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アーメリングのブラームス歌曲集

エリー・アーメリングは初期から後期まで、ほぼ10年おきに3回まとまったブラームス歌曲集を録音している。共演者はノーマン・シェトラー、ドルトン・ボールドウィン、ルドルフ・ヤンセンと、それぞれ異なる。

1)Elly Ameling(S) Norman Shetler(P)(全18曲)
Ameling_shetler_brahms deutsche harmonia mundi: 74321 266152(CD)
録音:1968年6月29~30日 Viersen

ブラームス/あなたがほんの時折微笑んでくれたらOp. 57-2;私は夢を見たOp. 57-3;ああ、このまなざしをそらしてOp. 57-4;そよがぬなまぬるい大気Op. 57-8;あの谷に菩提樹が立っている;娘は語るOp. 107-3;娘の歌Op. 107-5;甲斐なきセレナーデOp. 84-4;ああ、お母さん、欲しいものがあるの;セレナーデOp. 106-1;日曜日の朝にOp. 49-1;あの下の谷に;お姉ちゃん;静かな夜に;素敵な恋人よ、裸足で来たら駄目だよ;雨のあいだOp. 58-2;おお涼しい森よOp. 72-3;永遠の愛についてOp. 43-1

2)Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P)(全18曲)
Ameling_baldwin_brahmsPHILIPS: X-7834(国内LP)(半分ほどCD化されている)
録音:1977年1月22~27日 Concertgebouw, Amsterdam

ブラームス/郷愁Op. 63-8;狩人Op. 95-4;アグネスOp. 59-5;いちご畑でOp. 84-3;春Op. 6-2;悲しむ娘Op. 7-5;甲斐なきセレナーデOp. 84-4;スペインの歌Op. 6-1;森で飾られた丘からOp. 57-1;子守歌Op. 49-4;使いOp. 47-1;はやくおいでOp. 97-5;恋人の誓いOp. 69-4;あなたの青い目Op. 59-8;娘は語るOp. 107-3;永遠の愛についてOp. 43-1;砂男(眠りの精);わが眠りはますます浅くなりOp. 105-2

3)Songs by Brahms
Ameling_jansen_brahms Elly Ameling(S) Rudolf Jansen(P)(全23曲)
Hyperion: CDA66444(CD)
録音:1990年8月14~18日

ブラームス/湖上にてOp. 59-2;ナイティンゲールに寄せてOp. 46-4;野の孤独Op. 86-2;甲斐なきセレナーデOp. 84-4;おお涼しい森よOp. 72-3;秘密Op. 71-3;わが傷ついた心Op. 59-7;愛の誠Op. 3-1;あなたの青い目Op. 59-8;狩人Op. 95-4;「マゲローネのロマンツェ」~別れはなくてはならないものなのかOp. 33-12;わが眠りはますます浅くなりOp. 105-2;夢遊病者Op. 86-3;使いOp. 47-1;黄昏が上方より降り来たりOp. 59-1;霜が降りOp. 106-3;わが愛は緑Op. 63-5;五月の夜Op. 43-2;テレーゼOp. 86-1;私たちは歩き回ったOp. 96-2;メロディーのようにOp. 105-1;ナイティンゲールOp. 97-1;「マゲローネのロマンツェ」~憩え、かわいい恋人よOp. 33-9

このうち重複して演奏されている曲は以下のとおり。

●1、2、3で重複
 甲斐なきセレナーデOp. 84-4

●1、2で重複
 娘は語るOp. 107-3
 永遠の愛についてOp. 43-1

●1、3で重複
 おお涼しい森よOp. 72-3

●2、3で重複
 狩人Op. 95-4
 使いOp. 47-1
 あなたの青い目Op. 59-8
 わが眠りはますます浅くなりOp. 105-2

従って、この3種に録音されたブラームスのレパートリーは重複を除くとちょうど50曲となる。
シェトラー盤での爽やかな風が吹き抜けるような若々しい歌声(まだ硬さを残した蕾のような感もあるが)、
ボールドウィン盤での盛期の声による充実した、地に足のついた表現、
そしてヤンセン盤での熟してますます深く心に寄り添い染み込んでくる歌
と3種それぞれの良さがある。
「甲斐なきセレナーデ」の10年ごとの表現のなんと進化していることだろう。

レパートリーの変遷を追うのも興味深いだろう。
シェトラー盤ではブラームス編曲の「ドイツ民謡集」から6曲歌われているが、ボールドウィン盤では「子供の民謡集」から有名な「眠りの精」が歌われ、ヤンセン盤ではそれらの民謡集からは1曲も含まれていない。
ヤンセン盤で目につくのが歌曲集「マゲローネのロマンツェ」から2曲歌われていることだ。この歌曲集には女声が歌う設定の曲が2曲あるが、アーメリングはそれらではなくあえて男声の歌曲から美しい2曲を選択した。そのあたりも彼女のこだわりだろう(日本公演でもこの2曲は披露された)。

さらにオムニバス盤の中でもブラームスは多く取り上げられている。

4)Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P)
EMI: TOCE-8956(国内CD)
録音:1972年9月6~11日 Gemeindehaus Studio, Zehlendorf, Berlin
ブラームス/あの下の谷に

5)Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P)
PHILIPS: X-7806(国内LP)
録音:1976年9月10~14日 Kleine zaal, Concertgebouw, Amsterdam
ブラームス/ああ、お母さん、欲しいものがあるの;お姉ちゃん

6)Elly Ameling(S) Dalton Baldwin(P)
CBS SONY: 28AC 1242(国内LP)
録音:1979年10月 Holland
ブラームス/娘の唇はバラのように赤い

7)Elly Ameling(S) George Szende(VLA) Dalton Baldwin(P)
EMI: EAC-80485(国内LP)
録音:不明
ブラームス/宗教的な子守歌Op. 91-2

8)Elly Ameling(S) Rudolf Jansen(P)
PHILIPS: 28CD-896; 422 333-2(CD)
録音:1988年2月22~25日 La Chaux-de-Fonds, Switzerland
ブラームス/砂男(眠りの精);甲斐なきセレナーデOp. 84-4;子守歌Op. 49-4

「娘の唇はバラのように赤い」と「宗教的な子守歌Op. 91-2」は彼女唯一の録音なので、最終的な録音レパートリーは52曲となった。

アーメリングの選んだピアニストにはずれはない。
アメリカ出身でヨーロッパを本拠地にするシェトラー(1931-)の堅実で安定した演奏、
同じくアメリカ出身で、アーメリングとの結びつきも強いボールドウィン(1931-)の歌を知り尽くしたさり気ない巧みさ(「恋人の誓い」など絶品)、
アーメリングと同じオランダ出身のヤンセン(1940-)の立体的でニュアンスの豊かな演奏
と三者三様、リートの「ピアノパート」を味わう楽しみを実感させてくれる。

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