« 生誕*年記念 | トップページ | シュライアー/フェアウェル・リサイタル1(2005年11月12日 東京オペラシティ・コンサートホール) »

ショパンの主題による歌曲/中田喜直作曲

昔から教育テレビでは著名なピアニスト(小さい頃に故井上直幸氏のレッスンを放送していた記憶がある)を講師にしたレッスンのシリーズを放送しているが、これがなかなか面白い。

1回きりのスペシャル番組だったマリア・ジョアン・ピレシュの予想外に辛らつだが熱のこもったレッスンや、モーツァルトの著名なピアノ曲を様々な国籍の生徒に教えていたフィリップ・アントルモンなど熟したピアニストの模範演奏と共に楽しめるレッスンだった。アントルモンは「親指は表情をもって弾くのには不向きだからなるべく使わないように」というのと「体や手首を必要以上に動かすべきではない」といったことを頻繁に口にしていたのが印象に残っているが、今ショパンの曲の講師を務めているのはぐっと若返ったフランスのジャン・マルク・ルイサダである。このちょっと前までは若手というイメージの強かったピアニストの教えぶりがまた興味深い。これまでの多くの年配のピアニストが聞いたら駄目出しをしそうな事を生徒に求めたりするのだ。ルイサダは体全体で弾くようにと求める。時にはおしりを椅子から浮かすように求め、ある時には手をふんわりと浮かすように促す。とかく余計な動きを排除しようとしてきたかつての講師とのあまりの違いぶりに戸惑ってしまうが、世代の違いというよりもピアノのテクニックの変遷を見せてもらっているかのような気持ちになる。

それはそうと、今日の番組で一つ驚いたことがある。私はショパンの曲は好きだが、熱烈なファンというわけではなく、知らず知らずのうちになんとなく聴いて親しんでいたという程度である。まだまだ知らない曲も沢山あるが、今日のレッスン曲の「幻想曲 ヘ短調 作品47」を聴いて驚いた。日本人なら誰でも知っている「雪の降るまちを」のフレーズがそっくりそのまま出てくるのだ。しかも何度も変化しながら繰り返されている。早速ネットで調べてみるとやはり有名な話のようで、私が単に知らなかっただけのようである。真偽のほどは分からないが、作曲者の中田喜直がラジオドラマの空き時間を埋めるために急遽作った歌とのことで、作曲中ショパンのこの曲が流れていたのだとか。古今東西、意図的であるなしを問わず、引用(悪く言えばパクリ)の例は枚挙に暇が無いほどだが、急遽作る必要に迫られて、ショパンの一節を拝借するぐらいは個人的には許せる範囲内のような気がする。大昔にバッハの平均率クラヴィーア曲集の1曲をそのまま伴奏にして作ったグノーの「アヴェ・マリア」に比べればまだ可愛いものではないだろうか。

|

« 生誕*年記念 | トップページ | シュライアー/フェアウェル・リサイタル1(2005年11月12日 東京オペラシティ・コンサートホール) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/150976/6976983

この記事へのトラックバック一覧です: ショパンの主題による歌曲/中田喜直作曲:

« 生誕*年記念 | トップページ | シュライアー/フェアウェル・リサイタル1(2005年11月12日 東京オペラシティ・コンサートホール) »