シューマンの作曲
今年没後150年を迎えたシューマン(Robert Schumann:1810.6.8, Zwickau-1856.7.29, Endenich)が一時期に特定のジャンルを集中的に作曲したことはよく知られている。クラーラと恋に落ち、彼女の父でシューマンのピアノ教師だったフリードリヒ・ヴィークに交際を猛反対され、それでも交際を続け、ついに裁判まで起こした時期にはピアノ曲が集中的に作曲された。裁判を重ね、ついに結婚が認められた1840年はシューマンの「歌の年」で、独唱歌曲が120曲以上(全歌曲の半分にあたる)作られた。そしてその翌年からは交響曲など器楽曲の比重が高くなっていく。喜多尾道冬氏の解説によると、シューマンは歌の年の前年まで「リートの作曲は器楽曲のそれに劣り、すぐれた芸術とは思えない」と言っていたそうだが、歌曲を集中的につくりはじめてから「歌を作るとはなんてすてきなことだろう。そのよろこびを長いこと忘れていた」とクラーラに書き送っている。さらに「それは指を通して鳴らすような音楽とはまったくちがって、もっと直接的で、もっとメロディに満ちている」と言っている。指を通して鳴らすピアノ曲から、より直接的に気持ちを伝えることの出来る歌曲というジャンルに移っていったのは、多くの障害を克服していくことでより燃え上がるクラーラへの想いを反映しているのだろう。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 祝 Every Little Thing デビュー30周年(2026.08.08)
- エリー・アーメリングYouTube公式チャンネルに最近投稿された音源(ロッスィーニ:ダンス(Rossini: La danza))(2026.08.01)
- 「メムノン D 541」- ロベルト・ホルのシューベルト歌曲解説動画シリーズ「シューベルトの詩の世界-わが遺産」(Schubert: Memnon | Robert Holl in Schubert's poetischer Welt - "Mein Vermächtnis")(2026.07.26)
- エリー・アーメリングYouTube公式チャンネルに最近投稿された音源(ビゼー:歌劇『カルメン』~ミカエラのレチタティーヴォとアリア(Bizet: Récitatif et Air (Micaëla) - "Carmen" Act 3)(2026.07.20)
「シューマン Robert Schumann」カテゴリの記事
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューマン「献呈」(Robert Schumann: Widmung, Op. 25, No. 1)(2026.02.27)
- 【生誕100年記念】ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウのシューマン「詩人の恋Op. 48」「リーダークライスOp. 24, 39」録音データ(2025.12.31)
- 東京春祭 歌曲シリーズ vol.43:クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)&ゲロルト・フーバー(ピアノ) II(2025年3月22日 東京文化会館 小ホール(ネット席))(2025.03.28)
- 【エリー・アーメリング】シューマン「リーダークライス(Liederkreis, Op. 39)」の第8曲「異郷にて(In der Fremde, Op. 39, No. 8)」&第3曲「森の対話(Waldesgespräch, Op. 39, No. 3)」の考察(2024.04.20)
- エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン/シューマン:歌曲集『女の愛と生涯』Op. 42(2024.03.15)

コメント