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クリストフのロシア歌曲集

相互リンクをさせていただいている「梅丘歌曲会館」で目下FUJIIさんがロシア歌曲の特集をされていますが、まとめてロシア歌曲を聴きたい時のアンソロジーとしてボリス・クリストフ(Boris Christoff:Борис Христов:1914.5.18−1993.6.23)のCDがちょうどいいのではないでしょうか(EMI CLASSICS:CZS 7 67496 2)。クロストフは最近話題の力士と同様ブルガリア出身のバス歌手で、グリンカ、ボロディン、キュイ、バラキレフ、リムスキー=コルサコフ、チャイコフスキー、ラフマニノフ、それにロシア民謡を歌っています(ロシア歌曲の大御所ムソルクスキーが収録されていませんが、クリストフはムソルクスキー歌曲全集を別に録音していて、「子供部屋」などファルセットを駆使して見事に聴かせてくれます)。ヒュッシュやF=ディースカウがドイツ歌曲で、あるいはベルナックやスゼーがフランス歌曲で成し遂げたことをロシア歌曲で行ったのがクリストフと言えるかもしれません。どの曲も充分な味わいとばらつきのない完成度を誇り、バス歌手なのに重すぎず、安心して作品を楽しむことが出来ます。このロシア歌曲集に収録されている曲は各作曲家の代表作がほぼ網羅されているのではないかと思いますが(ボロディンはほとんど全曲収録されています)、例えばグリンカの「子守歌」ではピアノのほかにチェロの助奏が加わることにより、死に誘うかのような響きが強まり、聴き物です。同じく有名な「疑い」でもチェロの甘美な響きがクリストフの悲痛な表情を強調しています。

数曲のオケ共演のほかは数人のピアニストが共演していますが、クリストフの良き共演者で素晴らしい演奏を聴かせているアレクサンドル・ラビンスキー(Aleksandr Labinsky:Александр Лабинский:1894−1963)のほかに、ボロディンやバラキレフの歌曲を作曲家でピアニストでもあったチェレプニン(Aleksandr Tcherepnin:Александр Черепнин:1899.1.20−1977.9.29)が弾いているのも興味深いところです。

曲目リストはこちらを御覧ください。

このCDは残念ながらすでに製造中止になっているようで、amazonでもイギリスのamazonに中古が売られているぐらいなので、図書館か中古店を探すしかないと思いますが、文京区の図書館に国内LP(バラ)が所蔵されているようなので興味のある方は館外貸出しを利用されるのもいいかもしれません。

amazon.co.uk(イギリスのサイト)でいくつか試聴も出来ます。

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コメント

ロシア歌曲特集のこと、取り上げてくださってありがとうございます。
私もこのクリストフのロシア歌曲集、愛聴しています。
CDでは歌詞カードはおろか、ロシア語や英語の題名も表記されていないのが大問題ですが、キュイの歌曲の中にはこの録音でないと聴けないものがたくさんあるので大事にしたいと思っています。
グリンカとチャイコフスキー・ラフマニノフの抒情味が強い歌だけは、ちょっと表情付けの濃さが気になって楽しめないのですが、あとは絶品だと思います。ただちょっと録音も含め古くなってしまいましたでしょうか。

最近ロシア歌曲の歌い手で私が気になりだしたのがバスのレイフェルクス。コニファーやコッホなどあまり目立たないレーベルへの録音が多いので私も今までノーチェックだったのですが、グリンカからダルゴムイシスキー&ボロディン、ムソルグスキー、チャイコフスキーにラフマニノフ、そしてクリストフが入れていなかったショスタコーヴィチと大事なところはだいたい押さえてくれています。Kochにあったショスタコーヴィチの歌曲集で初めて聴いてノックアウトされ、その後ムソルグスキーやグリンカなどの歌曲集を見つけて楽しんでおります。声の美しさと表情付けのうまさ。クリストフの後継と呼んでも良いかと思いました。残念ながらマイナーレーベルのリリースなので入手困難が多く、
ボロディンやチャイコフスキーなどはまだ見つけておりませんが...

投稿: FUJII | 2006年1月29日 (日曜日) 12時23分

FUJIIさん、コメントを有難うございました。
レイフェルクスはCD店で「ムソルクスキー全集」を何度も見かけながら、「クリストフがあるからいいか」と思っていたのですが、いい歌手のようですね。今度チェックしてみようと思います。
歌曲会館での「子供部屋」の投稿も楽しませていただきました。クリストフの裏声での演奏ははじめて聴いた時には衝撃だったのですが、慣れるとこれはこれで面白いと思うようになりました。おっしゃるように濃い目の表情づけは古い世代特有のものなのかもしれません。でもいい歌手ですね。ダヴラツは「オーベルニュの歌」の清流のような澄んだ声が素晴らしかったので「子供部屋」も合いそうですね。
ところでご指摘のあったアーメリングの「子供部屋」は来日公演ではドイツ語版で歌われたようです。1995年のニューヨークでのコンサートでこの曲集を歌ったテープを所有しているのですが、引退公演にもかかわらず、シューベルトやシューマンに比べてなんと生き生きと若返っていることか、声に込めるユーモアのセンスはこの歌手特有のものがあって、聴衆もくつろいで笑ったりしていました(「木馬」の子供が足をぶつけるくだりなど)。ちなみにこの時も「木馬」を入れ替えて最後にもってきていました。彼女に最もふさわしいレパートリーの一つだと思うので、TDKさんがいつかCD化してくれるといいのですが。

投稿: フランツ | 2006年1月30日 (月曜日) 00時00分

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