伊福部昭逝去
作曲家、伊福部昭(1914年5月31日生まれ)が2月8日に多臓器不全のため91歳で亡くなったそうだ。「ゴジラ」や「大魔神」の映画音楽などで著名な人だが、歌曲も作っている。「梅丘歌曲会館」ではもちろんFUJIIさんが1曲とりあげておられるが、民族固有の言葉を使い、楽器もピアノに限らずティンパニとの組み合わせなどというものまである。この機会に、日本歌曲のF=ディースカウとでも言いたくなるほど硬軟とりまぜて網羅的な仕事ぶりを見せるソプラノ、藍川由美の「伊福部昭・全歌曲」を取り寄せて聴いてみようと思う。この収録曲ですべてかどうかは分からないが、主要曲は網羅しているのだろう。ご冥福をお祈りいたします。
1)ギリヤーク族の古き吟誦歌(アイ アイ ゴムテイラ/苔桃の果拾ふ女の歌/彼方(あなた)の河び/熊祭に行く人を送る歌)(伊福部昭:詩)(1946)[独唱/ピアノ]
2)サハリン島先住民の三つの揺籃歌(ブールー ブールー/ブップン ルー/ウムプリ ヤーヤー)(伝承詩)(1949)[独唱/ピアノ]
3)アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌(或る古老の唄った歌/北の海に死ぬ鳥の歌/阿姑子(あこし)と山姥(やまんば)の踊り歌)(伝承詩、知里真志保:訳)(1956)[独唱/ティンパニ]
4)摩周湖(ハープ版)(更科源蔵:詩)(1992)[独唱/ヴィオラ/ハープ]
5)シレトコ半島の漁夫の歌(更科源蔵:詩)(1960)[独唱(バス)/ピアノ]
6)頌詩「オホーツクの海」(更科源蔵:詩)(1958/1988)[独唱/ファゴット/コントラバス/ピアノ]
7)摩周湖(ピアノ版)(更科源蔵:詩)(1992)[独唱/ヴィオラ/ピアノ]
8)因幡万葉の歌五首(あらたしき/はるののに/はるのその/さよふけて/わがせこが)(大伴家持(1-4)、大伴坂上郎女(5):詩)(1994)[独唱/アルトフルート/二十五絃筝]
9)蒼鷺(更科源蔵:詩)(2000)[独唱/オーボエ/ピアノ/コントラバス]
10)聖なる泉(伊福部昭:詩)(1964/2000)[独唱/ヴィオラ/ファゴット/ハープ]
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コメント
こんばんは、伊福部の歌曲、ぜひ聴いてみてください。私も昨晩しんみりと聴いてその途轍もない素晴らしさを再発見しました。いわゆる「日本歌曲」とも、「邦楽曲」とも違うその独特の雰囲気は縄文と弥生文化の違いにまで遡る深いところを突いてくるからでしょうか?思い切り痺れました。
ほんとは藍川さんだけではなくて他の多くの方にも取り上げて欲しいところなのですが(声の質といい雰囲気といい物凄くはまりそうなのが白井光子さん。彼女は日本歌曲は歌わないんですかね。伊福部作品はアルトに近い声の方が絶対に映えると私は思うのです)、数少ない録音を聴きながら渇きを癒すしかありません。
投稿: FUJII | 2006年2月10日 (金曜日) 21時50分
藤井さん、コメントを有難うございます。昨日アマゾンに注文したので、来週には聴けそうです。ティンパニーの伴奏というのはラヴェルやプーランクの土俗的な響きを想像してしまいます。縄文と弥生の違いを音で表現しているのですね。
三浦洋一さんの弾いているビクターのシリーズでも弟子の芥川さんの作品とともにおさめられているようですね。
白井さんはドイツ歌曲を極めるために、あえて日本歌曲に立ち入らないような気がします。でもいつの日か彼女の母国語による歌が聴けることを私も強く願っています。
投稿: フランツ | 2006年2月10日 (金曜日) 22時03分