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カルロ・カーリー&井上圭子/デュオコンサート(2005年12月14日 川口リリア・音楽ホール)

歌曲の話題ではありませんが、14日(水)に川口リリア・音楽ホールでカルロ・カーリー(Carlo Curley)&井上圭子・オルガン・デュオコンサートを聴きました。

友人から誘われて急遽行くことになったコンサートですが、オルガンは本当に久しぶりで、エンターテイナー、カーリーと、感じのよい解説も加えてくれた井上さんによる多彩なプログラムを楽しむことが出来ました。

プログラムは次の通りです。

アーチャー編/ロンドンデリーの歌(カーリー)  バッハ;カーリー編/シンフォニア、ニ長調(BWV29より)(カーリー)  バッハ/トッカータ、アダージョとフーガ、ハ長調BWV564(カーリー)  ベートーヴェン/音楽時計のためのアダージョWoO.33-1(デュオ)  シューマン/カノン風練習曲Op.56-3(井上)  シューマン/スケッチOp.58-3(井上)  スーザ;シュノー編/星条旗よ永遠なれ(デュオ)

<休憩>

リスト/「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」による変奏曲(井上)  ボイス/序奏とトランペット・ヴォランタリー、ニ長調(カーリー)  デュプレ/前奏曲とフーガ、ト短調(カーリー)  バッハ;マイアー編/フルートとチェンバロのためのソナタBWV1031~シチリアーノ、ト短調(デュオ)  リンドブラッド/アメリカのテーマによるトッカータ(カーリー)

アンコール:マクダウェル/2本の野生のばら(カーリー)

お二人とも名前は知っていたのですが、録音も実演も未聴で、川口のこのホールでオルガンを聴くのもはじめてだったので期待して出かけました。さすがにキャリアの長いカルロ・カーリーさんは芸達者で、井上さんの2人分ぐらいのがっしりした体格で愛嬌のある仕草と解説が本当に楽しく、アメリカ人らしいエンターテイナーぶりを発揮していました。井上さんは後ろ姿でも手の動きがはっきりと見えるのに対して、カーリーさんは大きな背中が手を完全に隠してしまい、足のペダルさばきしか見ることは出来ませんでした。

前半は耳に馴染みのある「ロンドンデリーの歌」のカーリーさんの演奏ではじまり、続いてバッハ2曲が演奏されました。「シンフォニア」でのいかにもカンタータのはじまりらしい華やかで、細かい音の動きがきっちりとリズミカルに演奏され、続く「トッカータ、アダージョとフーガ」では演奏前にフーガの主題をカーリーさんが弾きながら説明を加えて、気楽なレクチャーコンサートの趣がありました。演奏は陽気なアメリカ人がこの時ばかりはドイツ人に早変わりしたかのような見事な構築感が、この最もオルガンと相性のいい作曲家の作品をさらに魅力あふれるものにしていました。それにしてもバッハのオルガン曲は私にとっては他のどの作曲家にも増してオルガンである必然性を強く感じさせられます。続くベートーヴェンの珍しい「アダージョ」でこの日最初のデュオ演奏を聴かせてくれました。「エリーゼのために」を聴く時に感じるのと同様のベートーヴェンの優しい一面がクローズアップされた作品でした。時計らしい規則的に刻まれるリズムが心地よく響きました。その後、井上さんが「カーリーさんの男性的なバッハの作品に続いて女性らしいロマンティックな世界を演奏します」というようなことを話されて、シューマンの2曲が演奏されました。「カノン風練習曲」は短い曲でしたが、「スケッチ」はシューマンらしい豊かなファンタジーの世界が展開されていて、オルガンとシューマンという新鮮な組み合わせを満喫しました。井上さんの演奏もシューマンのロマンティックな世界を彩りあふれる音色で聴かせてくれました。前半最後は再びお二人の演奏でスーザの有名な「星条旗よ永遠なれ」のオルガン編曲版でしたが、デュオでは常に高音部の華のある方を井上さんに担当させて、楽しそうに伴奏のリズムを刻むカーリーさんの表情がとても温かく感じられました。

後半最初は井上さんのソロで、15分ほどの長大なリストの曲でした。最初に下降するモティーフを弾いて、解説を加えられた後にこの大曲を見事な技巧と集中力で演奏されました。リストらしい高度なテクニックも難なく弾かれ、プログラム前半の明るい曲が続いた後だけに、深く沈んだ雰囲気がいいアクセントになっていました。その後、カーリーさんのソロが2曲、ユーモラスな解説を加えながら(一節をカーリーさんが楽しそうに歌っていました)演奏されましたが、特にデュプレの「前奏曲とフーガ」はふわふわとした細かい動きが不思議な雰囲気を醸し出して、とても面白い曲でした。その後、有名なバッハの「シチリアーノ」がデュオで弾かれ、最後はカーリーさんのソロで、彼の友人というスウェーデンの作曲家、リンドブラッド(Lindblad)の「アメリカのテーマによるトッカータ」で、「ウェストサイドストーリー」の誰でも知っているテーマによって華やかに締めくくられました。アンコールはカーリーさんのソロで可憐な印象の1曲が弾かれ、お開きとなりました。前半だけで1時間かかるボリュームたっぷりのプログラムで、すでに終演時間も9時10分ぐらいになっていたので、井上さんのアンコールの時間が残念ながらなかったのでしょう。

Curley_inoue_20051214_chirashi

普通のオルガンコンサートでなかなか聴けない珍しい曲がたっぷり聴けて、お2人の雰囲気もとても温かく、「いいコンサートだった」と素直に思える一夜でした。

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