アーメリングのバイオグラフィー(2)
1956年にオランダのセルトーヘンボス声楽コンクール(International Vokalisten Concours in 's-Hertogenbosch)で1位のさらに上の優秀1等賞(Eerste Prijs Cum Laude)を受賞、さらに2年後にはジュネーヴの国際音楽コンクール(Concours International de Musique á Genève)でも優勝した。セルトーヘンボスのコンクールでは、グノーの歌劇「ファウスト」から「宝石の歌」、ドビュッシーの「忘れられた歌」から「それは物憂い恍惚(C'est l'extase langoureuse)」、バッハの「マタイ受難曲」から「Blute nur」を歌った。ジュネーヴのコンクールではピアノ部門の優勝者ポッリーニ(Maurizio Pollini)と並んで撮影された写真が後述の伝記に掲載されている。
すでに地元では1953年から歌っていたが、正式なデビューはアムステルダムで1961年に行われ、さらに1966年にはロンドンで、1968年にはニューヨーク(リンカン・センターLincoln Center)でデビューした。
フランク・マルタンのオラトリオ「降誕の秘蹟(Le Mystére de la Nativité)」のジュネーヴにおける世界初演(1959年:アンセルメ指揮)に参加し、そのライヴ録音もCascavelleから出ている。
初来日は1972年で、ヴィンシャーマン指揮ドイツ・バッハ・ゾリステンとのバッハとのほかに、日比谷公会堂でピアニストの小林道夫とドビュッシー、ルセル、カプレ、シューベルトを歌った。
宗教曲やオーケストラ付き声楽曲、そしてドイツ、フランスを中心にイタリア、スペイン、イギリス、さらに日本の歌曲までもレパートリーに持つ彼女だが、オペラへの出演はかなり限定している。
1973年5月20日からオランダ歌劇場(スヘーフェニンゲンのスィルクステアーターCircustheater, Scheveningen:ミヒャエル・ギーレンMichael Gielen指揮)で、さらに翌年5月23日~26日にワシントン歌劇場(ケネディ・センターKennedy Center:ユーリウス・ルーデルJulius Rudel指揮)でモーツァルトの「イドメネオ(Idomeneo)」のイリア役を歌っているが、その他には若い頃に「魔笛」の第一の童子やマイヤールの「ヴィラールの竜騎兵」、オランダ・テレビやラジオで「蝶々夫人」「ドン・ジョヴァンニ」(ツェルリーナ)やヴェルディの「王国の一日」などを歌っている。
オペラの録音は全曲盤はハイドンの「騎士オルランド」(1976年:ドラティ指揮)があるのみだが、シューベルトの珍しいアリア集やモーツァルトの名作集、さらに18世紀の古典アリア集(ヘンデル、パーセルなど)の録音も残している。
彼女のおそらく最も古い録音は15歳の頃のプライヴェート録音で、彼女自身がピアノを弾きながら歌っているモーツァルトの「クローエに(An Chloe, K. 524)」であろう(ジャケットには誤って「すみれ」と印刷されている)。正規のスタジオ録音の最も初期のソロ・アルバムはイェルク・デームス(Jörg Demus)との1965年録音のシューベルト歌曲集と思われる。
彼女は150枚以上のLP、CDを出しており、主な受賞歴は以下の通り。
Edison (4x)
Grand Prix du Disque (3x)
Preis der Deutsche Schallplattenkritik
Extra Edison Award in 1995 (for her entire phonographic oeuvre)
上記の通り、1995年4月3日に彼女の全録音に対してエディソン特別賞が授与された。
※以下、(3)に続く
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