エリー・アーメリングとの出会い
エリー・アーメリング(Elly Ameling : 1933.2.8 -)をはじめて聴いたのは中学生の頃、レコード店(当時はCDが出始めたばかりで圧倒的にレコードの方が多かった)で見つけたシューベルト歌曲集のレコードだった。「夕映えの中で」で始まり、「至福」で終わる16曲の歌はなんともいえずに美しかった。声は透明に澄んでいるのに取り澄ましたところが全くなく、温かく親密な歌いかけが心地よかった。これはアーメリング40歳の時の録音で、声と表現の両面でまさに最盛期といっていい時期のものである。この時以来、私はアーメリングの虜となった。彼女の録音は可能な限り集め、コンサートも1987年以降1997年5月の公演(96年の引退公演のアンコールとして横浜で再度歌ってくれた)まで来日するたびに聴きに行った。若かりし頃の声量や声域と引き換えに得た表現の自在さ、熟した芸の凄みに圧倒されることも少なくなかった。特に津田ホールで聴いた「糸を紡ぐグレートヒェン」のまさに乗り移ったかのような壮絶な想いの表出は、アーメリングの一般的な可憐なイメージを払拭するに足る「凄い」としか言いようのないものだった。彼女の芸術の一つの到達点に立ち会えたような気持ちでいまだに強く記憶に残っている。
これから、このブログでアーメリングのディスコグラフィーを作っていきたいと思っている。系統だったものにするよりもその時々に聴いたレコードやCDについてコメントをつけながら1枚づつ丁寧に記していこうと思っている。途方もない計画だが、私のアーメリングに対する感謝の気持ちをこういう形で表現していきたい。
←アーメリング&ボールドウィン「夕映えの中で」(1973年録音)
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コメント
僕はいつも冷かし顔で町を徘徊。乱歩の東京をもとめて彷徨へば路地裏の奥から音楽も聴こへる。あまりな雑踏よりは老人には愉しいもの。今日の午後は隣町へ来たやうですが、何処か懐かしさを感じる。・・・フランツ殿の真摯なお館を垣間見させていただきました。これまた深い森。先日の御礼の一筆でした。
投稿: 鴨長明 | 2005年12月22日 (木曜日) 15時45分