F=ディースカウ&ヴェルバ(Fischer-Dieskau & Werba)のヴォルフ映像!(1958年6月16日ブリュッセル)

DFD Wolf Bruxelles 1959(←1958年が正しいと思われます)

名バリトンのディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)の若かりし頃の映像を見つけました!
ソプラノのイルムガルト・ゼーフリート(Irmgard Seefried)とピアニストのエリク・ヴェルバ(Erik Werba)との共演でヴォルフ(Hugo Wolf)の「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」演奏会からの映像のようです。
F=ディースカウとヴェルバが演奏しているのは「この世界の生みの親に祝福あれ(Gesegnet sei, durch den die Welt entstund)」です。

こちらの動画をアップして下さった方のコメントでは16.06.1959と書かれてあるのですが、
F=ディースカウの演奏記録をまとめたMonika Wolf氏のサイトを見ると、1958年が正しいようです。

いずれにしても、この演奏が客席の雰囲気も含めて映像で見られるのは貴重で、リートファンにとっては宝物を見つけた気分です!

33歳の最も声が美しく、脂ののっていた頃のF=ディースカウの歌唱が楽しめます!

短いですが、ぜひご覧ください。

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エリー・アーメリングのバッハ・カンタータ音源(BWV 106, 24, 96)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S)のこれまで商品化されていなかったバッハのカンタータ音源がアップされていましたので、こちらでシェアさせていただきます。

1960年代の音源2種類と、録音年不詳の音源1種類ですが、後者もおそらくアーメリングの若い頃の録音と思われます。

いずれもアーメリングの歌唱部分は多くないですが、若かりし頃のつやつやした美声と優れた様式感覚を味わえると思います。

●Bach Kantate BWV 106 Gottes Zeit Actus Tragicus, Hans Thamm 1961

Bandaufnahme vom Radio,
Elly Ameling Sopran,
Erika Wien Alt,
Georg Jelden Tenor,
Erich Wenk Bass,
Der Windsbacher Knabenchor,
Auf historischen Instrumenten:
Hans Martin Linde und Günter Höller Blockflöte,
August Wenzinger** und Hannelore Müller Gambe,
Reinhold Johannes Buhl und Johannes Koch Violone,
Leitung: Hans Thamm

1.Sonatina (0:00)
2a.Chor: Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit. (2:19)
2b.Arioso Tenor: Ach, Herr, lehre uns bedenken, (4:20)
2c.Arie Bass: Bestelle dein Haus (6:13)
2d.Chor: Es ist der alte Bund: Mensch, du musst sterben (7:36)
 +Sopran:Ja, komm, Herr Jesu, komm!←アーメリングの歌唱
3a.Arie Alt: In deine Hände befehl ich meinen Geist (11:07)
3b.Arioso Bass: Heute wirst du mit mir im Paradies sein.(13:14)
 +Choral Alt: Mit Fried und Freud ich fahr dahin
4.Chor: Glorie, Lob, Ehr und Herrlichkeit (16:40) Amen (17:54)

**August Wenzinger setzte sich auch schon vor dem 2.Weltkrieg für historische Instrumente ein.
Er zeigte mit der Cappella Coloniensis (1954), daß man auch auf historischen Instrumenten ganz normal Musik machen kann......


●Bach Kantate BWV 24 Ein ungefärbt Gemüte, Gerhard Wilhelm

Bandaufnahme vom Radio,
Elly Ameling Sopran,
Maureen Lehane Alt,
Theo Altmeyer Tenor,
Siegmund Nimsgern Bass,
Stuttgarter Hymnuschorknaben,
Collegium musicum des WDR,
Leitung: Gerhard Wilhelm

1.Arie Alt: Ein ungefärbt Gemüte (0:00)
2.Rezitativ Tenor: Die Redlichkeit ist eine von den Gottesgaben (3:31)
3.Chor+Soli: Alles nur was ihr wollt (5:37)←アーメリングの歌唱を含む
4.Rezitativ+Arioso Bass: Die Heuchelei ist eine Brut (8:57)
5.Arie Tenor: Treu und Wahrheit sei der Grund (10:41)
6.Choral: O Gott, du frommer Gott (14:38)

●Bach Kantate BWV 96 Herr Christ, der einge Gottessohn, Kurt Thomas 1965

Bandaufnahme vom Radio,
Elly Ameling Sopran,
Norma Procter Alt,
Peter Witsch Tenor,
Roland Hermann Bass,
Der Tölzer Knabenchor,
Das Collegium musicum des WDR,
Leitung Kurt Thomas, 1965

1.Chor: Herr Christ, der einge Gottessohn, (0:00)
2.Rezitativ Alt: O Wunderkraft der Liebe, (6:04)
3.Arie Tenor: Ach, ziehe die Seele mit Seilen der Liebe, (7:43)
4.Rezitativ Sopran: Ach, führe mich, o Gott, zum rechten Wege, (17:19)←アーメリングの歌唱
5.Arie Bass: Bald zur Rechten, bald zur Linken (18:10)
6.Choral: Ertöt uns durch dein Güte, (21:11)

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エリー・アーメリング、シュトゥットガルトでのマスタークラス(Meisterkurs Gesang Elly Ameling)

エリー・アーメリングのマスタークラスがシュトゥットガルトで行われるそうです。入場無料とのこと。
相変わらずお元気にご活躍されているようです。

 こちら

Meisterkurs Gesang
 Elly Ameling

2019.10.24(木) 19:00-22:00 Kammermusiksaal

2019.10.25(金) 10:30-13:00, 19:00-22:00 Kammermusiksaal

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ヘルマン・プライのライヴ音源(ザルツブルク音楽祭等)

某サイトに、ヘルマン・プライ(Hermann Prey)のライヴ音源がアップされていました。
中には私がクラシック音楽を聴き始めて間もない頃にFMラジオで聞いたものも含まれていました(1982年のシューベルト、ゲーテ歌曲集)。

プライのライヴ音源はまだ商業録音として入手出来るものが限られているので、
こうした貴重な録音が聞けるのは有難いです。

R.シュトラウスの若書きがプライの歌唱で聞けるのも珍しいです!


●Hermann Prey sings Schubert Lieder - Live, 1982
シューベルト:ゲーテの詩による歌曲集

The baritone performs 25 songs by Franz Schubert to texts by Johann Wolfgang von Goethe
in celebration of the 150th anniversary of the poet/writer's death.
Helmut Deutsch is the pianist in this recital from the Salzburg Festival on 5 August 1982.

I. "Der Sänger", D. 149 0:00
II. "Sehnsucht" (Was zieht mir das Herz so?), D. 123 7:55
III. "Rastlose Liebe", D. 138 12:01
IV. "Meeres Stille", D. 216 13:25
V. "Der Fischer", D. 225 17:11
VI. "Der König in Thule", D. 367 20:35
VII. "Der Schatzgräber", D. 256 24:40
VIII. "Erlkönig", D. 328 29:39
IX. "Prometheus", D. 674 33:58
X. "Grenzen der Menschheit", D. 716 39:49
XI. "Ganymed", D. 544 48:03
XII. "An Schwager Kronos", D. 369 52:48
XIII. "Versunken", D. 715 56:11
XIV. "Geheimes", D. 719 57:59
XV. "An die Entfernte", D. 765 59:26
XVI. "Willkommen und Abschied", D. 767 1:03:29

Encores:
XVII. "An den Mond" (Füllest wieder Busch und Thal), D. 259 1:07:31
XVIII. "Tischlied", D. 234 1:11:11
XIX. "Am Flusse", D. 776 1:13:42
XX. "Liebhaber in allen Gestalten", D. 558 1:15:36
XXI. "Der Musensohn", D. 764 1:16:57
XXII. "Der Rattenfänger", D. 255 1:18:57
XXIII. "Heidenröslein", D. 257 1:21:16
XXIV. "Wandrers Nachtlied II" (Über allen Gipfeln), D. 768 1:23:00
XXV. "Wandrers Nachtlied I" (Der du von dem Himmel bist), D. 224 1:26:00

5 August 1982, Großes Festspielhaus, Salzburg

●Hermann Prey sings Strauss Lieder - Live, 1974
R.シュトラウス歌曲集

Taken from the third lied recital at the Salzburg Festival, 4 August 1974, here is baritone Hermann Prey with pianist Karl Engel performing 17 songs by Richard Strauss.

I. “Einkehr” 0:00
II. “Der müde Wanderer” 2:23
III. “Nebel” 6:20
IV. “Die Drossel” 8:20
V. “Zueignung” 11:28
VI. “Nichts” 13:25
VII. “Ständchen” 14:59
VIII. “Breit’ über mein Haupt” 17:36
IX. “Du meines Herzens Krönelein” 19:40
X. “Ach Lieb, ich muß nun scheiden” 22:14
XI. “Ach weh mir unglückhaftem Mann” 24:37
XII. “Ruhe, meine Seele!” 27:09
XIII. “Cäcilie” 31:45
XIV. “Morgen!” 33:55
XV. “Ich liebe dich” 38:04
XVI. “Leises Lied” 40:42
XVII. “Bruder Liederlich” 44:35

4 August 1974, Großes Festspielhaus, Salzburg

●Hermann Prey sings Schubert Lieder - LIVE, 1973
シューベルト歌曲集

Taken from a recital at the 1973 Salzburg Festival, Here are three songs by Schubert sung by Hermann Prey with Leonard Hokanson at the piano.

 I. "Der König in Thule", D 367 (Goethe) 0:00
 II. "Der Sänger", D 149 (Goethe) 3:44
III. "Der Taucher", D 77 (Schiller) 11:00

4 Aug. 1973, Großes Festspielhaus, Salzburg

●Hermann Prey sings Loewe Lieder - LIVE, 1973
レーヴェ:バラーデ集

Taken from a recital at the 1973 Salzburg Festival, 4 August 1973. Here are six songs by Carl Loewe sung by Hermann Prey with Leonard Hokanson at the piano.

 I. "Archibald Douglas", op. 128 (Fontane) 0:00
 II. "Herr Oluf", op. 2, no. 2 (Herder) 11:00
III. "Odins Meeres-Ritt", op. 119 (Schreiber) 16:41
IV. "Der getreue Eckart", op. 44, no. 2 (Goethe) 21:27
 V. "Hochzeitlied", op. 20, no. 1 (Goethe) 26:01
VI. "Erlkönig", op. 1, no. 3 (Goethe) 31:04

4 Aug. 1973, Großes Festspielhaus, Salzburg

●Hermann Prey sings "Ich will den Kreuzstab gerne tragen" BWV 56 - LIVE, 1970
バッハ:カンタータ「われは喜びて十字架を負わん」 BWV 56

From the Vienna Musikverein in 1970, the baritone sings Bach's Cantata 56
with the Vienna Singverein and Vienna Symphony Orchestra
under the direction of Karl Richter.

3 June 1970

●Hermann Prey sings & plays for Böhm!
これは、往年の指揮者カール・ベームの85歳の誕生日を祝って、プライがアコーディオン片手に歌う貴重な映像です。

The baritone sings a comic birthday song at a special 85th birthday program in Salzburg
for the famed conductor Karl Böhm.
The song has fun playing on the conductor's name with the Böhmer Wald (Bohemian Woods).
The tribute was held on August 27, 1979.
Prey accompanies himself on the accordion.

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追悼ジェシー・ノーマン(Jessye Norman)

ソプラノのジェシー・ノーマン(Jessye Norman: 1945.9.15-2019.9.30)が亡くなりました。
ノーマンも歌曲の演奏史にとって欠かせない人物でした。

ノーマンが1980年代半ばに初来日した時、音楽ジャーナリズムはほとんど事件のように騒ぎたてていました。
私は初来日公演は行かず、テレビで見ただけでしたが、その数年後に実演に接し、あたかもジェシー・ノーマン教の祭祀の只中に放り込まれたかのような雰囲気を感じたものでした。
ノーマンが教祖様で、客席は信徒でした。
客席は酩酊したかのように拍手喝采を送り続け、すべての人がスタンディングオベーションで彼女を称えました。
私はノーマンのよく響く深みのある声や表現力の豊かさに感銘を受けながらも、周りの観客と自分との温度差を感じざるを得ませんでした。
もちろん私もひいきの歌手や演奏家に対して熱烈な拍手を送り、その一挙手一投足に目を凝らした経験はあるので、その気持ちはよく分かるのですが、会場の全員といってもいい人たちが例外なく熱狂しているのを見て、私が彼らほどの熱狂に達していないのは何故だろうと妙に冷静に考えていたものでした。

クラシック音楽の楽しみ方として、このような会場が熱狂的に盛り上がり、一体となる楽しみ方もあると思います。
ただ、私はノーマンのパフォーマンスだけでなく、歌曲を純粋に楽しみたかったという気持ちもあったのです。
生であの曲やこの曲が聞けると喜んで出かけた私にとって、ノーマンのコンサートは若干異質な感を拭えませんでした。
ヘンデルを歌ってもシューベルトを歌っても観客は大熱狂の嵐でした。
この頃ノーマンの来日公演で頻繁に共演していたピアニストのフィリップ・モルを気に掛ける人は誰もいないのではないかとさえ思えました。
それから数回聞きに行き、伴奏者がパーソンズやマーカムに変わっても、コンサートの雰囲気は同様でした。

ノーマンのコンサートを楽しんだ方にとって水を差すような文章で申し訳ないのですが、私にとってはノーマンの歌唱は録音で楽しむ方が合っていたということなのでしょう。

ただ実演だからこそ分かることはあると思います。
彼女は間違いなくカリスマでした。
人々がノーマンの声の虜になって熱狂していく様をまざまざと体験することが出来ました。
これは彼女の天賦のものだと思います。

ノーマンはドイツ歌曲もフランス歌曲も丁寧に歌ってきた歌手でした。
シューベルトの「自然に寄せて」といったほとんど知られていない小品を慈しむように歌っているのもノーマンの一つの側面です。
また「全能」の力感に溢れた朗々たる響き、あるいは「死と乙女」の最後の音を低いレで歌う彼女の音域の広さも忘れられません。

ドイツ・グラモフォン社がブラームスの全歌曲を録音する時にF=ディースカウと共にキャスティングしたのはノーマンでした。
これは彼女が紛れもなく歌曲歌手として一流であることを示しているでしょう。
ブラームスの民謡調の有節歌曲を表情豊かに歌うのに、あるいは「ジプシーの歌」の奔放な響きを再現するのにノーマンは適任でした。

彼女は伴奏ピアニストも固定せず、様々な人たちと組んできました。
ゲイジ、ボールドウィン、パーソンズ、モル、レヴァイン、バレンボイム、ダルベルトなど。
誰と組んでも違和感なく彼女の世界を作り上げていきます。

ノーマンはアンコールで必ずといっていいほど黒人霊歌を歌いました。
彼女のルーツですから当然でしょう。
その中で忘れられないのが"He's Got the Whole World in His Hands"という曲です。
私はノーマンの歌唱でこの曲をはじめて知ったのですが、敬虔さもありながら、聴衆を楽しませることも忘れず、素晴らしい歌唱でした。

Jessye Norman sings He's Got the Whole World in His Hands

Geoffrey Parsons(P)

最後に、彼女のエクサンプロヴァンスでのリサイタルのライヴ録音がありましたので、こちらでシェアさせていただきます。

Jessye Norman - Recital Aix-en-Provence 1984

Jessye Norman(S)
Phillip Moll(P)
Alain Marion(FL)
Renaud Fontanarosa(VLC)

Aix-en-Provence 31-07-1984

J. Brahms :
00:00 Botschaft opus 47 n°1,
02:27 Feldeinsamkeit opus 86 n°2,
06:28 Auf dem Kirchhofe opus 105 n°4,
09:54 Saphische Ode opus 94 n°2,
12:31 Meine Liebe ist grün opus 63 n°5.

R. Strauss:
17:31 Ständchen opus 17 n°3,
20:02 Ich trage meine Minne opus 32 n°1,
23:05 Allerseelen opus 10 n°8,
26:44 Morgen opus 27 n°4,
30:55 Kling opus 48 n°4.

M. Ravel:
34:49 Chansons madécasses - Nahandove
40:34 Chansons madécasses - Aoua!
44:46 Chansons madécasses - Il est doux

E. Satie:
52:53 Chanson,
54:07 Elégie,
56:53 les fleurs,
58:35 tendrement.

Encores :
01:06:21 R.Strauss, Wir beide wollen springen
01:09:44 C.Saint-Saens, Mon coeur s'ouvre à ta voix
01:20:02 Spiritual - He's Got the Whole World in His Hands
01:27:32 Spiritual - Great Day

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お久しぶりです

皆さん、ブログの更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした。
実は父親が8月に亡くなり、ばたばたしておりました。
ようやく法要も終えて一段落ついているところです。

これからもしばらくは週末に実家に戻ることが多くなるので
ブログの更新はあまり出来ないかもしれませんが、
見守っていただければ幸いです。

父はクラシック音楽の熱心な愛好家というわけではありませんでしたが、
父の兄の影響でウィンナ・ワルツを好んで聞いていました。

また、若いころにダンスを習っていたこともあり、ダンス音楽への思い入れも強かったようです(よくテレビで社交ダンスの大会の模様を見ていたのを思い出します)。

最後に父と会った時は、父のリクエストに応じて
スマホで次から次へとワルツやタンゴを流しました。
これらの作品が父の形見のようにも思えます。

オーストリアの村つばめ

朝刊

皇帝円舞曲

芸術家の生涯

メリー・ウィドウ・ワルツ

美しく青きドナウ

女学生

ラ・クンパルシータ

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ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)生誕120年

ジェラルド・ムーア (Gerald Moore, 1899.7.30, Watford, Hertfordshire - 1987.3.13, Penn, Buckinghamshire)

歌曲の伴奏者として一時代を築いたジェラルド・ムーアが生まれて2019年7月30日で120年が経ちました。
早いものです。
私がムーアの演奏に惹かれて、自伝を読んだり、録音を聞いたりしていた頃、彼はもちろんとっくに引退していましたが、まだご健在でした。
1987年に彼の訃報記事が新聞に掲載された時のショックは今でも思い出すことが出来ます。
当時はインターネットなどありませんでしたから、図書館に行って、新聞各紙の訃報欄をチェックしたりしたものでした。

ムーアの演奏や自伝を通じて、彼のことを知るにつれて、ムーアの器楽曲演奏の録音をもっと聞いてみたいと思うようになってきました。
彼は一般には歌曲の分野で大きな名声を獲得しましたが、実際には楽器奏者たちとも数多く共演しており、彼の著書にも器楽曲について触れられていました。
当時店頭で入手出来たのは、シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」をフォイアマンのチェロと共演したLPでした。
その後、FMでムーアの特集が組まれた時に放送されたデュ・プレとのフォレ「エレジー」のあまりの素晴らしさに、エアチェックしたテープを何度も巻き戻して聞いたものでした(これもLPで再発売されたものに収録されていました)。
ムーアが器楽曲でも歌心を発揮した独自の魅力を醸し出していることを知り、その後、少しずつ彼の器楽録音を入手したり、入手できないものは上野の音楽資料館で探して、例えばゴイザーとのブラームス:クラリネット・ソナタのLPなどを楽しみました。
今やインターネットで様々な貴重な音源を聞くことが出来、つくづくいい時代になったなぁと感じます。
そんなムーアの器楽曲演奏をいくつか貼り付けてみました。
興味のある方は、彼の歌曲以外の演奏がどんな感じなのかぜひ聴いてみてください。

●ピアノ独奏
ヘラー: 練習曲 ホ長調 Op.45 No.9
ジェラルド・ムーア(P)
Gerald Moore plays Heller Étude in E Major Op.45 No.9
Gerald Moore
Rec. 9 November 1949

●ピアノ連弾
ドヴォジャーク: スラヴ舞曲 ト短調 Op. 46 No. 8
ジェラルド・ムーア(P: Primo)
ダニエル・バレンボイム(P: Secondo)
16 Slavonic Dances B78 & B145 (Opp. 46 & 72) (2003 Remastered Version) , B78: No. 8 in G minor
Gerald Moore
Daniel Barenboim
Rec. 1969

●チェロとピアノ
フォレ: エレジー ハ短調 Op. 24
ジャクリーン・デュ・プレ(VLC)
ジェラルド・ムーア(P)
Fauré / Jacqueline du Pré, 1962: Elegie in C minor, Op. 24 - Gerald Moore, piano
Jacqueline du Pré (1945-1987)
Rec. 1 April 1969

●チェロとピアノ
シューベルト: アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D821
エマヌエル・フォイアマン(VLC)
ジェラルド・ムーア(P)
Schubert - Arpeggione sonata - Feuermann / Moore
Emanuel Feuermann
Gerald Moore
Rec. 29-30.VI.1937, Abbey Road Studio 3, London

●クラリネットとピアノ
ブラームス: クラリネット・ソナタ ヘ短調 Op.120-1
ハインリヒ・ゴイザー(CL)
ジェラルド・ムーア(P)
Johannes Brahms: Sonate für Klarinette und Klavier Nr. 1
Heinrich Geuser / Gerald Moore
Rec. 14 November 1958, Berlin, Zehlendorf

第1楽章 Allegro appassionato

第2楽章 Andante un poco adagio

第3楽章 Allegretto grazioso

第4楽章 Vivace

●ヴィオラとピアノ
ブラームス: ヴィオラ・ソナタ 変ホ長調 Op.120-2
ウィリアム・プリムローズ(VLA)
ジェラルド・ムーア(P)
Brahms: Sonata in E-Flat, Op. 120, No. 2
William Primrose, viola
Gerald Moore, piano
Rec. 16 September 1937, EMI's Studio No. 3, Abbey Road, London
1. Allegro amabile
2. Allegro appassionato (at 7:30)
3. Andante con moto (at 12:45)

●ヴァイオリンとピアノ
シマノフスキー: 神話 Op.30 ~ 1. アレトゥーザの泉
ティボール・ヴァルガ(VLN)
ジェラルド・ムーア(P)
Karol Szymanowsky: Mythes, Op.30, No. 1: La fontaine d'Arethuse
Tibor Varga · Gerald Moore
Rec. 1947

●チェロとピアノ
リムスキー=コルサコフ: マルハナバチの飛行(「熊蜂の飛行」という題で有名ですが、正しくは「熊蜂」ではないそうです)
ピエール・フルニエ(VLC)
ジェラルド・ムーア(P)
Rimsky-Korsakov: Flight of the Bumblebee, Fournier & Moore (1957)
Pierre Fournier (1906-1986), Cello
Gerald Moore (1899-1987), Piano
Rec. 1957

●ピアノ独奏
シューベルト(ジェラルド・ムーア編曲): 音楽に寄せて D547
ジェラルド・ムーア(P)
Schubert (arr. Moore): An die Musik D547 (2003 Remastered Version)
Gerald Moore
Rec. 20 Feb. 1967, Royal Festival Hall (live)

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東京春祭2019オンデマンド配信開始(2019.7.26~10.25までの期間限定)

毎年春に上野で催される東京・春・音楽祭の2019年の公演からいくつか配信を開始しました。
ブリン・ターフェルや藤木大地の歌曲公演は7/28(日)現在はまだ配信されていませんが、もしかしたらそのうち追加されるかもしれませんので要チェックです。

 こちら

歌曲関連で特に注目したのがクララ・シューマンの生誕200年記念のコンサートです。
このコンサートにクララ自身の作品は一曲も含まれていません。
というのも、解説によれば「150年前、50代のクララが行ったとされる演奏家として最後のコンサートを再現」したものだからです。
ピアニストの伊藤恵さんを中心に、様々な演奏家たちが出演して、素敵なコンサートを再現していました。

 プログラムなどの詳細はこちら

歌曲の演奏についてだけ下記に抜き出しておきます。

クララ・シューマン ―― 生誕200年に寄せて【1】

2019年4月5日(金)旧東京音楽学校奏楽堂

31:40頃- シューベルト(Schubert)/若い尼(Die junge Nonne)D828
菅英三子(S)
伊藤恵(P)

50:40頃- ブラームス(Brahms)/愛のまこと(Liebestreu)op.3-1、あこがれ(Sehnsucht)op.49-3
菅英三子(S)
伊藤恵(P)

クララ・シューマン ―― 生誕200年に寄せて【2】

35:50頃- シューマン(Robert Schumann)/きみの顔(Dein Angesicht)op.127-2、《女の愛と生涯(Frauenliebe und -leben)》op.42より第2曲「彼は誰よりも素晴らしい人(Er, der Herrlichste von allen)」
菅英三子(S)
伊藤恵(P)

ソプラノの菅英三子さんがロマン派の名歌曲をしっとりと抑えて歌っているのもなかなか貴重な機会だと思います。
そして、伊藤恵さんのピアノが本当に素晴らしいです!
彼女の歌曲伴奏は実演でも聞いたことがありますが、実に美しい音楽を奏でます。
基本は歌手を立てる演奏ですが、出るべきところでは前面に出て、練られた美しいタッチとペダリング、適切なテンポ、リズムなど、美点を挙げたらきりがないです。

後半のシューマンの歌曲が終わると、伊藤さんによるシューマンのピアノ曲「幻想小曲集」op.12 の抜粋が演奏されますが、これがまた絶品ですので、ぜひ歌曲ファンの方にも聞いていただけたらと思います。

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歌曲ピアニスト平島誠也の録音を聴く

アーウィン・ゲイジ、コンラート・リヒターらに師事して、歌曲のスペシャリストとして多くの歌手たちから信頼を得ている平島誠也氏がブログ「落語ときどきピアノ~平島誠也の覚書き~」に「私がyoutubeにアップする理由」という記事をアップしていて、興味をもったので、動画サイトで検索していくつか引っ張ってきました。

24のシェック歌曲 Schoeck Lieder

2007年内藤明美メゾソプラノリサイタルより
私がはじめて内藤さん&平島さんのリサイタルを聞きに行った時のライヴ録音です。内藤さんは歌曲の素晴らしい演奏家の一人です。録音に合わせて山崎裕視氏(1曲目のみ上田敏)の対訳が表示されているので、シェックの歌曲入門としても最適な動画です。

太田直樹(Br.) ドイツリートを歌う

1998年録音。メンデルスゾーン「最初の喪失」「ヴェネツィアのゴンドラの歌」、ブラームス「セレナード」「五月の夜」
太田直樹氏は2017年に50代で亡くなられたのですが、実演で何度か聞くことが出来たのがよい思い出です。ここでも端正で誠実な歌唱が聞けます。メンデルスゾーンの「最初の喪失」をシューベルトの曲と比べて聞いてみるのも興味深いと思います。

名曲アルバム ヴォルフ

ヴォルフ「夏の子守歌」を釜洞祐子さん(S)と平島さんが若干のアレンジを加えて(原曲だと4分弱で終わってしまう為と思われます)演奏しています。ヴォルフの生まれ育った街並みを見られる貴重な映像です。

川下登 レーヴェとヴォルフを歌う

レーヴェの「魔王」、「詩人トム」、ヴォルフの「火の騎士」、「こうのとりの使い」、「歌人」。
この録音は昔FMで聞いた記憶があります。バラードを日本人歌手でこれだけまとめて聴ける機会はなかなかないので貴重な放送でした。川下(かわしも)氏のハイバリトンはディクションが明瞭で聞きやすいです。平島氏のピアノは雄弁で、冴えています。

浜辺の歌 Hamabe no Uta

秋山恵美子さん(S)の名唱。誰もが知る名作を平島氏の編曲で美しく演奏しています。

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ヘルマン・プライ(Hermann Prey)の1963年の映像

2019年7月11日が生誕90年にあたるドイツの名バリトン、ヘルマン・プライ(Hermann Prey: 1929-1998)を祝して、ドイツのサイトで彼の記事がいくつか書かれていますが、そうした中、1分強ですが、1963年のプライの映像がアップされていました(映像の右下にマウスポインターを持っていくとスピーカーのマークが表示されますので、それをクリックすると音が出ます)。

 こちら

BR_KLASSIKのツイッターに掲載された映像で、たった1分7秒だけですが、若かりしプライが導入の挨拶(19世紀のロマン派の作曲家といえば多くの人はシューマンを思い浮かべます・・・といった話)に続いてシューマン(Schumann)のケルナーの詩による「旅の喜び(Wanderlust), Op. 35/3」の一部を歌っています。
右下の記載を見ると1963年の映像のようです。
こんなに若いプライの映像はなかなか見る機会がなかったので貴重です。

なんともみずみずしく、繊細ですらあるプライの美声です!

少しだけ映るピアニストはおそらくギュンター・ヴァイセンボルン(Günther Weissenborn)と思われます。

こういう映像をどんどんアップしてくれると有難いのですが、権利の問題などで難しいのでしょうか・・・。
いずれにせよ、この短い映像は、プライファンの渇望を少しでも癒してくれるものではないでしょうか。

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«アーメリングの「死と乙女(Der Tod und das Mädchen, D 531)」がドイツのラジオ局で放送されていた!