.472;満足K.473;すみれK.476;老婆K.517;内緒ごとK.518;ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時K.520;ラウラに寄せる夕べの想いK.523;クローエにK.524;小さなフリードリヒの誕生日K.529;小さな紡ぎ娘K.531;春への憧れK.596;春K.597;子供の遊びK.598

Mathis_engel_schubert ●シューベルト/歌曲集
クラウンレコード:Novalis: NOV-26
Edith Mathis(S) Karl Engel(P) Kurt Weber(CL: D. 965)
録音:1988年6月14~16日 西ドイツ、ノイマークト、ライトシュターデル
シューベルト/春の信仰D.686;沈み行く太陽にD.457;ばらD.745;ズライカⅠD.720;ズライカⅡD.717;悲しみのよろこびD.260;春の神D.448;ナイチンゲールにD.497;笑ったり泣いたりD.777;鱒D.550;岩の上の羊飼いD.965;アンゼルモの墓にD.504;ただあこがれを知るひとだけがD.877;もうしばらくこのままの姿にD.877;はじめての失恋D.226;憩ない愛D.138;糸を紡ぐグレートヒェンD.118;乙女D.652;子守歌D.498

マティスもエンゲル同様スイス出身。そんなこともあって気が合うのだろうか。二人とも丁寧で透明な響きが共通しているように思う。特に「モーツァルト歌曲集」は二人の過不足のない表現がとても心地よい。

ブリギッテ・ファスベンダー(MS)

Fassbaender_lieder_vol_1_1 ●BRIGITTE FASSBAENDER Lieder Vol. 1
EMI CLASSICS:7243 5 85303 2 2
Brigitte Fassbaender(MS) Karl Engel(P)
録音:1973年9月18~20日、Studio Zehlendorf
シューマン/ジプシーの歌ⅠOp. 79-7;ジプシーの歌ⅡOp. 79-8
リスト(ダルベール編)/3人のジプシーS. 320
チャイコフスキー/ジプシーの歌Op. 60-7
ドヴォジャーク/「ジプシーのメロディー」Op. 55(全7曲)
ブラームス/「ジプシーの歌」Op. 103(全8曲)

この演奏については過去の記事(こちら)をご覧ください。

ペーター・シュライアー(T)

Schreier_engel_mendelssohn ●メンデルスゾーン/歌曲集
BERLIN Classics: BC 1107-2
Peter Schreier(T) Karl Engel(P)
録音:1993年10月、Großer Sendesaal, Funkhaus Wallrafplatz, Westdeutscher Rundfunk, Köln
メンデルスゾーン/歌の翼にOp.34-2;葦の歌Op.71-4;月Op.86-5;小姓の歌;春にOp.9-4;旅の歌Op.34-6;夜ごとの夢にOp.86-4;ヴェネツィアのゴンドラの歌Op.57-5;はるかな女(ひと)にOp.71-3;春の歌("In dem Walde...")Op.19-1;愛の歌("Leucht't heller...")Op.34-1;お気に入りの場所Op.99-3;冬の歌Op.19-3;挨拶Op.19-5;最初のすみれOp.19-2;木々の下に横たわりOp.84-1;愛の歌("Wie der Quelle...")Op.47-1;朝の挨拶Op.47-2;旅路でOp.71-5;夜の歌Op.71-6;羊飼いの歌Op.57-2;春の歌("Durch den Wald...")Op.47-3;新しい愛Op.19-4;魔女の歌Op.8-8

Schreier_engel_wolf ●ヴォルフ/メーリケ歌曲集
ORFEO: C 142 981 A
Peter Schreier(T) Karl Engel(P)
録音:1996年5月21~23日、場所は不明
ヴォルフ/春に;明け方に;問いと答え;夜明け前のひととき;さようなら;飽くことのない愛;散歩;郷愁;庭師;旅路で;狩人;癒えた者が希望に寄せて;隠遁;慰めはどこに見つかるのか;祈り;新しい愛;考えよ、おお心よ;鼓手;こうのとりの使い;告白;ある結婚式で;別れ

70台のエンゲルは、その透き通った美しい音の魅力や見事なテクニックは健在だが、かつてのような演出巧みな演奏ではなく、スマートでさりげない表現の中にちょっとした味わいを織り込むという演奏。「こうのとりの使い」後奏の演出もさりげなく、しかし聴き手に印象づける名演。それにしても女声用の「夜明け前のひととき」を歌ったり、多くの低音が要求される「癒えた者が希望に寄せて」をあえて選曲しているシュライアーはなかなかのチャレンジャーである。

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR)

Fdieskau_engel_schubert●シューベルト/歌曲集
EMI CLASSICS: 7243 5 65670 2 3
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
録音:1959年1月9日&6月12~13日、Gemeindehaus, Zehlendorf
シューベルト/タルタルスの群れD.583;ギリシアの神々D.677;期待D.159;あこがれD.636;潜水者D.77;人質D.246;歌手D.149;漁夫D.225;孤独D.620;流れによせてD.539;アルプスの狩人D.524;エルラフ湖D.586;ウルフルーが漁をする時D.525;なぐさめD.671;風にD.669;ドナウにてD.553;夕星D.806;歌の終わりD.473;あこがれD.516;ヘリオポリス第2曲D.754;ポンスにD.492;勝利D.805;友にD.654

Fdieskau_engel_ravel●ドビュッシー、ラヴェル/歌曲集
DG: 463 514-2
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P) Aurèle Nicolet(FL: *) Irmgard Poppen(VLC: *)
録音:1959年10月9、10、12日、Studio Lankwitz, Berlin
ドビュッシー/「フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード」(全3曲)
ラヴェル/「マダガスカル島民の歌」(全3曲: *);「5つのギリシャ民謡集」(全5曲);「ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ」(全3曲)

エンゲルのフランス歌曲の録音は珍しい。「ヴィヨン歌曲集」の終曲「パリ女のバラード」は世界中でパリの女性ほどおしゃべり好きな人たちはほかにいないと早口言葉のように歌われるが、曲の最後のグリッサンドをペダルなし(ひょっとしたら薄く使っているかもしれないが)でこれほど効果的に弾けるのはさすがである。F=ディースカウは最初の奥様ポッペンとの仲睦まじい共演である(「マダガスカル島民の歌」のみ)。

Fdieskau_engel_pfitzner ●プフィッツナー/歌曲集
EMI: CDM 7 63569 2
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
録音:1969年9月17~20日、Gemeindehaus, Berlin
プフィッツナー/夜にOp.26-2;学生の旅Op.11-3;新しい愛Op.26-3;ダンツィヒにてOp.22-1;ナイティンゲールOp.21-2;怒りOp.15-2;かつてOp.15-4;「五つの歌曲」Op.9(庭師;孤独な女;秋に;勇敢な男;別れ);誘惑Op.7-4;夜のさすらい人Op.7-2;わが娘の別れにOp.10-3;遅れたさすらい人Op.41-2;老年Op.41-3

Fdieskau_engel_goethe●ゲーテの詩による歌曲集
ORFEO: C 389 951 B
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
ライヴ録音:1970年、Stockholm
アンナ・アマーリア・フォン・ザクセン=ヴァイマル/田舎や町で
ライヒャルト/銘記(勇気)
ツェルター/似たもの同士
ベートーヴェン/五月の歌Op.52-4;新しい愛、新しい生Op.75-2
シューベルト/月に寄せてD259;御者クロノスにD369;海の静寂D216;魔王D328
シューマン/自由な心Op.25-2;一人で座っているとOp.25-5;そんな乱暴に甕を置くなOp.25-6
ブラームス/セレナーデOp.70-3;打ち勝ちがたいOp.72-5
R.シュトラウス/見つけたOp.56-1
シェック/黄昏は上方から降り来てOp.19a-2
レーガー/孤独Op.75-18
ブゾーニ/魔女の歌
ヴォルフ/さすらい人の夜の歌;一年中春;アナクレオンの墓;コフタの歌Ⅱ;ねずみ捕り
(以下アンコール)
ベートーヴェン/のみの歌
シューベルト/秘めごとD719;ムーサの息子D764
ヴォルフ/現象;天才の行為;コーランは永遠か否か

Fdieskau_engel_meyerbeer●マイアーベーア/歌曲集
DG(オリジナルはARCHIV): 00289 477 5270
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
録音:1974年12月6~7日、Studio Lankwitz, Berlin
マイアーベーア/人間嫌い;あの歌の響きを聞くと;薔薇、百合、鳩;おいで;心の庭;瀕死の詩人;セレナーデ;薔薇の葉;日曜日の歌;彼女と私;シシリエンヌ;トラピスト修道士の頌歌;シロッコ;ミーナ

Fdieskau_engel_schoeck ●シェック/ヘッセの詩による歌曲集
DG: 463 513-2
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) Karl Engel(P)
録音:1977年3月19~21日、Studio Lankwitz, Berlin
シェック/情報Op.8-3;2つの谷からOp.8-2;きみはそれも知っているのかOp.24b-4;ラヴェンナⅠOp.24b-9;目的地Op.24b-8;休みなくOp.24b-7;幼年時代Op.31-2;聖ステファノの回廊でOp.31-3;「リーダーツュークルス」Op.44(夜の感覚;色の魔力;しおれる薔薇;夕べに;九月の昼;青い蝶;笛;夏の夜;ニノンのために;無常)

スイスの作曲家シェックがヘッセの詩に付けた歌曲ばかりを集めている。渋みを増したF=ディースカウの歌にエンゲルは透明な響きで誠実に支えている。

ヘルマン・プライ(BR)

Prey_engel_winterreise ●冬の旅
EMI CLASSICS: 7243 5 68432 2 6
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1961年10月、Evangelisches Gemeindehaus, Zehlendorf
シューベルト/「冬の旅」D.911(全24曲)

Prey_engel_schumann ●シューマン/歌曲集
EMI CLASSICS: 7243 5 68436 2 2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1962年5月(Op.48&35)、4~5月(Op.39)、Gemeindehaus, Zehlendorf
シューマン/「詩人の恋」Op.48(全16曲);「ユスティーヌス・ケルナーの詩による歌曲集」Op.35(全12曲);「リーダークライス」Op.39(全12曲)

Prey_engel_decca_1●シューベルト、シューマン、ブラームス、シュトラウス歌曲集
DECCA: 467 901-2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1962年10月、Decca Studios No. 3, West Hampstead
シューベルト/シルヴィアにD891;夕映えの中でD799;さすらい人が月に寄せてD870;魔王D328
シューマン/イダルゴ(スペイン貴族)Op.30-3;私の薔薇Op.90-2;楽師Op.40-4
ブラームス/子守歌Op.49-4;五月の夜Op.43-2;日曜日Op.47-3;きみの青い瞳Op.59-8;セレナーデOp.106-1
R.シュトラウス/ひそやかな誘いOp.27-3;帰郷Op.15-5;万霊節Op.10-8;セレナーデOp.17-2

Prey_engel_muellerin_1●美しい水車屋の娘
キングレコード:TELDEC: K26Y 9107
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1971年5月25~27日、Brienner Str. Theater, München
シューベルト/「美しい水車屋の娘」D.795(全20曲)

これは数ある「水車屋」の録音の中でもとりわけ優れた演奏の一つだと思う。ピアノがバランス的に歌と対等にくっきりと録音されていることもあって、エンゲルの表現が細かいところまで聞き取れる。若者の生き生きとした表情や小川の描写などを表現するエンゲルの冴えたタッチとリズムが、プライの絶好調の歌唱と相俟って、気持ちよい。

ヘルマン・プライ(BR)、PHILIPS歌曲エディション

Prey_engel_loewe●HERMANN PREY - LIED-EDITION VOL. 1 -
PHILIPS: 442 687-2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1972年、München
レーヴェ/魔王Op.1-3;結婚の歌Op.20-1;歩き回る鐘Op.20-3;忠実なエッカルトOp.44-2;オールフ氏Op.2-2;エーバーシュタイン伯爵Op.9-6-5;アーチボルド・ダグラスOp.128;詩人トムOp.135;オーディンの海の騎行Op.118;オイゲーン王子Op.92

●HERMANN PREY - LIED-EDITION VOL. 2 -
PHILIPS: 442 692-2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1971~1973年
シューベルト/ライアーに寄せてD.737;夕映えの中でD.799;ヴィルデマンの丘でD.884;春にD.882;夜と夢D.827;花の手紙D.622;孤独な男D.800b;漁師の歌D.881b;春の想いD.686b;アリンデD.904;全能D.852;星D.939;万霊節D.343
(以上1973年7月、München)
シューベルト/魔王D.328d;野ばらD.257;憩いなき愛D.138;ガニュメーデースD.544;ムーサの息子D.764b;釣り人D.225;駆者クロノスに寄せてD.369;月に寄せてD.259;歌びとD.149a;竪琴弾きの歌D.478-1~3;歓迎と別れD.767b;ねずみ捕りD.255;あらゆる姿をとる恋人D.558
(以上1971年3月、München)
シューベルト/水中を潜る男D.77
(1972年4月、München)
シューベルト/巡礼者D.794;アルプスの狩人D.588b;タルタロスの群れD.583;春に寄せてD.245;憧れD.636;希望D.637
(以上1971年10月&1973年3月、München)

エンゲルの名前をはじめて知ったのが、プライとのシューベルト「ゲーテ歌曲集」のLPだった。当時、プライはドイチュとゲーテ歌曲集を再録音していたが、例えば「駆者クロノスに寄せて」での両録音のテンポがあまりに違うので驚いたものだった。ドイチュ盤でのテンポ設定が(当時のプライの意図なのだろうが)かなり遅かったのに比べて、エンゲルの演奏を聴いた時になんて爽快なピアノなのだろうと思ったのを覚えている。

●HERMANN PREY - LIED-EDITION VOL. 3 -
PHILIPS: 442 699-2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1972年11月&1973年7月、München
シューマン/「リーダークライス」Op.39(全12曲);献呈Op.25-1;あなたの顔DOp.127-2;セレナーデOp.36-2;「哀れなペーター」Op.53-3(全3曲);陽気なさすらい人Op.77-1;二人のてき弾兵Op.49-1;はすの花Op.25-7;春の旅Op.45-2;プロヴァンスの歌Op.139-4

●HERMANN PREY - LIED-EDITION VOL. 4 -
PHILIPS: 442 706-2
Hermann Prey(BR) Karl Engel(P)
録音:1975年2月、München
プフィッツナー/夜のさすらい人Op.7-2;誘惑Op.7-4;庭師Op.9-1;孤独な男Op.9-2;秋にOp.9-3;勇敢な男Op.9-4;別れOp.9-5;ダンツィヒにてOp.22-1;空はだから春にこんなに青いのかOp.2-2;深い森にひっそりとOp.2-4;沈み行く太陽はこんなに美しく輝くOp.4-1;今夜パーティーがあるOp.4-2;星が落ちてくるOp.4-3;昔の勇気が再び私をとらえるOp.4-4;漁師の子供たちの古いメルヒェンを知っていますかOp.7-1;僕ときみ;不誠実と慰め

ウルフ・ヘルシャー(VLN)

Hoelscher_engel_schubert●Complete works for violin and piano / Schubert
EMI CLASSICS: 7243 5 85529 2 8
Ulf Hoelscher(VLN) Karl Engel(P)
録音:1978年3月、Gemeindehaus, Berlin
シューベルト/幻想曲ハ長調D.934;華麗なロンド ロ短調D.895;ソナティナ ニ長調D.384;ソナティナ イ短調D.385;ソナティナ ト短調D.408;ソナタ イ長調D.574

楽器奏者と共演するエンゲルは実に雄弁だ。むしろソロ演奏よりも開放感にあふれているようにすら感じられる。歌曲「私からの挨拶を(Sei mir gegrüßt)」の美しい一節が引用されている「幻想曲ハ長調」では歌曲演奏家としての資質が大いに物を言っていた。

ヤン・ウク・キム(VLN)

●Violin sonatas / Brahms
DG: 2530298 (LP)
Yong Uck Kim(VLN) Karl Engel(P)
録音:不明
ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調Op.78「雨の歌」;
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108

ミシェル・シュヴァルベ(VLN)

●ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン~シュヴァルベ名演集
EMI; Tower Records: QIAG-50081
録音:1970年4月9-15日 Berlin, Zehlendorf-Studio
ミシェル・シュヴァルベ(Michel Schwalbe)(VLN)
カール・エンゲル(Karl Engel)(P)
バルトーク(セーケイ編)/ルーマニア民俗舞曲
アルベニス/マラゲーニャ
ドビュッシー/ミンストレル
ラヴェル/ツィガーヌ
クライスラー/前奏曲とアレグロ
サラサーテ/スペイン舞曲集 作品22 第1番 「アンダルシアのロマンス」
サラサーテ/スペイン舞曲集 作品23 第2番 「サパテアード」
ストラヴィンスキー/ロシアの歌
ヴィエニアフスキ/スケルツォ・タランテラ

クラウス・シュトルク(VLC)

●Complete works for cello and piano / Dvořák; Janâcěk
Telefunken: 642038 (LP)
Klaus Storck(VLC) Karl Engel(P)
録音:不明
ドヴォジャーク/チェロとピアノのための作品全曲
ヤナーチェク/チェロとピアノのための作品全曲

ほかにカザルスやトルトゥリエなどとの共演やシューベルトの「ます」の録音もある。

最近、フランスのレーベルからシューマンのピアノ協奏曲やベートーヴェンのピアノソナタなどの録音が復刻された。これらについてもいずれ追加する予定です。

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[10月9日(月)追記]

つい最近、ACCORDレーベルからCOLLECTION FESTIVALというシリーズで往年の演奏が廉価で復刻されたが、その中にカール・エンゲルの演奏した3枚が含まれているので、興味のある方は聴いてみてください。

Engel_beethoven_sonatas●Sonates pour piano / Beethoven
ACCORD: 476 8965
Karl Engel(P)
録音:1958年、Schola Cantorum, Paris
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」Op.13;
ピアノ・ソナタ第14番「月光」Op.27-2;
ピアノ・ソナタ第23番「熱情」Op.57

●Fantaisie "Wanderer" / Schubert
ACCORD: 476 9002
Karl Engel(P)
録音:1958年1月9日、Schola Cantorum, Paris
シューベルト/幻想曲ハ長調「さすらい人」D.760

●Concerto pour piano / Schumann
ACCORD: 476 8958
Karl Engel(P) Orchestre des Cento Soli; Daniel Chabrun(C)
録音:1958年1月15~17日、Salle Wagram, Paris
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調Op.54

3枚とも選曲された作品は超有名曲だが、30台半ばの若きエンゲルの演奏を聴くことが出来る(3枚ともほかの演奏家の演奏とカップリングされている)。3枚の中ではとりわけベートーヴェンが素晴らしかった。若い頃から楷書風の丁寧な演奏をしているエンゲルにとってベートーヴェンのかっちりしたスタイルが予想以上にしっくり合っていた。「月光」1楽章の右手高音の響かせ方、「悲愴」2楽章のあたたかい歌など、エンゲルの歌心がすでに聴き取れる。「月光」3楽章の奔流も粒立ちがよく痛快な演奏である。シューマンの協奏曲も若きエンゲルの覇気が感じられるなかなかいい演奏だった。シューベルトの「さすらい人幻想曲」ではもう少し味わいが欲しかった感もあるが、テクニシャンの一面を知るには適した録音だろう。

最近知ったのだが、マリア・ジョアン・ピレシュもハノーファーでエンゲルの弟子だったそうだ。評論家の伊熊さんの文章によると、ピレシュは子供の頃から周りにちやほやされていた自分に音楽家としての生き方をエンゲルに教えてもらったと感謝しているそうである。

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最初のコンサート

部屋を整理していたら、昔メモしていた演奏会記録のノートが出てきた。クラシック音楽に目覚めてはじめてコンサートに出かけた時からちょうど20回目のコンサートまでのプログラムと感想が書いてある。当時の感想文の青臭さを感じつつも、聴き始めの頃の音楽に対する素直な聴き方を思い出し、少し初心に戻ることも必要ではないかと感傷にひたってしまった。

私のはじめてのコンサート体験はオルガンの演奏会であった。ご覧になっている方にはどうでもよい情報だとは思うが、記録として一応記しておきたい。

1982年8月27日(金)午後6時30分開演 神奈川県民ホール(小)
「パイプオルガン演奏会」
岳藤豪希(たけとうごうき)(ORG);東京フリーデンスカイトライ(CHOR:ヴルピウスとシュッツの曲のみ)

シャイト/詩歌「イエス十字架につけられ給いて」
ヴルピウス/モテット「主よ、私達は夜通し働きましたが」
ヴルピウス/モテット「私にむかって“主よ主よ”と言う者が皆」
ブクステフーデ/前奏曲とフーガ嬰ヘ短調BuxWV146
シュッツ/モテット「主イエスに関する偉大な愛の御業を告白します」SWV76
シュッツ/モテット「私の救い主の御手の中に」SWV82
バッハ/前奏曲とフーガ ニ長調BWV532
~休憩~
バッハ/パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582
バッハ/コラール前奏曲「たたえまつれ栄光の王にいます主を」BWV650
バッハ/コラール前奏曲「来たれ異邦人の救主よ」BWV659
バッハ/コラール前奏曲「おお人よ汝の罪の大いなるを嘆け」BWV622
バッハ/コラール前奏曲「今日は勝利の日」BWV630
バッハ/コラール前奏曲「われ汝に呼ばわる、主キリストよ」BWV639
レーガー/トッカータ ホ短調Op.63-Ⅲモノローグより
レーガー/コラール「我らの神は堅き城」による幻想曲

このコンサートを友人と2人で出かけた時の記憶が甦ってくる。今日まで様々な会場で演奏会を聴いてきたが、その多くは脳の奥底に沈んでしまっているようだ。しかし不思議なもので、この最初の演奏会の時の会場の様子、感じた緊張感などは、薄れてはいるもののまだ脳裏に残っていた。今は全く行かなくなってしまった神奈川県民ホールの小ホールも当時はよく出かけたものである(アーメリングを最初に聴いたのもここであった)。サントリーホールなどには全く及ばないコンパクトなパイプオルガンではあるが、強く印象に残っている。
私のはじめてのコンサートの感想はたった一言「生まれて初めての演奏会とパイプオルガンを友達と共に楽しんだ」と書かれてあった。やはり懐かしい。

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