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「詩人の恋」第7曲:ぼくは恨まない

Ich grolle nicht, und wenn das Herz auch bricht,
Ewig verlor'nes Lieb! Ich grolle nicht.
Wie du auch strahlst in Diamantenpracht,
Es fällt kein Strahl in deines Herzens Nacht.
 ぼくは恨まない、心が張り裂けようとも、
 永遠に失ってしまったいとしい女(ひと)よ!恨みはしない。
 ダイアモンドの輝きに包まれてどれほどきみが輝いていても、
 きみの心の夜に光は射さない。

Das weiß ich längst. Ich sah dich ja im Traume,
Und sah die Nacht in deines Herzens Raume,
Und sah die Schlang', die dir am Herzen frißt,
Ich sah, mein Lieb, wie sehr du elend bist.
 そんなことはとっくに分かっていたさ、夢でおまえを見たんだ、
 おまえの心の空間に夜を見たし、
 それからおまえの心をむしばむ蛇を見た。
 俺は見たんだよ、いとしい女、おまえがどれほどみじめなのかを。

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コメント

フランツさん
 「詩人の恋」シリーズ、楽しませていただいています(部屋でひとり口ずさんでいるのは内緒です)。
 後半の言葉遣いの荒っぽさに少し違和感を感じました。主人公(?)はまだ"恨めしい彼女"に未練たらたらなわけで、そうじゃないと第8曲以降の展開に繋がっていかないように思えるのです。とはいえ、解釈はいろいろあっていいわけですが。

投稿: Pochi | 2006年10月19日 (木曜日) 19時53分

Pochiさん、ご訪問とコメントを有難うございます。
楽しんでいただけたようでうれしく思います。
後半の訳は確かに乱暴な言い方だったかもしれませんね。
主人公は最後まで彼女への未練を捨てきれないと思いますが、恋人に捨てられてまだ時間が経っていない段階の混乱した状況をイメージして訳してみました。ちょっとやり過ぎたかもしれませんね。翻訳をしていると自分の解釈が入りすぎてしまうことがあるので何度か見直していますが、なかなか理想の訳に近づけるのは難しいと実感しています。貴重なご意見、有難うございました。

投稿: フランツ | 2006年10月19日 (木曜日) 20時25分

詩人の恋の翻訳、快調ですね。私はハイネはけっこうこういう荒っぽい言い回しの方がしっくりきます。もし私がやったらもっと激しい口調になっていたような..ハイネという詩人がなんというか感情の激しさを持っていて、こういった罵倒の天才なのではないかと思っているのです。情念が深いからぶつける言葉も激しいのだ、ということで、私としては納得の訳です。あと一息ですが残りも楽しみにしています。


投稿: Fujii@歌曲会館 | 2006年10月21日 (土曜日) 15時18分

Fujiiさん、いつも応援していただき有難うございます。
Fujiiさんの解釈を聞かせていただき、様々な可能性のある翻訳の奥深さを考えさせていただきました。
ハイネの斜に構えた詩は個人的には共感できないところもあるのですが、芸術作品として見た時にほかになかなかない独自の存在であることを感じずにはいられません。以前Fujiiさんがおっしゃっていたと思いますが、子供のころに何の疑問もなく聴いていた「四季の歌」の「~ハイネのようなぼくの恋人」という歌詞はやはりハイネの詩をいろいろ読んだ後だと苦笑してしまいます。作詞者は単に美しいラブソングの詩人ということでハイネの名前を出しているように思えますが、あるいはあえて屈折した詩人としてのハイネの名前を出しているのならこの歌をもう1度見直してみなければという気持ちになります。
この「詩人の恋」シリーズが無事終わりましたら、解説を加えていずれ「詩と音楽」サイトに投稿したいと考えています。深い情念のこもったFujiiさんの訳もいつか拝見できればうれしいです。

投稿: フランツ | 2006年10月21日 (土曜日) 20時41分

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